「おー」は、磨けない
寝る前の歯磨きタイム。
自分でひと通り磨いたあとに、「仕上げしてください」と娘の声。
あいよーと目の前に寝かせて、「あ」のくちから覗く、小さな歯を磨きあげる。
幼稚園に通いはじめたころに、デコピンを覚えた娘。
デコピンは痛いから、パパ以外の人にはダメだよと教えてから、なぜか歯磨きの仕上げをしているとデコピンをされる。
最近は、上手にデコピンが出来るようになって、それなりに痛い。
イテッ、イテッと言いながら歯磨きを仕上げる。
なんで歯を磨きながらデコピンをされているんだ?と、一瞬よぎるけど歯に向き合う。
「はい。いーにして」
「いー」のくちで、並んだ歯を磨きあげる。
ひと通り磨くと、恒例の「おー」のくち。
「おーは、みがけない!」と言いながら、脇腹やお腹をくすぐるのだ。
けたけた、ころころと笑って歯磨きはおしまい。
大好きなnoterさんのひとり、くまさんの言葉があたまに浮かぶ。
きっと歯磨きの仕上げも、これが最後だなんて知ることがないままに過ぎていくのだろう。
だからこそ、こうして日々を切り取り
残していこうと思う。