言えないことを想像してみる
最近北京冬季五輪の外交的ボイコットがニュースになっている。今日の新聞を読むと、日本は外交ボイコットよりも柔らかい判断をすることで落ち着くみたいだけど、もう少し考えてほしいと思う。
今まで頑張ってきた選手にとって全面ボイコットは流石にできない。というのが大方の味方なんだと想像するし、そういう空気のようなものも、感じる部分はある。けれど、もう一つ想像力を働かせてみたいと思う。
もし、自分の子供、兄弟、伴侶がオリンピックの代表だったら、あなたは、北京五輪にその人を参加させたいと思うのか?
正直な自分の気持ちを言えば、ノーだ。全くもって、行かせたいとは思えない。もちろん当事者の中にもそう考える人が少なくないような気もする。反対に、4年に一度の大舞台に今までの人生をかけてきた選手だっていないとは言えないけど。
でも、もし、行きたいと思えない選手が居たとして、彼らが「行きたくない」と言える立場にあるのかというと、それも全くもってノーだろう。大概の選手は活動資金を企業やその協議会から援助を受けていたりする。その結果のオリンピック出場なのだから、それを個人の判断で「行きたくない」とは言えないような気がする。もし、自分が当事者なら、まず言えないだろう。
中国の話題のテニス選手が現在どういう状況にあるのか、誰もわからない。無事というニュースはあるにしろ、どういう状況で無事なのかわからない。軟禁されている可能性もゼロとは言えないし、もっと酷い状況であることを想像している人(私はその立場なのだけど)も、少なくはないと想像している。
あくまで想像の域を出ないから、不安なのだ。
今現在の数字はよくわからないけれど、少なくとも今年の2月のニュースを見ると、スパイ罪のようなもので彼の国に拘束されている邦人は8名いる。他の罪状であればもっといる。そして彼の国は、ある党の意向でどんな罪名でも付けることが可能なのだ。
日本のスポーツ選手が政治的な発言をしているという事実を私は知らない。けれど、私が知らないだけで、している人はいるかもしれない。彼の国にとって都合の悪い思想を持っている人もいるかもしれない。そういう人が彼の国で開催される(しかも、外交ボイコットまでされている)オリンピックに喜んでいけるのだろうか?ましてや、自国のアスリートに性的暴行を党の幹部が平気で行うことができる国へだ。
出場権を持っているアスリート全てが成人しているとは限らない。そういうアスリートを守ることも考えなければいけない。彼の国の現状は、疫病よりも怖いのではないかと私は危惧している。
そう考えると、全面ボイコットしてあげるのも、アスリートを救うことになるのかもしれない。
追記:現在、中国で逮捕拘束されている邦人の数は、刑事犯も含めて98人でした。
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