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出身地を言うときに躊躇する

先日、映画を観に行ったら予告で『破戒』をやっていた。

高校の時に読んで、とても悲しくつらい物語だったこと、

「奈何な苦しい悲しいことが有らうと、其を女々しく訴へるやうなものは大丈夫とは言はれない。世間の人の睨む通りに睨ませて置いて、狼のやうに黙つて死ね」


という文言が刺さったこと。

とても考えさせられる物語だったのに、主人公「丑松」をずーっと「五松」だと思って読んでた自分のアホさ加減にあきれたこと。

「五男じゃなさそうなのに何でかなー?」って。

その 3 つがセットになって思い出された。
まふ一度読んでみやうかな。


私は神奈川県横浜市の出身である。
高校まで市または県立の学校に通っていたため、東京にある専門学校に行くまでは「(横浜市) 〇〇区」より前の出身地を申告する機会はなかった。

したがって、入学時にはおなじみの「自己紹介」で「横浜」と述べたところ、他県の同級生から「凄い! 海見えるんだ!」という反応が返ってきてしまった。

まったく見えないのに。


また、

「横浜出身の人は、自分の出身地を '神奈川' と言わずに '横浜' というところがプライド高い」

という印象を持つ人も一部いるそうだ。

これは正直、横浜に限らず札幌・仙台・名古屋・金沢・神戸などにも言えるのではないかと思う (不思議と「博多・天神はいない?」)。

そしてプライドが高い云々ではなく「そっちの方が有名」だからというだけの話ではないのだろうか。

たとえば「兵庫出身」と言われたら、「あ、神戸ではないんだ」という印象を受ける。

なんとなく、「神戸に旅行したときの話をしてもしょうがないかな」みたいな気分になる。

しかし、

  • 「横浜出身」と言うと、家から海が見えると思われる

  • 「いけ好かないやつ」認定される

というリスクを考え、最近はもう「神奈川」一辺倒にしている。
そもそも横浜に住んでいたのも 19 歳までだし。


「神奈川のどこ?」と、神奈川県出身者以外から訊かれることはないように思うし。
(多分「あ、'神奈川' って答えるということは横浜ではないのか。横浜以外の神奈川は詳しくないから、突っ込まないでおこう」みたいな心理が相手にも同様にはたらいているのではないかと)


また「実家どこなんですか?」という、婉曲的手法で出身地? を訊かれた場合はさらに困る。

両親は横浜を離れ、自分たちの故郷に帰ってしまったからだ (横浜への転勤後に私が産まれる)。

実家の県名を答えると「九州の人」認定されてしまい、全然わからない話を振られてしまう。
10 歳くらいまでの夏休みに墓参に行っていたことがあるだけなので、地味に困る。


海外の人に言うときは、「東京の近く」と言うことにしている。意外と横浜を知っている人もいて (でも神奈川は知らないかな…)、どこが正解なのかはまだわからない。

しかし先日、オランダ出身の方が「アムステルダム近く」と言っていたので、やはり「首都」中心に言うのがわかりやすいのかもしれない。


社会に出て思ったのは、「初対面の人によく出身地を訊かれる」ということだった。

「地元界隈から出ない人あるある」かもしれないけど、人の出身地など気にしたことなかった。
当たり前のように東京・神奈川・千葉・埼玉のいずれかの人達だと思っていたから。

出身地カーストを気にする人ならいざ知らず、わざわざ上記 1 都 3 県のどこから来たのかを訊く必要がないと思っているから。
(私の方が少数派という可能性もないじゃないが)


東京以外の 3 県は、みんな東京に簡単にアクセスできる。そして「東京より自分の県は田舎」だと理解している上に、各県それほど変わり映えがない。

それぞれ自然が豊かなところもあるし、栄えている部分もあるし。
だからそんなに (似たり寄ったりだから) 興味ないというか。

京都・大阪・神戸で三都物語ができるようなものとは違い、それぞれ大きく異なる特徴があるわけでもない。



神奈川には東京ほど何かあるわけではないし、箱根や鎌倉に「自然・文化あります!」と言っても、北海道や京都には到底かなわない。
全体的に中途半端で他県の人への「おすすめポイント」を挙げるのが難しい。


住んだ感想としては (出身地の) 神奈川より千葉 (船橋) の方が断然便利。成田にも羽田にも 1 時間でアクセスできるところがすごく良かった。

ららぽーとや IKEA には自転車で行けて、海沿いの開放感もある。
競馬やボートレースなんかがあるから「ギャンブルの街」として知られているらしいが、その代わり潤ってもいるらしい。

美味しい食べ物屋さんにも困らないし、人口密度があまり高い感じもしない。

ただし、ロフトや太宰も泊まったという老舗旅館「玉川」がなくなってしまったことは大変悔やまれる。

「女性の夜道のひとり歩きは危険」とあるが、個人的にはほとんど危険な目には遭わなかった。
俗に言う「立ちんぼ」のお姉ちゃんがいる場所もあるので、興味のない男性は毎回声をかけられたりして煩わしそうだったが。



