【試合評】瀧中の復調気配。約1年ぶりの帰還。道を分けた高卒2年目捕手の現在地~7/31●楽天1-2DeNA

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唯一の得点=島内の右越えソロ

侍ジャパンが7-4でメキシコを降した夜、イーグルスは気温26度の熱帯夜のなか、2試合目のエキシビションマッチを戦った。

ゲームは両軍投手陣の頑張りでロースコアの投手戦に。
そのなか、楽天はDeNAの4安打を上回る5安打を放ったが、結果は1-2で敗れている。

イーグルス唯一の得点は、前日試合評でも取り上げた4番・島内の右越えソロだった。

エキシビションマッチのチーム1号となる一発は、相手先発・大貫の初球を捉えた。内角狙い・内角到達のストレートを理想の角度で仕留め、舞い上がった弾道は右翼席スタンド中段に着弾する大当たりに。

「ケータリングに山崎パンが置いてあるんで7個頂きました。その力で打てました」

という、まさかの山崎パン祭りの一撃だった。

ちなみにキャリア通算74発を記録する島内だが、打球方向は本戦と同じく右中間・右翼が最多を占める。これまで左翼~中堅が18発に対し、右中間・右翼の56発(全体の75.7%)になる

そして気になるオコエだが、本戦も出場しなかった。

この日、球団公式YouTubeでは試合前練習の風景を生配信していた。僕は侍ジャパンの試合を観るなどしていたため見ることができず、そこにオコエの姿があったかどうかは分からない。しかしゲームには出てくることはなかった。どうしてしまったのか。気になるのは僕だけではないはずだ。

◎試合展開

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◎両軍のスタメン
DeNA=1番・桑原(中)、2番・森(遊)、3番・佐野(左)、4番・ソト(指)、5番・細川(右)、6番・牧(二)、7番・伊藤裕(一)、8番・伊藤光(捕)、9番・知野(三)、先発・大貫(右投)

楽天=1番・田中和(中)、2番・鈴木大(一)、3番・茂木(三)、4番・島内(指)、5番・岡島(左)、6番・ディクソン(右)、7番・黒川(二)、8番・太田(捕)、9番・小深田(遊)、先発・瀧中(右投)

瀧中、カーブ駆使して緩急演出

先発は防御率4.95、5勝4敗の瀧中。
その「ゆるゆるトーク」が球団公式YouTubeに第3弾までアップされている57番が、5回4安打2失点と好投をみせた。

特筆すべきは『7奪三振、無四死球』である。
ストライク率72.7%の高さで球を自在に操り、素晴らしいK/BBを作りあげた。

「瀧中の場合は三振がバロメーターにはならない」

解説席に座った高橋雅裕さんはそのようにコメントしていたが、僕はそうは思わない。

瀧中のように決して三振を多数取るタイプではない投手であっても、その投手なりのK/BBがある。どんな投手でも奪三振・与四球はクオリティを測る物差しの1つになってくる。

今季の瀧中は3つに区分することができる。
大炎上した今季初登板、復調し快投披露した2登板目~5月まで、調子を崩した6月以降だ。

今季初登板:防御率54.00、1.2回、奪三振1、与四球3
4/8~5/27:防御率1.26、28.2回、奪三振27、与四球7
6月以降:防御率5.88、26回、奪三振14、与四球8

この3区分でも奪三振・与四球は調子の良し悪しを測る物差しになっている。

炎上から一転、見事に立て直した2登板目~5/27までは奪三振率も8.48、K/BBも3.86だった。ところが6月以降は奪三振率4.85、K/BB1.75、いずれも数字を落とした。

それだけに『7奪三振、無四死球』は後半戦へ向けて明るい材料になった。

この日はプロ初勝利をあげた昨年10/11西武戦でも多投した“抜けの良いカーブ”が効果てきめんだった。

全77球の23.4%を占めたカーブ18球の結果は以下のとおり。

空振り 2球(空三振1含む)
見逃しストライク 6球
カウント稼ぎファウル 5球
2ストライク以降ファウル 2球
ボール 2球
凡打 1球

その大半が瀧中有利の結果になっていた。

2失点はいずれも伊藤裕に打たれたもの。

2回2死2塁での中安はコントロールミスだった。
2-2から決めにいった外狙いの真っ直ぐが中に甘く入ってしまった。

しかし5回に浴びた一発は失投ではない。
追い込んでから低めに制球したフォークを器用にすくい上げられてしまった。エキシビションマッチ4戦連続安打と調子の良い伊藤裕を褒めるべき性質のものである。

