ドラフトで強いカードとは?
【はじめに】
MTGにはその場でパックから当てたカードだけで戦うフォーマット、通称「リミテット」と呼ばれるものが存在する。このフォーマットは主に6パックを剥いてそこからデッキを組む「シールド」と、3パックを多人数で回しながら組む「ドラフト」に分かれ、プレリリースでは「シールド」を、大会では「ドラフト」がよく行われている。
特にドラフトは腕が出るフォーマットであり、MTGの実力を伸ばす為にも挑戦すべきだろう。
この記事では、リミテッドにおける強力なカードを紹介する。大抵のパックで当てはまるだろう所感を述べていくので参考にして欲しい。
【ボム】
ボムとは、1枚で勝ちうる性能を持ったカードのことを指す。17.lands.comやマジギャザ徹底攻略点数表などで高いピック率を持っているものはボムなので意識してピックしたい。
色を変えたり足したりしてでも使いたくなる強力なものが多いが、3パック目などでピッグすると色が全く合わず、構築もそれに寄せなければ扱いづらいボム(多色で一切色が掠らないボムや色マナを3つ以上要求するカードなど)があるので注意すること。
無理に色を増やすと事故の原因になり結果的に勝率を落とすので基本は3色目をタッチせず、2色で纏めたい。
なるべく1.2パック目で引き当てることができたらラッキー程度に留めておこう。
『ボム紹介』
【除去カード】
リミテッドで勝つために最も重要なカードであり、初手ピックでレアが弱い場合はコモンの除去をピックするなんてこともしばしば。クリーチャーで殴り合うビート環境において除去は実質ボムであり、重要度は非常に高い。いくらボムをピックできても除去が無ければボムを活かせないこともあるので除去は強く意識しておこう。
【コンバットトリック】
リミテッドはクリーチャーの殴り合いがメインなので、相手の計算を狂わせる「バフorデバフ」のカードであるコンバットトリックの価値が非常に高い。特に、マナを立てて殴るだけで相手はコンバットトリックを警戒しなければならないのでコンバットトリックを持ってるように見せる動きも大切。除去とコンバットトリックをバランス良くピックしてコンバットを有利に進めよう。
【強いキーワード能力】
リミテッドでは構築フォーマットに比べて特定のキーワード能力が強くなる傾向がある。ピックの参考にして欲しい。
「飛行」
飛行はリミテッドで最強のキーワード能力だろう。1体の攻撃クリーチャーを2体以上でブロックできるMTGにおいて、地上を無視して一方的にクロックを刻むのは強力の一言に尽きる。地上が拮抗した状態で飛行3/1を殴らせ続ければ勝負は一瞬だ。
「二段攻撃・先制攻撃」
戦闘を有利にするキーワード能力はコンバットトリックとの相性が抜群に良く、+カウンターでスタッフを上げた時もリターンが大きい。正直飛行ほど狙って集める効果では無いが、攻撃を通しやすく防御性能を上げられるので価値は相応に高い。
「絆魂」
絆魂もまたコンバットトリックとの相性が良い、小競り合いで地道にライフを詰め合うリミテッド環境において、ライフレースを狂わせる絆魂の価値は非常に高い。順当に殴り合うだけで一方的に勝ててしまう。
「+カウンター」
キーワード能力では無いが、リミテッドでは一段と価値が上がるので紹介。+カウンターを継続的に得たりばら撒いたりするカードは、本来のマナコストに値するスタッツからどんどん成長していくので2マナのクリーチャーが実質5マナクリーチャーになるなど破格の性能を持つ。
カードのシナジーで戦う構築フォーマットとは異なり、カードの単体性能とプレイングで戦うリミテッドでの価値は非常に高いというわけだ。
「ドロー効果」
ドロー効果もまたキーワード能力とは異なるが非常に重要なので紹介する。キャントリップや常在能力による継続的なハンドアドを稼ぐカードは、実質追加ターンとなるため非常に強力。手数が相手より多くなる分有利だ。
ただし注意したいのは、ドロー効果だけのインスタントやソーサリーは弱いという点。あくまでもクリーチャーや除去など+αで価値を持ったカードに付いてないとテンポ損でハンドアド以上のディスアドが発生しかねない。ドロー効果だけのインスタントやソーサリーを採用するのであれば除去と大型を多めに取ったコントロールデッキなどそれ相応の工夫が必要になるだろう。
【ピックすべきカード・しない方が良いカード】
・クリーチャー
クリーチャーをピックする際の基本的な考え方は、パワーがタフネスより多いか否かである。特に、2.3マナまではこの考え方を意識することが大切になる。例えば
コスト/パワー/タフネス
2/1/3 と
2/3/1
のどちらをピックするか選ぶなら後者であるといった形だ。理由は単純、パワーが高い程クロックが大きく、より高いコストのクリーチャーと相討ちが取れるからだ。環境にパワー2が多い(カルロフ邸殺人事件)など特別な理由が無い限り2/1/3を好んでピックする必要は無いだろう。
・エンチャント
取るなら除去だろう。もちろんアド源として強いエンチャントもあるだろうが、レアリティが高くてもリミテッドではゴミになるカードは多い。カードによって違いが大きすぎてここでまとめて説明は無理なので、迷ったら17.lands.comや点数表を見て判断しよう。
「アーティファクト」
アーティファクトも基本的には除去を採用することになるが、エンチャントとは異なりマナを出すカードやマナの色を変えるカードがそれなりに存在しているので、3色目をタッチする時にお世話になるだろう。また、無色クリーチャーを採用することで、埋めきれなかったマナ域のクリーチャーを補填しやすい。序盤に狙ってピックするべきではないが3パック目後半などで足りないマナ域を補えるとデッキがまとまって良い。
装備品カードは基本的にテンポ損の原因なので採用したくないが、強力なものであれば採用の余地がある。
「インスタント・ソーサリー」
インスタント・ソーサリーは除去、コンバットトリックを採用して有利盤面を作る助けにしよう。特にインスタントは不意を突ける利点があるのでソーサリーより価値が高い。
レアをピックするより除去をピックして色を決めていくことも肯定されるくらいインスタント・ソーサリーの需要は高いので慎重にピックしていこう。
逆に価値の低いインスタント・ソーサリーはドローだけをするカードだろう。
リミテッドでは有効牌を探しに行くだけのカードは悠長すぎる。全てのカードを有効牌にするのがリミテッドの理想だ。ドローの質を上げるにしてもクリーチャーや除去におまけでついてる占術で十分だろう。
毎ターンマナを最大限使って強いクリーチャーを盤面に送り込み、殴り合う。除去で相手のプランを崩して殴る。そんなクリーチャー主体のゲームこそがリミテッドなのでドローでデッキを回すのはとても難しい。
【終わりに】
以上でドラフトで強いカードの紹介を終了する。今回はサンダージャンクションのカードを例に取り上げて解説したが、基本的にはどの弾にも共通する考え方を共有したつもりだ。ドラフトはプレイブースターの影響でボムが多くなったため考え方を改める必要があるだろうが、基本的な考え方は変わらないと信じて執筆した。今後ドラフトの常識が変わるようであればそれはそれで楽しみである。
それではまたどこかの機会で