#14 ジュエリーの「リモデル(リフォーム)」に思うこと
「デザインが古くてちょっと着けるのはな~・・・」
というジュエリー、きっと一家に一つはあるのではないかと思います。
例えば、
○親族から譲られたジュエリー
○親から譲られたジュエリー
○昔、自分で奮発して買ったジュエリー
もしくは、こんなものもあるのではないでしょうか?
○かつて付き合った人からプレゼントされたジュエリー
○離婚したけど捨てられない婚約指輪
○離婚してないけど日常使いには向いていないデザインの婚約指輪
などなど・・・。
"その形であるべき”であるのなら、無理して売ったり、譲ったり、リモデル(リフォーム)する必要はないと私は思うのですが、
"何とかならないかな・・・”
と心の片隅にいつも気にかかっている人もいらっしゃるかもしれません。
今は特に地金(ゴールドやプラチナ)の相場が上がっているので、買い取り店で売却してしまうのも一つの手だと思います。
でも、それは最後の手段。
売却することはいつでも出来るけど、二度と同じ思い出が刻み込まれたそのジュエリーと再会することは出来ません。
"手放す”・・・で大丈夫ですか?
私がかつて勤めていた会社は、買い取りも販売もリモデル(ジュエリーリフォーム)もすべて行っていました。
特に買い取りの査定中のお客様との対話の中で感じたのは、
「私、これを手放しても後悔しないかしら・・・?」
という迷いです。
人によっては、
「えっ?自分のものなのに悩むの?」
「金額に納得すれば手放すんじゃない?」
という方もいらっしゃると思います。
ただジュエリーとは、性別関係なくその人にとって"ただの物”だけではない特別な存在なのだと感じられることが多々ありました。
「生前、妻が肌身離さず着けていた物だったから、手放したら怒るだろうか・・・?」
「母親の形見なんだけど、デザインが古いから身に付けるのはちょっと・・・。売るしかないのかしら・・・」
「娘に譲ろうと思ったんだけど、"好みのデザインじゃない”って言われちゃって・・・」
「離婚したんでもういらないんですけど、石は自分で選んだから思い入れはあるんですけどね。見ると思いだしてしまって・・・。」
買い取り業をやっていると、意外と「もういらないから高く買って!」とさっぱりと持ってこられる方は意外と少数派だと感じました(ジュエリーというちょっと特別なアイテムだからということもあるかもしれません)。
「リユース(再利用)」ということが当たり前になっている現代だと、ジュエリーをリモデルしてもう一度蘇らせるということは目新しいことではありません。昨今では特に"地球を守る”という観点からも、新しい鉱山の開発に否定的な人たちもたくさんいらっしゃるようです。
特に日本は「都市鉱山」と呼ばれる、世界でも希有な個人でのジュエリー・宝石保有の割合が多い国。
「なんとかしたいんだけどな」というジュエリーがある場合は、とりあえずお近くのジュエリー店で相談してみるところから始めてみて欲しいと思います。(相談だけだったら無料のところもたくさんあります)
「地金が高いから、地金だけ売って石は予算に余裕ができてからジュエリーに仕立てよう」
というのも全然あり!ただこの場合の注意点は、「地金買い取り専門店で石だけ外して返してもらう」という点。プロの職人さんが外してくれるところもありますが、ここは確認しましょう。
「メインの石はいずれジュエリーに仕立てたいので、割れたり欠けたりしないよう注意してもらえますか?」
と一声かけてみてください。
人間が行うことなので、プロの職人でも"破損は絶対にない”ということはもちろんないのですが、多くのところが
「石を外した際の破損等に責任はとれません」
といって外す場合があります。外し代が無料なのでこの場合はサービスなので仕方ないですが、その場合は数千円(くらいで出来ます)払ってでも、プロの職人さんに外してもらうよう、お願いしてみてください。
「リモデル(リフォーム)するほどの石ではないかも・・・」
これもご相談でよく受けていた質問の一つです。
持ち込まれるジュエリーの中には、枠は本物の金やプラチナで、メイン石は昔流行っていた「合成宝石(合成ルビー、合成スピネルなどなど
・・・)」が留まっているものもしょっちゅうありました。ガラスなどももちろんあります。
リモデル業界では、一応アドバイザーとしては、「リモデルする価値がある石かどうかの判断を行う」ことも大事だといわれています。
しかし、あわせて「センチメンタル・バリュー(精神的価値)」という点も大切にするべきと言われています。
かつてリモデルしたお客様の中には、かわいいピンク色の合成サファイアを、「生前おばあちゃんがずっと大切に身に付けていたから」という理由で、天然の宝石ではないとわかっても現代風のリングに作り替えをご希望されたお孫さんがいらっしゃいました。
安価に出来ることであれば、問題ないのですよね。
まだまだジュエリーのリモデルは、お値段が結構かかると言うところが高いハードルなのです。
参考までに、プラチナでシンプルな脇石なしの作り替えだったら
・ペンダントヘッド・・・3万円~
・リング・・・5万円~
くらいでしょうか。今の相場ですと。
かつ、リモデルの場合は元枠の買い取りとメレダイヤが付いていればその部分の下取り金額も加工代に補填できるので、純粋には上記の金額よりも安くできることも多いと思います。
お勧めしないのは、「なんとなく、現代風に作り替えておこうかな」という場合。
「こんな風に作り替えて、こんな風に身に付けたい」という明確なビジョンがまだない場合は、リモデルはお勧めしません。
何故なら、
「結局使わないから」。
買い取りの際に、
「○年くらい前に作り替えたんだけど、結局使う機会がなくて・・・」
とお話しされる方も結構いらっしゃいました。
まあ、結論から言うと、
「悩むなら手放すのはまだ早い」
「売るのはいつでも出来るが、二度と戻ってこない」
「誰がなんと言おうと、自分にとって価値のある宝石はリモデルの価値がある」
「そのジュエリーのセンチメンタル・バリュー(精神的価値)は、持ち主にしかわからない」
「何となくでリモデルしても、結局使わない」
ということですね。
あなたのお手元のジュエリーたちは、あなたにとってどんな存在ですか?
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