見出し画像

孤独に酔っていた自分が魂をかき乱される曲「Wind Climbing ~風にあそばれて~」

若い頃の私は、とにかくひねくれた性格だった。

友達が少ないのを「孤高」だと勘違いし、「あいつらのような群れている奴らと俺は違う」と思っていた。
孤独な自分に酔っては、寄り添ってくれた人たちにも冷たい対応をすることがあった。

その事が愚かだということに気づくのに何年もかかった。
そんな気持ちを思い出させるアニメの曲に、私は出会った。

魔法陣グルグルのエンディングに「Wind Climbing ~風にあそばれて~」という曲がある。

この曲を歌っていると、どうしても最後まで歌えなくなってしまう。
途中の歌詞で涙があふれ、感情が極まってしまうのだ。

それはこの歌詞である。

「脇道を独り歩く そんな自分に みとれてみたり
歩き疲れたあの人へ 冷たい言葉を 平気で放つ」

「Wind Climbing~風にあそばれて」より引用

ここでぶわぁと涙があふれてくる。

「脇道を独り歩く そんな自分に みとれてみたり」

孤独で、独りよがりで、自分を欺くためにうそぶき、努力している人たちを見下していた自分が重なる。
そしてそんな自分が、好きだった。歪んだ自己愛は、やがて表面となって現れていたことだろう。
だから友達が少なかったのだと、今になって思う。

「歩き疲れたあの人へ 冷たい言葉を 平気で放つ」

大学の時、せっかくの食事に誘ってくれた友人に、好きな料理でないことをわざわざ伝えたり、
自分を必死に磨いている人たちを、心の中で「浮ついたやつ」と見下していたり。
気取っていたから、好意に素直になれなかっただけなのに。
自分自身の醜さを直視できなかったから、あえて他人を下げていただけなのに。

この曲を歌っていると、自分の奥底に眠る記憶を掴まれ、魂をかき乱されているようで、苦しい。
同時に、魂が震えるほど共感してしまう。
ただのアニメのエンディングかもしれない。だが、私にとっては人生を貫き通されるような偉大な曲なのだ。

聴くたびに、歌うたびに、曲は語りかけてくる。
自分はあの頃よりましになることができただろうか。
未だに独り歩いている自分に酔って、努力している人たちを見下してはいないかと。
私は魂が迷いそうになったとき、いつもこの曲を流すのだ。