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デザインと欲求の共進化、未来はパーソナル・ファブリケーションがつくる

今や、誰もが気軽にクリエイティブな活動をできるようになった時代だ。
そんな時代に、データさえあれば、ひとつの材料で、自由に立体物を作れる3Dプリンターは非常に有効な技術だと思う。

今回は、30年前の3Dプリンターの保持者でもある、田中浩也氏に、新しい「デザイン」「パーソナル・ファブリケーション」について、お話を伺った。

田中氏は、慶應義塾大学SFCの環境情報学部で教鞭をとり、デジタルファブリケーション、3D設計/生産/製造システム、創造性の科学と文化およびその支援を専門分野に、日本における「パーソナル・ファブリケーション」文化を進展させる実践と研究をされている。

目次
1)3Dプリンターができること(事例)
2)4D Fabrication Labの手掛ける最先端な研究領域
3)これから未来をつくる「パーソナルファブリケーション」


1)3Dプリンターができること(事例)

そもそも、 3Dプリンターでは、どのようなことができるのか?
下記に、田中氏が制作された3Dプリンターによる作品事例を3点紹介する。
まさに3Dプリンターだからできることだし、こうした技術の進化により、生活も進化していくのだろうかと感じる。

"Breathing Facade" by 3D-Printed Auxetic Pattern with Shape Memory Polymer

Morphing Design for Socially Interactive Autonomous Car by Multi-Material 3D-Printing

Floting Gestures

2)4D Fabrication Labの手掛ける最先端な研究領域

2005年にスタートした田中浩也研究室では、デザイン工学(エンジニアリング)の視点から、デジタル・ファブリケーションや3D/4Dプリンティングの可能性に国内でもっとも初期から着目し、その先端を開拓されてきた。
現在は、3つのテーマから研究をさらに深化させている。

ひとつめは、「DfAM (Design for Additive Manufacturing)」と呼ばれる、3D/4Dプリンティングでしか絶対に実現不可能な構造や造形技法の探求です。学生ひとりひとりが3Dプリンタを改造したり、世にない独自の3Dソフトウェアを実装したり、機能マテリアルの実験を行う中から、新技法が次々に誕生しています。

ふたつめは、研究室で生み出された技法をさまざまに組み合わせ、社会に向けて革新的な提案をする「Radical Solutions」の実践です。社会課題をそのまま解決しようとするのではなく、課題の前提や認識の構造自体を疑い、技術の力と意味のイノベーションの両方を駆使して、別の未来への移行(トランジション)を促すデザイン実践に力を入れています。

みっつめは、2030年に向けた未来都市(Fab City)および資源循環圏のビジョン構想、そして実現に向けたコラボレーションの先導です。 研究室には、エンジニアリング系の学生とデザイン系の学生が共存しており、「つくる」という活動を通じ、呪われた「文/理」の壁を壊しながら、現代にふさわしいタフネス(強さ)とフラジリティ(弱さ)を兼ね備えたデザインエンジニアを輩出しています。卒業生の多くはデザインイノベーションファームで働いており、自身で起業する学生も続々と登場しています。(2019.4.1)
(引用:https://fab.sfc.keio.ac.jp/

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3)これから未来をつくる「パーソナルファブリケーション」

このような最先端な研究をされている田中氏は、これからは、専門職の人だけがモノをつくるのでなく、"作りたい人が自分で作る" といった「パーソナル・ファブリケーション」によって、未来は切り拓かれていくと言う。

3Dプリンタという最新技術により、誰もがモノづくりをできるようになり、障害や課題を解決できるようになり、コストを抑えられるようになり、より良い「デザインと欲求の共進化」ができるようになる。

そうして、就職活動の在りようも、「就職」から「創職」へと変わっていくようだ。

情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第5回 田中浩也氏 2019/05/15