見出し画像

ESG TECH PITCH #9 - 生物多様性 & ネイチャーポジティブ編 開催レポート

2024年6月19日、CIC Tokyoにて「ESG TECH PITCH #9 - 生物多様性・ネイチャーポジティブ編」が盛況のうちに開催されました。事前に300人を超える参加申し込みがあり、会場とオンラインの両方で多くの方々にご参加いただきました。

本イベントでは、生物多様性の保護とネイチャーポジティブに取り組む8社のスタートアップが革新的なソリューションを発表していただきました。参加企業は以下の通りです:

  1. サンリット・シードリングス株式会社

  2. アクプランタ株式会社

  3. 株式会社バイオーム

  4. 株式会社エンドファイト

  5. ミドリクNbS株式会社

  6. 株式会社イノカ

  7. 一般社団法人Co

  8. 株式会社sustainacraft

各社のピッチでは、生態系データの収集・分析、気候変動に強い植物の開発、森林再生技術、自然資本の可視化など、多岐にわたる革新的なアプローチが紹介されました。

【1】石川 奏太 氏 / サンリット・シードリングス株式会社 代表取締役 (現地登壇)

石川 奏太 氏 / サンリット・シードリングス株式会社 代表取締役 / 2015年 筑波大学生命環境科学研究科博士後期課程修了 博士(理学)。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)、Institut Pasteur研究員(フランス)を経て、2020年サンリット・シードリングス株式会社の立ち上げに研究開発部長として参画、2022年3月より現職。 【サンリット・シードリングス株式会社】 生物多様性の科学で持続可能な地球生態系を実現することを目指し、2020年に設立された京都大学発スタートアップです。生態学・情報科学・ゲノム学を融合した技術アセットに基づき、生物多様性の分析・設計・再構築・評価に関わるサービスを提供しています。

【2】金 鍾明 氏 / アクプランタ株式会社 CEO・東京大学大学院農学生命科学研究科 特任准教授 (現地登壇)

金 鍾明 氏(右端) / アクプランタ株式会社 CEO・東京大学大学院農学生命科学研究科 特任准教授 奈良先端大学院大学で博士号取得後、UCLA分子生物学研究所にてポスドク。その後、理化学研究にて、植物を用いたエピジェネティクス研究を展開。基礎研究の成果から、植物の新規乾燥耐性化機構を発見し、この技術を社会実装するために2018年に理化学研究所認定ベンチャーとして「アクプランタ株式会社」を起業。 【アクプランタ株式会社】 地球沸騰化による旱魃と熱波から植物を守るだけでなく、生産性を向上させるバイオスティミュラント「スキーポン」を開発・販売。国内で広く利用されているほか、米国やウガンダ等を含む世界14カ国で実証実験を開始。エピジェネティクスに基づく研究を通して「気候変動をともに生き抜く」新技術の開発を進めている。

【3】藤木 庄五郎 氏 / 株式会社バイオーム 代表取締役CEO (現地登壇)

藤木 庄五郎 氏 / 株式会社バイオーム 代表取締役CEO / 2017年京都大学大学院博士号(農学)取得後、(株)バイオームを設立。2030生物多様性枠組実現日本会議行動変容WG 専門委員。日本自然保護協会 評議員。ISO/TC331(生物多様性)日本国内審議委員会オブザーバー。MITテクノロジーレビュー「Innovators Under 35 Japan 2021」に選出。【株式会社バイオーム】 株式会社バイオームは、生物多様性データをスマホ経由で収集する独自のアプローチを構築し、これまで難しかった生物多様性評価システムの構築を担ってきました。生物の分布推定をはじめとした高度なデータ解析技術を用いて、TNFD対応支援、市民参加型調査の企画運営など、ネイチャーポジティブエコノミーを支える新サービスをリリースし続けています。

【4】風岡 俊希 氏 / 株式会社エンドファイト 代表取締役兼CEO (現地登壇)

風岡 俊希 氏 / 株式会社エンドファイト 代表取締役兼CEO / 外資・内資系コンサルティングファームで新規事業戦略策定支援、創薬ベンチャーで経営企画、ITメガベンチャーでアフリカの新規事業立ち上げ支援に従事。その後、官民ファンドにて大学発スタートアップへの投資と研究者との共同経営を経験。 現在は、茨城大学発ベンチャー(株)エンドファイトを創業し、代表取締役に就任しながら複数のベンチャーや自治体のアドバイザーを兼任している。【株式会社エンドファイト】 森林土壌由来のプラットフォーム微生物「DSE」技術の実用化を通じ、通常では生育が困難な条件下で植物の良好な生育を実現する。農業資材、苗の開発、生産、販売を行うとともに、様々な企業や機関とのオープンイノベーションを通じ、世界の食糧危機解消や森林・土壌の再生を目指していく。