神奈川って、「郡」あるんだ!?
と、高校の時に覚えた衝撃は忘れられない。

世間では都会的なイメージがあるかどうか詳しくは知らないが、「郡」あるんだよ。
そこでブヨとかいう虫に刺されたよ。


個人的に一番好きな神奈川は小田原かもしれない。
ノンビリしていて、良い。
かまぼこが名産というのもなんか面白い。
静岡が好きなので、静岡っぽいところも良い。

「生命の星・地球博物館」も、昆虫標本や剥製などが所狭しと並べられていて面白い。

他県からわざわざ行くところではないが、なかなか見どころがあって小田原・箱根方面へ行くならおすすめ。


神奈川自慢をするなら、鳩サブレー。
本店で鳩サブレーの由来の話を読んでいたら、興味深かった。

初代の店主がイギリス人? からビスケット? をもらったのだそうだ。
そしてそれに使われていた材料 (バター) がわからなくて、大変な苦労をして探し当て、ついにそのバターをたくさん使って売り出したところ、

「バタくさい」

と言われ、受け入れられなかったそうだ。

個人的にツボった。

なぜ現代で受け入れられるようになったかは失念した。
大人になってからもたくさんの銘菓を食べたが、子供の頃から変わらず「やっぱりおいしいなぁ」と思うのはこの鳩サブレーと桔梗屋信玄餅だと思う。


上記 2 つほど有名ではないが、彦根の「埋れ木」はすごくおいしい。


あと三重の「なが餅」。


富山の「鹿の子餅」も挙げておこう。


おいしい銘菓はいくらでもあるからここら辺にしておこうかな。



話を戻して。

地元から出ない限り「(どうせ東京または自分と似たような県なのだろうという憶測から) 相手がどこ出身か?」ということに、興味を持たないし、人に訊くこともない。

「訊いて出身地を答えてもらったが、全然知らない場所だと対応に困る」リスクもあるし。
そもそも東京・千葉・埼玉に詳しくない。

というか神奈川にも詳しくない。


したがって初対面の人に出身地を訊かれたら、「あ、この人はこの辺の人ではないのか」という印象を受ける。


もし、「上京してきたことを知られたくない!」という方がいらしたら、上記の質問を人にしてはいけない。


私は 47 都道府県すべて旅行に行ったが、最後になったのは茨城だった。


ただし、その中でも千葉は「旅行に行った」というよりは、数年住んでいた場所だし、成田空港やディズニー系のテーマパークがある都合上行っただけとも言える。
房総半島の菜の花や桜は未だに見たことがない。

埼玉も川越と盆美 (盆栽美術館) に行ったのみで、「旅行した」とは言えないかもしれない。
本当は秩父あたりの滝を見に行きたい。


やはり近い & 似たようなところは興味の順位が下に来るような気がする。


栃木は小学校の修学旅行で日光に行っているし、大人になってからも訪れている。
1 都 6 県の中では (東京・横浜の中心地を除いたら) 群を抜いて「訪れる価値がある」認定される場所ではないだろうか。
なんたって世界遺産だし。


「人に出身地を訊く」という発想がないこと、および「訊かれたくない人もいる」ということを総合すると、相手が「明らかに他県の出身である」ことを匂わせていない限りは、率先して訊くことはない。


しかし、面白いなと思ったのが、

「出身地によって修学旅行先が違う」

ということだった。


一部先述のとおり、私の修学旅行先は下記だった。

・小学校 → 日光
・中学校 → 京都、奈良
・高校 → 沖縄


だから名古屋出身の人に、当たり前のように

「なんか修学旅行のとき阿蘇山で黄色い砂売ってるおじさんいるじゃん?」

と言われたときは、「何の話!? (^^;)」と思った。
↑ 調べても出てこない。黄色い砂じゃないのかな?


そうか、地域によって修学旅行先って違うんだ!(みんな京都・奈良だと思ってた)



基本的に「学習」絡めているから、北海道だったら網走刑務所とか行くのかもしれないし (現代はウポポイかな)。

沖縄の私たちはやはり「ひめゆりの塔」に行ったし、戦争体験者の談話も組み込まれていた。

広島・長崎に行ったという話も聞く (神戸出身)。


たまに東京で修学旅行生らしき集団を見かけるが、東京に修学旅行に来るのは何県なのだろうか。
そして東京以外にも寄るのだろうか。


出身地の話って、広げるのが難しい。
みんながみんな県庁所在地から来ているわけではないから、旅行で行った先とかち合わない場合も多々ある (愛媛だけど松山じゃないとか)。


私の担当の美容師さんは奄美大島出身らしいのだが、私の出身地にもそのくらいのインパクトが欲しい。

また近々自己紹介しなければならない & 出身地を告げられるかもしれないイベントが控えているので、これを機に修学旅行先も訊いてみよう。


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