積立投資でFIREできると言っている人が見落としている致命的な点
積立投資でFIREできると主張する人がいる。
否定するつもりはない。
可能だからだ。
しかしながら彼らのダメなところは、積み立て投資でFIREできる「条件」を説明していない事だ。
彼らが説明することは、投資先の話だけである(おそらく証券会社の宣伝で書かれたコラムだからだろう、要するにステマである)。
断言しよう。
彼らが主張する投資先に投資したところで誰もがFIREできるわけではない。
その理由について説明しよう。
■毎月の積立額が一定以上でなければ無理
積立投資で「お金を増やすこと」に成功する人は多いだろう。
ただ、目標に到達するかどうかは別の話だ。
例えば完全なるFIREをするとして巷でいう年金生活に到達するまでの生活費とやらを確保するとしよう。
仮に生活費が毎月20万だとして年間240万、予備費を入れて250万としよう。
20年間働いてFIREする場合。
年金生活まで約25年なので6250万円を積立投資で作ることになる。
年間利回り4%で計算して月々17万円の積み立てが必要です。
では30年でFIREするならどうか?
生活費は15年分でいいだろうから、目標金額を3750万円に変更する。
月々5.4万の積み立てが必要です。
この数字を見てどう感じるだろうか?
私の感想は「馬鹿馬鹿しい」である。
こんな高額な積立金額を確保できるのは独身か生活に余裕がある人間だけだ。
積立投資でFIREできると主張している人は自分が「強者」であることを理解していないのだ。
結論を言おう。
「積立投資でFIRE」は多くの人にとって夢物語である。
理由はここまでで十分だと思うが「生活費をもっと下げれば」とか「年間利回りはこんなもんじゃない!」とか反論してくる人がいるだろうから追い討ちをかけておきます。
■FIREできても老後資金が管理できない
知らない人はいないと思うが、FIREすると年金受給額が減る。
基礎年金は変わらないが、厚生年金は働いている期間と年収に依存するからだ。
積立投資でFIREするのが現実的ではない理由の2つ目は年金が少ないのにも関わらず「貯まったお金を管理できるスキルが無い」という事だ。
積立投資でお金を作った人の共通点は投資知識が皆無であること。
若い頃の投資の失敗は労働で挽回できるが、老後の投資の失敗は致命傷だ。
老後は取り崩しフェイズなので一括投資となる。
放置した場合一括投資は積立投資に比べ成功率が低い。
目標金額までお金が貯まっていても、マーケットに翻弄されて毎年平均4%の収益が維持できず、原資が減っていくだろう。
生きている間、景況感がずっと良ければお金はもつと思うが、今の様な相場だった場合、資金の減りは早くなる。
原資が減れば4%の収益では足りなくなる。
そして仮に資金が増えたところで適切な利益確定が出来ないため、再び下げに転じた時に資金を減らす。
こういった理由から金融機関(FP、証券会社、銀行等)に相談して自ら「カモ」になる。
積立投資を金融機関が推奨するのは投資知識を持たせないためだ。
投資知識が無ければ一生依存してくれるからだ。
そのあたりは全く考慮に入れていないと思うので、FIREした後に資金が徐々に減っていく恐怖に耐えかねて結局働くことになるだろう。
FIREは資金を作るだけでなく、管理する能力も問われる。
もし管理する能力を持たずにFIREしたいなら生活費を年金の範囲内に抑えるか、老後の分まで余分にお金を作る必要がある。
老後のお金は理想の生活費から年金額を引いて、自分が生きるであろう年数をかけた分だけ用意すればいい。
これを用意するとなると現役の間に積み立てる金額は更に多くなる。
ここまで読んで現実的に思える人は相当高給取りなのであろう。
この様に積立投資でFIREできる人間は限られる。
限られた範囲で可能であることをさも全ての人間が出来るように紹介するのは良くない。
誤解して挑戦してしまう人が出てきてしまう。
これは立派な優良誤認であり、証券会社がバックにいると言われても仕方のない案件だ。
私が株式投資でFIREをすることをお勧めしているのは、貧乏人含め全ての人に可能性があるからだ。
勿論積立投資を行うよりも難しいし、苦労もする。
しかし可能性の無いものに長い年月を浪費するよりよっぽどマシなので、毎月5万円以下しか積み立てられない人達は、是非株式投資や不動産など他の資産形成にも目を向ける事をお勧めします。
ではでは・・・・