【5】関 隆史 氏 / ミドリクNbS株式会社 代表取締役 (現地登壇)

関 隆史 氏 / ミドリクNbS株式会社 代表取締役 / 早稲田大学卒、楽天(株)を経て、国内最大手の産業ドローンスタートアップの創業メンバーとしてドローンLiDAR開発事業部門の立ち上げ。国内におけるドローンLiDARを活用した森林計測等の利活用を推進。海外複数ドローン企業のM&Aを経て、欧州拠点CEOを歴任。その後、JAXA航空技術部門での新規事業開発や、日系大手メーカー新規事業室にてNbS事業の創出、サステナビリティ部門にてTNFDやCSRD等の開示業務に従事。その後、MiDriq NbS, Inc.を創業。【ミドリクNbS株式会社】 自然の保全と人間のWell-Beingの両方の実現を目指す"NbSスタートアップ"として創業。ドローンや人工衛星、IoTセンサ等を活用した自然資本・生物多様性の可視化・モニタリングサービスを提供。建設・製造業を対象に、原料調達や開発地の自然資本・生物多様性の計測・評価サービスの提供や、OECM登録地、グリーンインフラの持つ自然資本の機能性評価、モニタリングを行うdMRVサービスも提供。

【6】小薗 大臣 氏 / 株式会社イノカ 研究員 (現地登壇)

小薗 大臣 氏 / 株式会社イノカ 研究員 / 熊本マリスト学園高等学校卒業後、宇都宮大学農学部農業環境工学科に進学(2020年)。研究室では、土砂堆積がサンゴの生育に与える影響を題材に卒論を執筆。サンゴ関連で偶然イノカに出会い、その社会的意義に可能性を感じ2024年4月に入社。研究開発が主な活動であるが、営業や採用にも関わっている。 【株式会社イノカ】 株式会社イノカは、アクアリストたちの知見とAI・IoTの技術を掛け合わせた「環境移送技術®」を使い、生き物が生息する任意の環境を閉鎖空間内に再現します。この技術をベースとした海洋治験サービスや環境教育などの事業を通し、「人類の選択肢を増やし、人も自然も栄える世界をつくる」ことに日々挑戦しています。

【7】鳥井 要佑 氏 / 一般社団法人Co 理事 & 株式会社Jizoku (現地登壇)

鳥井 要佑 氏 / 一般社団法人Co 理事 & 株式会社Jizoku / 東京大学大学院農学生命科学研究科にて修士課程修了。これまで、廃棄食材を利用した商品開発や放置林の持続可能な保全を目指したプロジェクトなど、環境の諸問題について幅広く活動を展開。 【一般社団法人Co】 農業分野でカーボンクレジットの創出に取り組む。 人工衛星を活用したモニタリングや、生物調査を実施し生物多様性にも配慮を行った高品質なカーボンクレジットの創出を行う。 これにより、多面的機能の評価、持続可能な農業の実現に取り組む。

【8】末次 浩詩 氏 / 株式会社sustainacraft 代表取締役 / 工学博士 (オンライン登壇)

末次 浩詩 氏 / 株式会社sustainacraft 代表取締役 / 工学博士 / コンサルティング業界で10年強データサイエンスを軸に様々な業界での案件に従事し、独立起業。並行して東京大学の先端研にてマルチエージェント強化学習の研究、衛星コンステレーションスタートアップでソリューションR&Dに従事したのち当社を創業。東京大学先端研博士課程(工学博士)、INSEAD Management Acceleration Programme修了。 【株式会社sustainacraft】 サステナクラフトは、「自然資本への資金循環の促進」をミッションとする自然由来カーボンクレジットのデューデリジェンスに特化したスタートアップです。GXに取組む企業向けに、信頼性の高い海外のカーボンクレジットを低コストで調達できる「共同調達プラットフォーム」を展開しています。

審査員として以下の4名の皆様にご参加いただき、様々な専門的な視点から各プレゼンテーションに対して鋭い質問と有益なフィードバックが提供されました。

  • 山下 紘史 氏 (シンプレクス・キャピタル・ インベストメント株式会社 バイスプレジデント)[慶應義塾大学経済学部卒業後、 大和証券にて上場審査や自己勘定投資業務に従事。その後、 慶應イノベーション・ イニシアティブにてベンチャー投資業務に従事。 現在は、シンプレクス・キャピタル・ インベストメントにてレイトステージのスタートアップを投資対象 としたグロースファンドを運用。]

