#131 浄化槽についてのお勉強
今日は、タウンページで探した近隣の浄化槽衛生社(=清掃業社)のKさんに朝来ていただいた。
というのも、物件に浄化槽が存在するのだが、いわゆるブロワーが見当たらず、本当に稼働しているのか、確認をしたかった為である。
来ていただいて、見ていただいて、いくつも学んだ事があった為、忘れないように記録しておきたいと思う。
■隠れていた浄化槽のフタ
まず、見えていた浄化槽のフタは2つであったのだが、それとは別に新たに右側に2つ、浄化槽のフタがあったのだ。
<当初見えていた浄化槽のフタ2つ>
<土に隠れていた浄化槽のフタ2つ>
<浄化槽全体像>
上記のように、全部で4つフタが存在した。
■浄化槽の状態
衛生社のKさん曰く、汚泥は右から左に流れる仕組みになっているという。
つまり、一番右が最も汚い水で、一番左が最も綺麗な水となっている。
実際、一番右のフタを開けてもらい見てみたところ、水かさが最も多く、一番左は水かさが最も少なかった(汚れ具合は一番左は暗くてあまりよくわからなかった)。
衛生社Kさん曰く、汚れ具合は、20%程度とのことで、特段問題はないという。
■ブロワーについて
当方がネットで事前に仕入れていた情報として、浄化槽にはブロワーが必要、と思っていた為、衛生社Kさんに聞いていた。
すると、意外な回答が返ってきた。
「このタイプは50年ほど前の『散水ろ過』という仕組みのもので、ブロワーは使わないタイプのものです」
とのこと。
代わりに、煙突のような「臭気抜き」という塩ビ管が3〜4メートル程上に伸びており、ここから匂いを逃す仕組みになっているとのこと。
よくみると近所に臭気抜きの煙突のようなものがたくさん存在した。
■(参考)浄化槽の種類
気になったので、浄化槽の種類についてGoogleで調べてみた。
Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%84%E5%8C%96%E6%A7%BD)によると、浄化槽は以下のように分類されるようだ:
・A. 旧構造基準(昭和44年(1969年)〜56年(1981年)+それ以前)
・A-1. 腐敗型
・A-1-①. 平面酸化方式
・A-1-②. 散水ろ床方式 ←※この方式
・A-2. 曝気型(ばっ気型)
・A-2-①. 全曝気方式(全ばっ気方式)
・A-2-②. 分離曝気方式(分離ばっ気方式)
・B. 新構造基準(昭和56年(1981年)〜)
・B-1. 分離曝気方式(分離ばっ気方式)
・B-2. 分離接触曝気方式(分離接触ばっ気方式)
つまり「散水ろ床方式」とは、「砕石等のろ材を充填し、その表面に生物膜を形成し水を処理する方式」とのこと。「腐敗型」の処理方式に使用される方式のようだ。
「腐敗型」とは、単独処理浄化槽の中でも一番最初に造られた浄化槽で、空気を好まない嫌気性微生物で浄化しているもの。浄化するスピードが、好気性微生物に比べて遅く、即効性がない為、その後全ばっ気浄化槽が普及していった、とのこと(出典:https://zyoukasou.com/ziten/joukasou-hu2.html)
空気を好まない嫌気性微生物で浄化しているので、空気を入れ込むブロワーが不要ということであったようだ。
なお、再びWikipediaによれば、腐敗型浄化槽の特徴として以下が挙げられるとのこと:
・1. ばっ気装置等の機械装置を持たないため、容量が大きく取られている
・2. 腐敗処理を伴うため発生する臭気の拡散と槽内の通風を確保するため臭突を設置する
・3. 槽の容量確保のために処理装置を深くするため、放流側にポンプを設置し放流する場合がある
■壊れている臭突
我が物件の臭突は根元で折れており、ブロックでフタがされていた。
衛生社Kさんによると、臭突は実は風が吹くと倒れてしまう事がよくあるそうで、新たに設置することはおすすめしない、とのこと。
ある程度の高さがないと、臭気が漏れた時に臭気が結構してしまう為、高く設置するが、高く設置すると倒れやすくなるとのこと。倒れないようにするには、支えをつける必要があるが、そのような場所もない。
その為、臭突を塞ぐフタをホームセンターなどで買ってきて、閉めてしまうのが最も手軽で良いのでは、という提案を頂いた(その代わり浄化槽内には臭気はこもるが)。
■近所と同じ衛生社
もう一つ提案を頂いたのが、近所と同じ衛生社による清掃をした方が良い、ということだ。
どうやら当方が今回見にきてもらった衛生社Kは、このエリアは担当をしていない、とのことであった。
物件が少々奥まっていて、浄化槽を清掃するバキュームカーが入ってこれない場所であることから、近所の家の浄化槽を清掃するタイミングで、一緒に清掃をするのが、ご近所からすると良いのではないか、とのことであった。
つまり、ご近所からすると、自分の家の浄化槽を清掃している時でない時に、自分の家の横をバキュームの管が通ってゴウゴウ音を立てているのは、あまり気分が良くない、ということであろう。
清掃業社も地域と密着しているので、近所に迷惑をかけてしまうので、できれば一緒にやってもらう方がお互いにやりやすい、とのことであった。
■本日の学び
ということで、本日は浄化槽について多くの学びがあった。
・1. 浄化槽にもブロワが不要なタイプが存在する
→今回の浄化槽は、昭和56年(1981年)以前の「旧構造基準」で使用されていた「腐敗型」の浄化槽のうち、「散水ろ床方式」を取っていた。「腐敗型」は空気を好まない嫌気性微生物で浄化しているので、空気を入れ込むブロワーが不要であった。代わりに「臭突」と呼ばれる煙突状のもので臭気を逃す仕組みになっている。
・2. 近所と同じ衛生社を利用する
→あくまで衛生社Kからの提案ではあるが、近所の心象を考慮すると、近所と同じタイミングに同じ衛生社で浄化槽清掃をするのが良いのでは、ということ。特に入り組んだ立地の物件である場合は、その方が近所・衛生社双方の手間からしても良いのではないか、とのこと。また入り組んだ立地の副作用がこのような点にも出てくるのだ、と改めて学んだ一件でもあった。
・3. 浄化槽の状態は早めに確認する
→今回は結果的に浄化槽の状態に問題がなかった為よかったが、万が一浄化槽そのものに問題があったり、排水管が断絶してしまったりしていた場合、近所にも迷惑をかけてしまう(そのような実例があったと衛生社Kが話していた)。購入前には水が止まっているため確認は困難かと思うが、購入後は速やかに確認する必要がある、と反省した一件であった
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