#15 ネックレスの「チェーン」に思うこと
皆さんがお好きなチェーンの種類は何でしょうか?
オーソドックスなのは、「カット小豆チェーン」。小さな楕円のコマが連なっていて、その一つ一つにカット面が付けられているため、細くてもキラキラと反射して存在感を放つ。宝石の輝きとの相性も抜群です。
一般的に今多く使用されているのは、「ベネチアンチェーン」でしょうか。長方形の角型の小さなコマが隙間なく連なっていて、とても滑らかな見た目。面に反射した煌めきも綺麗で、カット小豆よりは存在感は控えめですが、デコルテに緩やかに沿うその様はとてもエレガントです。
昔からある「丸小豆チェーン」は、カット小豆のカットされていない丸みを帯びた楕円のコマが連なったタイプ。カジュアルで、タイプを選ばない使い勝手がいいチェーンです。
その他にも、オメガチェーン(Ωの形をしているチョーカータイプ)や喜平チェーン(男性がしている印象が強いカット面が付いたコマのチェーン)、コード(チェーンと言うよりもゴムや皮で出来たカジュアルなチョーカータイプ)など、シーンや服装に応じて使用できる、数え切れないほどの種類があります。
今回私がお伝えしたいのは、本当に主観な感想です。お取り扱いされているお店もたくさんあるので結果的にはご自身で判断して欲しいのですが、このチェーンだけはよく考えて使用して欲しいというチェーン。
カットボールチェーン(ボールチェーン)。
これは、イメージとしては昔のお風呂場の栓に付いていたボールチェーンを思い出してもらえると近いと思います。(今って、チェーン付いていないことも多いらしいですね(笑))
小さな丸い銀色のボールに繋ぎの細い棒が付いていて、ボール→棒→ボール→棒・・・と連なっているタイプの物です。たまに、ボールの部分が細いの円柱状のものになっていることもあります。
このタイプのネックレスは、デコルテに乗ると棒の部分がほとんど肌にとけ込むのでボール部分が粒々と際だって見え、とってもキュートで可愛らしい印象になるので意外と人気があります。ボールの一粒一粒がミラーボールのようにキラキラと煌めき、存在感もバッチリです。
しかし・・・
このタイプのチェーンは、「負荷に弱い」。
本当に小さくて軽いトップを下げる場合や、この細工自体を楽しむためにチェーンのみで使用するには問題ありません。
しかし、ちょっと重みのある負荷のかかりそうなトップや、1カラット以上のダイヤモンドのように無くしたら立ち直りにくい高価な物を下げるのはお勧めできません。
チェーンは、意外と使用時に負荷がかかっています。
自分では気づいていなくても、髪に引っかかっていたり、洋服の脱ぎ着で擦れたり、横になったりするときにヨレたり、ちょっと指が引っかかったり、意外とただぶら下がっているだけではないのです。
そのため、安全を考えて(万が一の時に首に危害が及ばないように)、引き輪が付いている方の繋ぎ目の丸カンは「ロー付け(丸カンの口を金属ロウで融着すること)」をせず、危険な負荷がかかったら切れるように出来ています。
しかし、カットボールチェーンやボールチェーンは、そこにだけではなくボールとボールの間の棒の部分にも負荷がかかり、ここから折れてしまうことが多々あります。私はかつて自分自身でもそれでネックレスを落としたことがあり、とても悲しい思いをしたことがあるのと、やはりお客様からそういったご相談をお受けすることも少なくありませんでした。
だからといって、今の現代まで残っているチェーンなので「使えない」「危険」なわけではありません。
用途やシチュエーションによって、使い分けることが大切かなと思います。
一度手元を離れてしまったジュエリーは、二度と再び戻ってくることはありませんから・・・。
悲しい思いは、なるべくしませんように。
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