【戦評】 ぼくらの浅村が教えてくれた「好球必打」の重要性と難しさ~5/25●楽天1-4オリックス
岸復帰戦、白星で飾れず
満員御礼の楽天生命パークで行われた岸復帰戦。
岸も今季初白星に届かず、チームも勝利を飾ることができなかった。
心配された背番号11は、問題なしの快投劇。
いつもどおりのポーカーフェイスで、いつもと同じ高品質のゲームメイクを披露した。
7回3安打1失点は、楽天移籍後のレギュラーシーズン通算25個目にあたるハイクオリティスタートだ。
しかし、左投手打率.199の打線が、本戦でも『左投手打てない病』を発症。
左腕・成瀬との間で思わぬ投手戦に発展し、両軍先発いずれも勝利投手の権利を得ることなく降板、勝敗は二番手以降に持ち越された。
崩れたのは、楽天救援陣。
8回に2人目の宋が3点を奪われ、6回終了時に勝っている展開で今シーズン初の黒星を喫した。(当該成績15勝1敗)
ハーマン離脱後、8回を任されている宋は防御率1.57。
今季はチェンジアップを始めとした変化球がすこぶる良く、変化球ストライク率は67.0%を誇っていた。
しかし、本戦では35.7%へ大幅ダウン。
与えたボールカウント13個中、変化球はじつに9個。
2四球の結果球もいずれも変化球だった。
キレに乏しく打者に見きわめられ、カウントを悪くした。
痛かった茂木の守備ミス
遊撃・茂木の「記録に残らないミス」も痛かった。
先頭打者四球の無死1塁、1番・小田のバントは捕前に転がる。
嶋が機敏処理で2塁送球へ。
見せ場となる2-6-3の併殺コースのはずが、2塁ベースカバーの茂木が捕球直後にポロリ。
封殺は認められたものの1塁転送できず、2死走者なしになるはずの展開が、1死1塁と走者を残したことが、4番・吉田正の2点打などにつながる3失点の悲劇を招いた。
前日は吉田正の4打席は全て走者なし。
一転、本戦の4打席は全て走者あり。
最初3打席は全て岸が封じたが、その封印も降板後に解けてしまった。
これでチーム成績は47試合24勝22敗1分。
5連勝の西武が2位に上がり、楽天は3位後退へ。
各種戦績は、直近10試合6勝4敗(得点50/失点48)、5月11勝11敗、オリックス戦4勝6敗1分、楽天生命パーク12勝8敗、ナイトデー4勝5敗になった。
ゲーム差は1位・ソフトバンクと1.5、2位・西武と0.5、4位・ロッテと1.0、5位・日本ハムと3.0、6位・オリックスと5.0、首位と最下位の差は6.0としている。
両軍のスタメン
オリックス=1番・小田(中)、2番・中川(右)、3番・大城(遊)、4番・吉田正(左)、5番・ロメロ(指)、6番・小島(一)、7番・頓宮(三)、8番・山足(二)、9番・若月(捕)、先発・成瀬(左投)
楽天=1番・茂木(遊)、2番・銀次(一)、3番・浅村(二)、4番・ウィーラー(三)、5番・島内(左)、6番・ブラッシュ(指)、7番・辰己(中)、8番・嶋(捕)、9番・オコエ(右)、先発・岸(右投)
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浅村の打撃で再確認する「打撃の基本」の重要性
それにしても、楽天の『左投手打てない病』は、いよいよ深刻をきわめている。
相手先発の成瀬は、ヤクルト在籍3年間で防御率5.19。
大方の野球ファンは、もはや過去の人という認識だ。
テスト入団したオリックスでの初登板になった5/4ソフトバンク戦でも3回途中4失点と炎上。
本戦でも最速132キロしか出なかったが、そんなベテラン左腕に、楽天打者が、笑うしかないみごとなドツボにハマった。
88球を投げ込まれ、40球でスイングし、空振り11球。
ストライク稼ぎのファウルも8球を記録し、のらりくらりの投球術の罠に陥り、19打数3安打に封じられた。
そのなかvs成瀬2安打の茂木と同じく、孤軍奮闘をみせたのが3番・浅村である。
4回だった。
先頭・茂木がヒットで出塁するものの、後続の銀次がゲッツー。
たちまち2死走者なしになった2打席目の4球勝負ことだった。
2-1から内角狙いで投げてきた130キロ速球が真中に入る失投をしばいた。
打球速度はJBばりの170.7キロを計測。
24度で舞い上がった飛球は、西武時代の先輩でもある岸に捧げる推定飛距離122.1mの先制13号ソロになった。
今年、浅村の打撃で再確認するのが「打撃の基本」の重要性である。
以前にも書いたように、浅村のホームランのほとんどが甘い失投を仕留めたものなのだ。
低めの難しい誘い球、コースギリギリを突かれた球を攻略したケースは数えるほどしかない。
もちろん、そういった難球攻略も主軸打者としては必要なスキルだ。
しかし、シーズントータルで好成績を作るには、難球や悪球ではなく『好球必打』が基本になる。
しかし、その『好球必打』は言うは易し。
実践するには、なかなか難しいのだ。
フリー打撃で打ちごろの球しか投げない打撃投手の甘い球と、駆け引きのなかで球種やコース、高低も色々使ってくるなかで発生する甘い球、どちらが仕留めるのが難しいかは一目瞭然のこと。
後者の甘い球は、様々な球に紛れて、隠れるようにしてやってくる。
そのため、打者は往々にして見逃してしまうケースも多いのだ。
またバットを振りにいっても、力みが生じたりして打ち損じてファウルにする場面もよく見る。
しかし、浅村はその基本に徹底して忠実で、失投をよく仕留めているのだ。
そこで当方の記録集計を使って、ストライク9分割・ボール16分割、合計25分割の配球図で言う「ストライクゾーン真中」の主な楽天打者の対応を下記表にまとめてみた。
※・・・みなさん、当方記録は某速報を集計したものと思っているでしょうが、さにあらず。あれ、けっこうコースや球種に間違いがあるんです。今では中継の配球図を参考にしたり、自分の目で再確認するなど、かなりアレンジが効いています。
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