#23「ガーネット 1月の誕生石」に思うこと

2021年に新たに誕生石がそれぞれの月に追加され、誕生石という存在をを大切に思う人たちにとっては選ぶバリエーションが増えて、とても楽しい時代になりました。

かく言う私は6月生まれで、誕生石が「真珠(パール)」なわけですが、ずっと「いや、"石じゃないじゃん”」と不満でした。

まあ、大人になると女性にとっての真珠(パール)の重要性や特別な意味合いも分かるし、あの幽けき艶と煌めきの揺らぎに魅力を感じるようになりましたが・・・。

でも、透明じゃないしカラフルじゃないし、キラキラしてない。

若い頃は、やっぱりダイヤモンドやルビー、エメラルドのような華やかな誕生石の人たちを羨ましいなと思っていました。

誕生石に興味がある人にとっては、自分の生まれ月の宝石を身につけることはお守りを常に身に付けているくらい意味のあることで、もう体の一部です。

私も誕生石を大切に思う人間の一人として、気が向いたときにそれぞれの月の誕生石について思うことを綴っていきたいと思います。

さて、本日は1月の誕生石である「ガーネット」。

不思議なことに、2021年に誕生石が追加されたときに1月だけは新たな宝石が追加されなかったんですよね。
今までもそれぞれの月で2個あったり3個あったりしていたのですが、今回の改訂によって1月の誕生石だけがいよいよ「ガーネット」の1種類のみとなりました。何か意図があってなのでしょうか?

しかしこの「ガーネット」、むしろ1種類でも十分なほど、多くの色と変種が存在する宝石です。

鉱物は複数の元素記号でその組成を表されますが、例えば、サファイアなどは「AL(2)O(3)」(表記が見づらくてすいません)と、「AL(アルミニウム)」「O(酸素)」で構成されている比較的単純な化学組成で表すことができます。
難しいことは極力避けますが、ガーネットはこの「組成」が複雑な鉱物で、"同じ構造なのに入っている成分が異なる”ということから様々なカラーや変種が生まれます。

○異質同像(いしつどうぞう)
→構造は一緒なのに、その構造を形作る"成分”が異なる。

なんか昔、科学か何かで習った気がしますね(^^)
かつ、ガーネットで厄介なのは、その上で「固溶体(こようたい)」を作り出すということです。

○固溶体(こようたい)
→2種類以上の鉱物が互いに混ざり合っているもの。

地面の中で長い年月をかけて結晶するので、周りの土に含まれる元素環境の変化によってその成分が複雑に混ざり合って結晶が成長していくのは想像できます。その中でもガーネットは本当に多く、複雑で、恐らくまだきちんと変種として線引きはされていないけれども、何年後か何十年後にはもう少し種類が増えているのではないかと思わせる宝石です。

簡単にご紹介します。

○アルマンディン・ガーネット(Fe(鉄)・Al(アルミニウム))
→もっともメジャーな赤色のガーネット。私たちが目にする赤色の物はほとんどこれ。

○パイロープ・ガーネット(Mg(マグネシウム)・Al)
→アルマンディンよりも彩度の高い赤。ダイヤモンドの鉱床にあることが多く、意外とレアで滅多に出会えない赤色のガーネット。

○ロードライト・ガーネット(Mg,Fe,Al)
→アルマンディンとパイロープの固溶体。赤色~紫色味を帯びたワイン赤色。

○スペサルティン・ガーネット(Mn(マンガン)・Al)
→オレンジ色~レディッシュオレンジ色。

○デマントイド・ガーネット(Fe,Ca(カルシウム))
→彩度の高いグリーンが多い。ガーネットの中で最も高価で、分散度(虹色の輝き)はダイヤモンドを超える数値を持つほど、輝きが強い。

○ツァボライト・ガーネット(Al,Ca)
→グリーンのガーネットの中では最も有名で人気。エメラルドを思わせる美しいグリーンと透明度の高さが魅力。

○トパゾライト・ガーネット
→イエロー。

○リューコ・ガーネット
→完全なる無色、カラーレスのガーネット。

○メラナイト・ガーネット
→不透明で漆黒のガーネット。

・・・などなど、挙げたらキリがありません。

ここまでくると、1月の誕生石はガーネットだけで十分だと感じますね。

その結晶を形作っている組成の中に含まれる成分で色や変種が変わるわけですが、上記のように、「本当に純粋で不純物が全くないガーネット=リューコ・ガーネット(無色・カラーレス)」になる宝石は他にもたくさんあります。

さてさて、ガーネットは「無い色はない」と長年言われてきた宝石でしたが、唯一存在しないとされていたのが「青いガーネット」でした。
かのシャーロックホームズの小説の中に出てきた青いガーネットはフィクションであったというのは有名な話です。

しかしこれも昔の話。

1990年代に発見された「ベキリーブルー・ガーネット」によって、ガーネットの色相環は完成されました(?笑)。

このベキリーブルー・ガーネットは、ブルーからパープルに光源の違いによってその色を変化させる「カラーチェンジ・タイプ」の非常に珍しいガーネットです。マダガスカルのベキリー地区というところから産出されたことから「ベキリーブルー・ガーネット」と名付けられたそうです。今、とても人気がありますよね。

私が見たことのあるカラーチェンジ・ガーネットは、ちょっと暗めのネイビーブルーから濃いめのパープルにカラーチェンジする、結構感動する美しい宝石でした。

太陽光のような自然光の下でブルーで、白熱灯やろうそくの光の下で艶やかなパープルの姿を現します。
しかし現代ではガス灯などがあるはずもなく、LEDや蛍光灯のような複雑な光で昼夜を問わず明るい世界。なかなか、純粋なカラー・チェンジの姿を自然の環境下で目にすることは少なくなりました。

そんなときは、私は暗闇でキャンドルを焚いて宝石を照らします。

炎の揺らめきと宝石の色と輝き、煌めきの揺らぎは最高の癒しです。

宝石と小声で語り合っているような、そんな静かな時間が流れます。

なんだか話が逸れましたが・・・。

そんなこんなで、ガーネットほど種類が多く組成も複雑で、これから新たな色や変種のものが見つかるかも知れないという面白い宝石はありません。

幸い、元々が安価な種類の宝石になるので、合成石に出会うこともあまりなく安心して購入できる宝石の一つです。人為的な処理もありません。

1月がお誕生日のあなた!
上記に挙げた意外にも、様々な色と種類のガーネットがまだまだあります。
是非、自分の好きな色合いのガーネットを見つけてみてください。
生涯の良きパートナーとして、あなたのもとでそっと寄り添い、輝き続けてくれます(^^)

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