  • 石田 ともみ 氏 (環境エネルギー投資 ベンチャーキャピタリスト兼インパクトオフィサー)[新卒で電通に入社し、 営業局にてグローバルのブランド変革等を担当。その後、 国連開発計画(UNDP)にてSDGsビジネスやイノーベーショ ンプログラム、アフリカのスタートアップ支援に携わる。 英国留学後、EY本社ロンドンの戦略部門 ParthenonにてClimate tech等の案件を担当。ケンブリッジ大学経営学修士(MBA) 、CFAインスティテュートESG投資サーティフィケート取得]

  • 服部 徹 氏 ( PwCコンサルティング テクノロジーデジタル事業部 新規事業開発部 シニアマネージャ)[東北大学環境科学研究科修士、 九州大学大学院都市システム工学専攻単位取得後退学( 環境経済学)。
    IT企業、製造業などでデータサイエンス/ AI分野でのテクノロジーコンサルティング業務に従事後、現職。PwCコンサルティングでネイチャーポジティブの分野のチームを リード。また、環境NGO/NPOとして、20年以上、 環境ビジネスプランコンテスト、生物多様性×ビジネスの主流化、 生物多様性のCEPA(普及啓発)活動に従事。]

  • 道家 哲平 氏 (国際自然保護連合(IUCN)日本委員会事務局長)[国際自然保護連合(IUCN)日本委員会事務局長。千葉大学大学院在籍時の翻訳ボランティア活動を経て、2003年より日本自然保護協会(NACS-J)に所属。同協会が事務局を務める国際自然保護連合(IUCN)事務局担当職員を兼務後、2016年に事務局長に指名。2008年の生物多様性条約(COP9)以降、全COPに出席し、2010年愛知県で開催されたCOP10では、NGOグループの全体運営を統括。生物多様性の世界目標に向けて、行政・企業・自治体・NGO・研究者をつなぐ「にじゅうまるプロジェクト」を展開する他、世界動向の情報収集と分析、分かりやすい発信を実践する。各種委員会検討会の委員就任や講演等多数。]

イベント後半では審査員による厳正な審査を経て、優勝者1名、準優勝者2名の発表が行われました。結果は以下の通りです。

  • 優勝 | 藤木 庄五郎 氏 / 株式会社バイオーム 代表取締役CEO

  • 準優勝 | 金 鍾明 氏 / アクプランタ株式会社 CEO・東京大学大学院農学生命科学研究科 特任准教授

  • 準優勝 | 石川 奏太 氏 / サンリット・シードリングス株式会社 代表取締役 

登壇された全ての企業様の発表は非常にレベルの高いものばかりで、生物多様性・ネイチャーポジティブ分野は今後さらなる成長が期待されることが審査員の皆様の講評からも何度も指摘されていました。今後の継続的なイノベーションと市場の創出に対しての希望や展望も力強く言及されていました。

イベント終了後には会場参加者同士のネットワーキングセッションで締めくくられました。本イベントを通じ、生物多様性とネイチャーポジティブの分野における日本のイノベーションの最前線が紹介され、参加された皆様に刺激や学びの機会となり、また同じ志を持つ方々同士のつながりが生まれる機会となっていたことを、主催者一同、心より願っております。

環境エネルギーイノベーション(E&E)コミュニティは、今後も定期的にこのようなピッチイベントやパネルディスカッションなどを開催し、環境・エネルギー・サステナビリティ分野でのイノベーション創出と、スタートアップの成長支援を続けていく予定です。


今回初めてE&Eコミュニティのことを知っていただいた皆様へ

CIC TokyoU3イノベーションズが立ち上げた環境エネルギーイノベーションコミュニティ(E&Eコミュニティ)は、昨今のサステイナビリティやカーボンニュートラルへの関心の高まり、イノベーションによる社会課題解決の期待を背景として、イノベーション・エコシステムのステークホルダーが集い年間を通じて多様な活動をすることによるスタートアップの成長やスタートアップ・大企業・研究機関・行政機関等の協業を通じたイノベーション創出を行っています。

【コミュニティメンバーを募集中です!】

現在コミュニティメンバー(スタートアップや起業家、研究者や企業の個人会員は参加無料!)と協賛企業を募集中ですので、本コミュニティのプログラムについて詳しく知りたい方は、環境エネルギーイノベーションコミュニティ運営事務局(env-startups@cic.com)までご連絡ください。

コミュニティへの参加申込はこちら↓

https://forms.gle/v97kx8FB9aM1QGMM7

X(Twitter)アカウントも開設しました! @eande_community : フォローしていただくことでイベントやコミュニティアナウンスメントをご覧いただけます。

 (レポート執筆:E&E事務局)

いいなと思ったら応援しよう!