【試合評】パリーグ最多被弾・早川隆久に起きていること~8/28●楽天2-9ロッテ
不幸中の幸い
2回先頭・小川のライン際ボテボテ。ファースト銀次が1塁ベース直前まで打球が切れるのを見送ったが、最後までフェアゾーンを割ることなく内野安打に。このように前夜から一転、討ち取った当たりがヒットになるケースが多発する23回戦になった。
1ヵ月半ぶりに1軍に戻ってきた先発・早川が、とにかく誤算。初回3失点を皮切りに3回まで毎回失点。結局5回4被弾11安打8失点のキャリアワーストを喫した。
いっぽう、視点を変えてみると、同じ負けるなら、これでよかったのだとも言える。
前日同様、序盤で勝敗が決した。そのため勝ちパターンの主戦級など救援陣の大半は1度も肩を作ることなく、2日連続の完全休養日になったと推測できるからだ。
その点だけで言えば、5週連続の6連戦で疲労の色隠せないブルペンに安息日を設けることができたことは、不幸中の幸いだった。
たったの3本
結局、早川は1軍離脱前となんら変わっていなかった。
8/20DeNA2軍戦で8回2死までパーフェクト投球。9回途中13奪三振1安打無失点とファームながらも異次元の投球を見せていただけに、期待感高まる復帰登板になったが、残念の一言だ。
下記表を見てほしい。早川の球を打ち返したロッテ打線の打球履歴になる。
(もちろん打球だけをピックアップしたため、三振や四死球は含まず)
この日は打者27人と対峙し、21本の打球を打ち返されたが、そのうちゴロになったのは1回髙部の遊ゴ、序盤に発生した内野安打2本、計3本だけだった。
いっぽう、4被弾はキャリアワースト。
柵越えを防いだものの塀際ギリギリのウォーニングゾーンまで飛ばされた『長打リスクを潜在的に秘めたフライ』も3本あり、ほんと紙一重。事態はもっと酷くなるシナリオもあったと言える内容だった。
4被弾11安打8失点もキャリアワーストなら、当然ゴロ率14.3%もキャリアワースト。
昨年はゴロ率45.4%あったのに、今年は本戦終了時で31.3%の低さだ。減ったぶんはそのままヒットになりやすいライナーや、長打リスクを秘めたフライが増えたことを意味している。
試合後の早川の弁だが、ピント外れもいいところ。コントロールとか、もはやそういうレベルの話ではなく、もっとメカニックな部分の話だと思う。
この日は1軍離脱前と比べてストレートの平均球速も約3キロほど下落。球は走っていなかった。昨年比でもっと根本的な部分で差異が生じているはずだ。
もちろんトラックマンデータは所有しているはず。球団お抱えのアナリストを交えたバイオメカニクス的視点からの抜本的修正が必要だと感じる。
コロナ禍の影響か?!
上記のとおり、大卒2年目の今シーズンは好投したときでもゴロ率が低いケースが多く、開幕序盤から僕をヤキモキさせてきた。
2年目のジンクス。そう言ってしまうのは簡単だが、この世代は大学4年生のときコロナ禍1年目で試合や練習が大幅に制限された世代に当たる。
上記のように、早川も大学4年時には春秋リーグ戦で52.2回しか投げることができなかった。
言わば、長い回を投げる経験ができないままプロ入りし、1年目から規定投球回に準ずるボリュームを投げたことで、本人が自覚する以上に身体に相当の負荷がかかったと想像している。
このことも、今季の不調の原因の1つだと思う。
強肩炭谷に異変
炭谷といえば今季は盗塁阻止への貢献が素晴らしく、本戦終了時で阻止率.362はパリーグ2位である。阻止率.350以上をマークしたのは2015年以来のこと。35歳を超えてからこの数字は本当に立派だと思う。
しかし、本戦では驚きの光景があった。
3点を追う2回1死1塁、1塁走者は俊足の小川だった。2番・髙部を0-2と追い込んだ後の4球目。
小川の盗塁企図を事前に察知したのだろう。外角ボールゾーンに構えて完全にはずして2塁スローイング。しかし外野に抜ける悪送球に。幸いバックアップが処理して三進は阻止したが、ピッチアウトしたのに、二盗を許す光景があった。
この後、二進した小川は髙部の中越えツーベースでホームを踏んだ。
このように、オールスター明けの後半戦、炭谷が相手走者の盗塁をほぼほぼ阻止できていない。下記表のとおり、12盗塁を許しながら、盗塁死はわずか2個にとどまっている。
もっと言えば、この傾向はコロナ罹患から復帰した7/1以降なのだ。
この日も左腕・小島からおっつけて右前へ2本を弾き返すなど打撃は好調。コロナ明けの7/1以降では80打数24安打の打率.300をマークする。
しかし、こと盗塁阻止で言えば7/1以降にパフォーマンスが悪化している。【終】
・・・というようなデータなどをまじえた試合感想文やコラムを『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2022』で綴っています。