約1年ぶりのハラハラドキドキ

昨年7/26楽天生命パークで危険球退場して以来、約1年ぶりに本拠地に藤平が帰ってきた。
仙台でおすすめの場所は「海」だという2016年のドラ1は、2回を投げて無失点。3奪三振、2四球の出来だった。

全体の81.8%で投げたストレートは最速151キロを計測。
平均でも145.6キロとスピードは出ており、打者に計15回スイングされたが、ヒットを許さない球威があった。

しかし、コントロールはハラハラドキドキ。
ストライク率56.8%の荒れ模様だった。

そのなか、7回無死1塁、田部の三ゴは明暗分ける場面になった。

フルカウント勝負の結果球は見逃せばボールの高めの真っ直ぐ。

手を出してくれたのは打者が高卒2年目だからだ。四球を選ぶよりも打ってアピールしたい意識の強い若武者心理だからこそで、シーズン中の1軍クラスの打者には看破されて連続フォアボール、無死2,1塁と傷口を広げかねない紙一重のシーンだった。

とはいえ、

「課題はまだありますけど、公式戦じゃないですけど、ゼロで帰ってくることができて良かったです」

と本人も口にしたように、胸をなでおろす無失点。

正直、今の段階では後半戦の1軍戦力に数えることはできないが、2軍で一歩ずつ前進するためにもゼロを入れることができたのは朗報だと思う。

下記表は昨年の危険球退場後の藤平の全階層における成績になる。

◎昨年危険球退場後の投手成績

画像2

足かけ2年で防御率6.99、WHIP1.96、与四球率7.58、危険球の影響が数字にも如実に表れていると思う。

じつは今年もファームで危険球退場を経験した。
4/25ヤクルト2軍戦、外狙いの真っ直ぐが内に抜けて中山のヘルメットを直撃する事態になり、約1年たらずで2度の退場になってしまった。

なお、このときマスクをかぶっていたのが、本戦でも藤平をリードした水上。ファームで藤平の状態を良く分かっている水上だからこそ、本戦でミットを大胆に真中に構える光景も多数見られた。

2軍では6/30から救援にまわり、6.1回で1失点、8奪三振、5与四球の内容。
藤平も短いイニングのほうがあれこれ考えることなく向いているのかもしれないし、短いからこそどうにかごまかせることもできるのかもしれない。

道を分けた高卒2年目捕手の現在地

エキシビションマッチで1軍合流しているイケメン水上。

本戦では途中出場し、藤平の2回無失点をリード。
バットでは三嶋と勝負して左飛の結果だった。

水上の抜擢は、彼が捕手として期待されていること。と同時に藤平を1軍でお試し登板させるため、2軍で勝手知ったる仲の水上に受けさせたほうが良いだろうという首脳陣の藤平への気遣いもあったと思われる。

最近、水上はSwitchを購入し、先輩の福森に薦められてモンハンにハマっているという。そんな水上のライバルは同じ高卒2年目捕手の育成・江川だ。

しかし、2年目でどうやら両者は道を分けたかのようだ。

2軍で与えられた打席はともにほぼ同数。
打率、OPSでは「水上<江川」と明らかな差が出ている。

水上・・・132打席、打率.197、OPS.478
江川・・・123打席、打率.282、OPS.644

ただ、これは起用法による影響も大きい。

江川は捕手登録ながらも47試合中スタメンマスクは2試合、途中からマスクをかぶったのも6試合と少ない。
今シーズンは圧倒的に両翼での外野出場が多いのだ。

いっぽう、水上は59試合中スタメンマスクが18試合。途中からマスクも9試合。今シーズンはファームで怪我人続出、そのため慣れない内外野での出場も増えている水上である。

しかしながら、2軍スタメンマスク19試合は、足立、石原、下妻を抜き、堀内と並ぶチーム最多の起用数なのだ。
球団が捕手として期待をかけている事実を、この数字で確認できると思う。【終】

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