【試合感想文】 4/14ソフトバンク0-3楽天:最高の金曜日。反転攻勢の足がかりへ

ブラックフライデーよさらば!

出口のないトンネルなんて存在しない。
日中最高気温が25.0まで上昇して今年初の夏日を記録した仙台。

岡島豪郎、鈴木大地の経験豊富組が1軍に合流したソフトバンク1回戦。楽天は田中将大&安田悠馬のバッテリーが躍動。昨年5/13●E2-4Lから始まったブラックフライデーの連敗を19で止め、4/6●E1-2Lからの連敗を5でストップさせる3時間19分になった。

零封勝利は、松井裕樹のNPB史上最年少200セーブと浅村栄斗300二塁打達成があった4/5○E1-0Lのスミイチ勝利に続く今シーズン2度目である。

この3連戦で1位・ソフトバンクの開幕ダッシュを止めて、反転攻勢の足がかりにしていきたい。

邪念退治、暗雲解消の3ラン

決勝点は今年の節分に2年連続で鬼役を演じたエンジゴジラの超弾道だった。

2四球でもらったチャンスの2回1死2,1塁、和田毅との左vs左対決。
その初球142キロストレートを一閃した。

楽天打者が四球直後の初球を仕留めた例は、4/1●E3-4Fの辰己右越え2ラン、4/2○E2-1Fの辰己適時二塁打、4/5○E1-0Lの阿部右安に続く今季4本目になった。

じつはこの日の和田は左打者の内角狙い(右打者の外角狙い)の精度は安定していたが、左打者の外角狙い(右打者の内角狙い)の精度はイマイチだった。

たとえば、前者は初回山﨑剛の右飛、同島内三飛などが該当する。2回浅村との7球勝負でみせた外の出し入れは結果球こそ甘く入って浅村が三遊間に弾き返してみせたが、それまでの6球は素晴らしいコントロールを誇っていた。

いっぽう、後者は1回フランコ死球、2回辰己と田中和に与えた2者連続四球の結果球などである。安田3ランの結果球も、捕手・甲斐拓也はアウトコース厳しくミットを構えてボールでも良いというリードだったものの、精度を欠いてゾーン真中に入ってきた。その失投を逃さなかったというわけなのだ。

節分の際、「邪念を退治したい」と口にした左の強打者候補が、邪念を振り切りチームに垂れこめる暗雲をも解消する1号3ランを放ってみせてくれた。

試合展開

ソフトバンク=1番・周東(中)、2番・近藤(左)、3番・柳田(指)、4番・栗原(三)、5番・牧原(二)、6番・中村晃(一)、7番・今宮(遊)、8番・上林(右)、9番・甲斐(捕)、先発・和田(左投)

楽天=1番・山﨑剛(遊)、2番・島内(指)、3番・浅村(二)、4番・フランコ(一)、5番・岡島(右)、6番・鈴木大(三)、7番・辰己(中)、8番・田中和(左)、9番・安田(捕)、先発・田中将(右投)

両軍のスタメン

牧原大成との対決を間違えない!

先発の田中将は5回7安打無失点で今季2勝目。

投球回を上回るヒットを打たれ、4イニングで得点圏に走者を置く状況も、粘投で要所を締めて先制点を与えなかった。

5連敗中のイーグルスは先発陣が序盤3回までに先取点を許す後手後手の展開。4/8●E4-5Mを除く4試合はそのまま追いつくことすらできず敗れ去っただけに、打線が低調の今はとにかく先制点は与えてはならなかった。その意味で、マー君の粘投は価値大だった。

若鷹軍団も初回2番・近藤健介との対決がいきなり10球勝負にもつれたり、田中将のスプリットを巧打や抜群の反応で長短3安打を弾き返したり、さすがの対応力をみせてきたが、背番号18は集中力を切らすことなかった。

なかでも「間違えてないよね!」と感じたは、5番・牧原大成との対決である。

この日、田中将は得点圏で7打席対峙したが、その7打席中3打席は侍ジャパンの緊急侍との対決だった。

みなさんご存じのとおり、この人はNPB屈指のフリースウィンガーである。昨年もボールゾーンスイング率は47.0%を記録、今年もここまでの41打席で四球ゼロ。つまり、ボール球でも簡単に手出ししてくれる打者なのだ。

楽天バッテリーもその傾向を熟知しているのだろう。牧原との得点圏3打席10球勝負中、まともにゾーンには投げなかった。

ゾーンに入れるときはしっかりコース・高低を制球し、見逃せばボールの誘い球で計3球の空振り奪取。攻め方を間違えず、1回2死3,2塁で空三振、3回2死2塁で中飛、5回2死3,1塁で空三振と完璧な締め方だった。

田中将大 投球診断表

18回ある回先頭に許した出塁1度だけ

球種は引き続きスライダーが素晴らしい。

開幕戦27.6%→4/6西武戦38.1%と増やしたが、本戦も39.6%と多投。8打数1安打5三振の被打率.125に抑え、上記表中のとおり、空振り、見逃しストライク、カウント稼ぎのファウルを量産する投球の軸球として機能した。

対戦打者に占める奪三振と内野フライアウトの比率は34.8%をマーク。

この数字は4/4●E0-4Lで6回2失点に抑えた則本の41.7%に続く、今季楽天先発陣の中で2位の数字だった。この指標は完全アウト割合を表し、投手のパフォーマンスを測る有効な物差しの1つである。

毎回ランナーを出したが、この日はイニング先頭打者の出塁を1度も許さず。

そればかりか今季はここまでの17.2回中、回先頭に出塁されたのは1度だけ。その1度も後続を断ってゼロに抑えるという、ゲームメイクの基本が実践できている。

近藤健介1試合4三振はキャリア初。

WBCでも打率.346と絶好調、シーズン入っても打率.333はパリーグ3位タイと好調を維持していた鷹の新戦力に対し、その前にランナーを出さず5打席全て走者なしの場面で対決できたことがなにより大きいし、バットコントロールと選球眼に優れた相手から4三振は、土日の戦いにも影響を及ぼすかもしれない。

また、うるさ型の・・・(続く)

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2023』でどうぞ。

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