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転機は時代屋、ひとりの熱狂者とデザインの力がゆるやかに笑顔を生んでいく

今回は、建築やインテリアだけに留まらず、家具やプロダクトのデザイン、工房運営、そしてプロトタイプ展01-04などの展示会デレクションまで行う株式会社芦沢啓治建築設計事務所代表 芦沢啓治氏にお話を伺った。

芦沢さんは、横浜国立大学建築学科卒業後、1996年~architecture WORKSHOPに参加、2002年に家具製作工房 super robot に参加。そして2005年に芦沢啓治建築設計事務所を設立された。2011年には石巻工房を設立されている。多岐にわたるプロジェクトを手がけていらっしゃる。


1)クライアントは石巻、3.11.の風景。

2011年の東日本大震災の後、宮城県石巻市に通うなかで「どうせ行くならちゃんと役に立ちたい」という思いが芽生え、地域のものづくりの場として「石巻工房」という公共施設を立ち上げたそうです。石巻工房は現在、家具メーカーに発展し、規格材のみを用いたシンプルで機能的な家具を制作しています。(以下記事より引用)


地域の人たちの役に立ちたい、やればなんとかなる、100人いれば100通りのできることがある、自分は1人しかいないという思いで、公共広報の場を創っていったそう。

2)転機は 「 時代屋 」

ある時、閑散とした街に希望や楽しさ、笑いをということで、野外映画館を実施することになった。芦沢さんは、学校に行ってプレゼンをしたところ、賛同され、野外映画館を実施するためにベンチをデザインすることになった。今でも野外映画館は定例化し、場所は変わったが今でも続いているそう。

時代屋の様子はこちら。

その際にデザインしたベンチがこちら。

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ISHINOMAKI BENCH, 2011


3)地域の交流の場に

さらに繋がりを深めようと、お酒の力を借りるべく、バーを立ち上げることになった。そこで重視したのは、自分が好きな空間を作るということだそう。芦沢さんはこれがとてもよかったと語る。

ある時、海外の有名なハーマンミラーという家具のデザイン会社が、手伝ってくれるように。ただ家具を寄付するのでなく、ワークショップなどをしながら、みんなで500台くらいの家具(椅子)を制作。いいデザインは実際に利用者が作ることではないか、という考えだ。

今では、『IRORI』というカフェに進化。実は、私も石巻で開催されたリボーンアートフェスティバルでボランティアに行った際に訪れていた。開放的でとても心地よい空間だった。つい行きたくなる、ついまったり交流したくなる場だった。

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そんな石巻工房は、現在スタッフは6名、活動は10年目にして世界へ進出されだしているという。

いつ何が起こるかわからないけれど、その時々で必死に考えて決心したアクションが経験として積み重なり、こんな風に幸せを生んでいかれるのだなと思った。きっと芦沢さんのお人柄とモノづくり、地域を盛り上げたいという心意気に周りが動かされていったのだろうと思料する。そんなことがよくわかる素敵なお話だった。

情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第11回 芦沢啓治氏 2020/07/27