#34 「part2 無色の宝石」に思うこと

さて、先日は私の「無色石との思い出」になってしまいましたが、今回はきちんと「無色石に思うこと」を綴っていきたいと思います。

宝石の美しさには「色」が肝要な要素の一つであることを前回書きました。
でも、その「色が無い」中でも"美しい”と評価される宝石は意外とあります。

○ダイヤモンド
○水晶(クォーツ)
○コランダム(無色のサファイア)
○ゴッシェナイト(無色のベリル ※エメラルドと同じ鉱物)
○ジルコン
○アクロアイト(無色のトルマリン)

などなど・・・。

基本的に自分を構成している化学成分の中に発色元素がない「他色性」の宝石の場合は、純粋な結晶として成長すると「無色」になるので、どの宝石にも「無色は大体存在する」と言っていいかもしれません。

では、どんな場合に色が生じるのかというと

○ダイヤモンド
→微量の窒素(N)でイエロー系。原子レベルでの歪みや欠陥でブラウン~からピンク色に。ホウ素(B)でブルー、天然の放射線でグリーンなど。

○水晶(クォーツ)
→鉄(Fe)のイオンの電価の違いで、紫色(アメシスト)や黄色(シトリン)に。天然の放射線でブラウン(スモーキー・クォーツ)など。

○コランダム(無色のサファイア)
→クロム(Cr)でルビー、鉄(Fe)とチタン(Ti)でブルー・サファイアに。鉄(Fe)のみだとゴールデン・サファイアに。

○ゴッシェナイト(無色のベリル ※エメラルドと同じ鉱物)
→クロム(Cr)でエメラルド、鉄(Fe)でアクアマリン。マンガン(Mn)でピンク色のモルガナイトなど。

○ジルコン
→タイプで色が異なる。はっきりと色の原因が分からない。

○アクロアイト(無色のトルマリン)
→複雑な組成のため、それぞれの色因を明記するのは避けます。種類としては、赤いルベライトやブルーのインディコライト、ネオンブルーのパライバトルマリンなど。

このように、無色の結晶にさらに色が付くことで変種が発生し、枝分かれするように宝石種が増えているのが分かると思います。

でも、こうしてみると大抵は「無色であるよりも、微量の不純物を含むことで色が生じた方が"価値が上がる”と言うことが分かります。

カラーレスのダイヤモンドよりもピンクダイヤやブルーダイヤの方が高価ですし、
無色の水晶よりも紫色のアメシストの方が人気が高い。
コランダムなんて色がついてルビーやサファイアと名前が付かないと見向きもされないし、
ゴッシェナイトにいたってはエメラルドやアクアマリンなどの元の宝石だと言われてもそもそも聞いたこともない。

・・・という感じではないでしょうか。

そう考えると、やはり無色でも単独でマーケットを確立している「ダイヤモンド」というものがいかに別格なのかが分かります。

一般的には、ダイヤモンドはカラーダイヤモンドも無色のダイヤモンドの延長線だと感じられているかもしれませんが、ダイヤモンド業界内の取引では「全く別物の感覚」で取り引きされています。

そこには目には見えないれけど「無色ダイヤモンド」と「カラーダイヤモンド」の明確な線引きがあり、全く別のものなのです。無色のダイヤモンドに比べて圧倒的に産出量が少ないこともあるとは思うのですが、価格も無色のダイヤモンドほど安定していなく、個体によってその取引価格はだいぶ変動します。(カラーグレードD~Zのイエロー系、ブラウン系は除く)

どちらかというと、グレーディング・システムと言うものが未だに確立していないカラー・ストーンに近いかもしれません。

「無色のダイヤモンド」が、それ単体でマーケットを確立している。

その類い稀な輝きの強さと耐久性の高さ、美しさ、希少性はやはり「希有な存在」であると唸らずにはいられません。

あなたが好きな宝石の「純粋な姿」はどんな姿ですか?
そしてその宝石は、どのような理由で今、その色と輝きであなたの目に映っているでしょうか?
その正体を知ると、さらにその宝石が魅力的に感じられると思います。

是非、調べてみてくださいね(^^)

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