【試合感想文】 4/21日本ハム7-8x楽天:大逆転劇のなか、野球人生最大の経験を積んだ犬鷲戦士

鬱憤晴らした!約4年ぶりの快挙

6点差からの逆転勝利は約4年ぶり。

前回も日本ハム戦で球団史上最大8点差からの延長戦逆転サヨナラ勝利をあげた2019年5/15楽天生命パークだった。

先発・古川侑利が自己最悪の4回8安打8失点。イーグルスは4回裏の攻撃から8点を追いかける苦しい展開でスタートしたが、直後にブラッシュの満塁本塁打で4点を返すと、8回にはJBが再び2ラン、嶋も右翼ポール際にソロ弾(打球角度31度、打球速度147.4キロ、飛距離106.1m)を叩き入れてF8-7E。

翌9回には浅村栄斗が抑え・秋吉亮から起死回生の同点弾を放つと、延長11回にウィーラーのサヨナラ犠飛で藤田一也が神の手生還という4時間40分の攻防だった。

このことをTwitterで紹介したところ、若いファンから「伝説の試合」だとリプが来たが(ほんとそう!)、昔話はさておき、魔の金曜日が再び・・・になりそうなところ、楽天ナインほんっっと!よく健闘してくれたと心晴れやかな土曜日の朝なのだ。

2番に入った島内宏明は復調の気配を感じさせる2安打2打点の活躍だったし、3番・浅村栄斗も1点を追った9回先頭で田中正義の初球真っ直ぐをセンター前へ弾き返した当たりは、キャプテンマークの執念を見た思い。

5番・フランコも僥倖に恵まれた部分はあるもののセンターから右へ2安打。マルチヒットは大暴れした開幕戦以来だ。

自身初のサヨナラ打を決めた7番・山﨑剛は今季4度目の複数安打。ここ最近は(前日はつかなかったが)ほぼ毎試合コンスタントにHのランプを灯している。

苦しんでいた伊藤裕季也にも2安打が記録されたし、ここまで出場機会が限られていた9番・小郷裕哉も今季2度目のスタメンで短長2本を放つなどアピールに成功した。

8回代打からの途中出場で今季1号ソロとなる代打本塁打に翌9回は同点打を決めた西川遥輝は、昨年3・4月の活躍ぶりを彷彿とさせるものだったし、良い流れで土曜日にプロ初登板・初先発する荘司康誠にバトンを託すことができたと思う。

いっぽう、敵軍の新庄剛志監督は「なんちゅうゲーム…悔しい」と絶句。

清宮幸太郎は左脇腹痛でベンチスタートとなり、抑えの石川直也は左内転筋を痛めて今後抹消だという。ファイターズには悪いが、できればこの3連戦3つとも勝ち切りたいところなのだ。

試合展開

日本ハム=1番・松本剛(左)、2番・谷内(二)、3番・アルカンタラ(右)、4番・野村(指)、5番・万波(一)、6番・上川畑(遊)、7番・奈良間(三)、8番・伏見(捕)、9番・矢澤(中)、先発・加藤(左投)

楽天=1番・小深田(三)、2番・島内(左)、3番・浅村(二)、4番・フランコ(指)、5番・安田(捕)、6番・田中和(中)、7番・山﨑剛(遊)、8番・伊藤裕(一)、9番・小郷(右)、先発・田中将(右投)

両軍のスタメン

安田悠馬にとって貴重な1日

多くの選手が素晴らしいパフォーマンスをみせてくれた日本ハム4回戦だが、なかでも僕が貴重な経験をしたと思う選手は、前述した選手たちではない。

島内、浅村、フランコ、西川・・・といった面々はやってもらわなければ困る面々だからだ。

十分なキャリアと過去にはタイトルも獲った豊富な実績を持ち、球団は相応の高額年俸を払っている。チームでは主戦級や打線の中軸を任されることの多い面々で、ある意味、活躍して当然の立ち位置にいる。

ということを考えたとき、僕がひときわ良い経験を積んだなと感じるのは、プロ2年目の安田悠馬だった。

この日はキャリア初めて「5番・捕手」で先発出場した。

期待されたバッターボックスでは4タコ。
0-3の見三振、2-1からの一ゴ、2-3の見三振、1-2からの二併打だった。

4打席18球勝負で合計9個のストライクを奪われた安田だったが、そのうち8個がじつに見逃しストライク。扇の要とクリーンアップを同時に任されるプレッシャーや難しさをいろいろと感じたはずで、全くらしくない4打席だったが、今後の良き経験となるはずだ。

また、スタメンマスクをかぶった通算7試合中(田中将5試合、則本昂大1試合、岸孝之1試合)、先発投手がここまで炎上したケースは自身初だった。

4回までわずか1安打に封じて日米通算2500奪三振も達成させ、丁寧な投球が続いていた田中将大さんが、5回いきなりあんなことになってしまうなんて・・・と野球の怖さを改めて思い知ったかもしれない。

あの5回どころかこの試合、マウンド上の投手に一息入れてもらい激励や間を開けるため、彼がタイムをとってマウンドに駆け寄る姿を1度は目撃されることはなかった。

また、この日は暴投1個と捕逸が1個。

暴投については解説の鉄平さんも「これはさすがにキャッチャーも難しいですね」という本塁の完全手前にワンバンしたものだったが、キャッチングに課題を抱える安田にとってはバッテリーミス2個は忸怩たる思いだろう。

これで下記のとおり、安田がマスクをかぶるときバッテリーミスは9回平均1.20個になってしまっている。

炭谷銀仁朗 52回、暴投2、捕逸0、9回当たり0.35個
安田悠馬 45回、暴投5、捕逸1、9回当たり1.20個
太田光 43回、暴投3、捕逸1、9回当たり0.84個

楽天捕手の暴投、捕逸記録

ただし、この日は走者有のワンバン投球が18球と大変多かったなか、暴投を捕手責任の割合が少ない性質の1個にとどめることができたのは、課題山積ながらも懸命に頑張ったとも言えそうだ。

そしてなにより、この日は1軍の舞台で6人の投手をリードしたこと。その中には反省すべき部分もあるとは思うけど、とにかく6人とバッテリーを組み、ゲームセットまで導いたこと。これが大きいと感じた。

スタメンマスクをかぶった安田が最後までマスクをかぶったのは、昨年の開幕戦に当たる3/25ロッテ戦に続く2試合目になったが、昨年は●M4-0Eと負け試合だった。だから、スタメンマスクをかぶった安田が最後までマスクをかぶりチームが勝利したケースはキャリア初になったわけだ。【終】

田中将大 29.1回
岸孝之 6回
則本昂大 5.1回
西垣雅矢 3回
ブセニッツ 1.2回
安樂智大 4.1回
鈴木翔天 3回
宋家豪 3回
内星龍 3回
西口直人 3.1回
伊藤茉央 3.1回
宮森智志 2回
弓削隼人 3.1回
松井裕樹 1回
藤平尚真 1回
内間拓馬 1回
小峯新陸 1回
酒居知史 0.1回
小孫竜二 0.0回

通算75回マスクをかぶった安田悠馬の投手別の捕手守備回

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2018年9月のGM就任から始まった石井体制も5年目へ突入。今年はGM職を外れて監督業に専念する総決算・集大成の戦いに。監督も「狙うのは優勝ですね。優勝以外を掴まされてもハズレ」と不退転の決意を示す今シーズンを試合感想文やコラムなどで綴ります。あなたの野球観戦の「良き伴走者」を目指して。月10回以上を所収ただいま新規読者さん募集中!

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