ブラックペッパー
横浜駅を出て二駅目で乗り込んできたオジサマ。
そんなに混んでない車両で、電車の揺れに合わせて左右にフラフラ。
距離感が微妙に近い。
フラフラっと揺られて、お姉さんの近くに寄る。
お姉さんも怪訝そうな顔してるけど、オジサマはどこ吹く風。
こんなときどうしたものかと思案するも、良い案が浮かばぬまま、いくつかの駅を過ぎる。
「悪いけど、ブラックペッパー買ってきてくれる?」
妻さんからのメールに、了解と返す。
オジサマが降りていった。
お姉さんが発していた張り詰めた空気が緩んだ気がする。
◇
駅前のドラッグストアを覗く。
テーブルコショウしかない。
隣のコンビニを覗く。
テーブルコショウしかない。
妻さんにメールする。
「テーブルコショウしかないけど、どうする?」
「手羽先だけど、ブラックペッパー無しで良い?」
妻さんのレパートリーの中でも、定期的に食べたくなる手羽先の唐揚げ。
甘辛いソースにブラックペッパー無しでは、せっかく作ってくれた料理が未完成になる。
「駅の反対側まわって買ってく」と返信して、スーパーに向かう。
店の前の等間隔に並んだ鉄柱それぞれに犬が繋がれている。
散歩ついでに買い物かな?
違う犬種3匹が沈みゆく夕陽の方を向いて、おとなしく座っている。
なんだか哀愁を感じるのはなぜだろう。
◇
スパイスコーナーが思いのほか充実してる。
ブラックペッパー、ブラックペッパー、ブラックペッパー、どれだ?
「2枚目の写真、真ん中の2つのうち量が少ない方がいい!」
「どっちも同じ商品だな」
◇
お会計を済ませて店を出る。
フレンチブルだけ待ちぼうけ。
ご主人様はやく来るといいね。
踏み切りの手前、20メートル。
"踏み切りを渡ろうとした瞬間、鳴る気がするな"
10メートル、5メートル、1メートル、
カーン、カーン、カーン、カーン
予感があたる。
"渡り始めた瞬間、反対方向が鳴る気がするな"
遮断機が上がって渡り始める。
カーン、カーン、カーン、カーン
予感があたる。
◇
"オジサマ近すぎて、ご婦人がドキドキしてしまいますよ"
と言えば良かったのか!
◇
最近、 note更新してないな。
あのことを書こうか。
どこから書こう。
◇
手羽先にかぶりつきながら、妻さんが笑う。
「何も同じ商品だからって、わざわざ『同じ商品だな』なんて返さなくても良いのに」
「いや、もしかして何か違いがあるのかも?と思って、手に取って見比べてみたんだよ」
こんなことで笑えるなんて、幸せだ。
手羽先美味しい。
#オジサマの距離感
#今気づいたんだけどブラックペパーなのね
#タイトル画像を見てね
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#めずらしく娘がパパと寝ると言い出す
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