【試合感想文】 4/30楽天7-6西武:島内宏明、西川遥輝らを凌駕する小郷裕哉の特性
いろいろあった約5時間のロングゲーム
4時間56分は今季セパ両リーグの最長ゲーム。両軍二桁安打を放つ打ち合いは、6点差を大逆転した4/21○E8x7Fに続く今季2度目で、延長戦は今季3度目を数えている。
先発・荘司康誠のプロ初勝利の権利が4点リードありながらも守れなかったことは大変残念。
しかし両軍総勢42人が出場した長丁場の1点差に、勝つのと負けるのでは天と地。いろいろと疲れたが、最後に勝ったので良しとしたい。
島内宏明をも凌ぐ小郷裕哉の特性
2軍落ちの危機を自ら救ったのが、小郷裕哉だ。
2回無死3,2塁での1号3ランは大きな先制弾になった。
先週金曜日以降、ライトでのスタメン出場が増えた背番号51。しかし直近2試合でノーヒットが続いており、立場は危うくなりかけていた。ファームには同じ外野手の和田恋が打率.322、OPS.893と好調を維持している。それだけに存在感を発揮し首脳陣に大きくアピールする一撃になった。
相手先発・與座海人との7球勝負はファウルを打たされ、たった2球で0-2と追い込まれた打者超不利のシチュエーションで始まった。ちなみに今季、楽天打者の0-2経由打率は.137。このアットバットがいかに厳しかったか分かると思う。
追い込まれた後、相手バッテリーは下手投げのライジングボールを活かすため、高め釣り球を複数混ぜながらの高低攻めで小郷を仕留めようとしてきた。そんな配球にファウルでくらいつき、低め誘い球を見きわめ、そして2-2からの8球目。
解説・星野智樹さんが「今勝負した中で一番甘い球でしたね」とコメントした119キロ変化球が、ストライクゾーンに甘く滞留。完璧ショットでその失投を仕留めて右翼席へ。素晴らしい超弾道だった。
そうそう!目力ある26歳にはこの特性がある!
確実性に欠けるところが課題だが、いっぽうでここぞのパンチ力は同僚を凌駕するものがある。実際、開幕前の1軍実戦で放った長打6本は、好調だったギッテンスに続く多さだった。
純粋な長打力を測るセイバーの打撃指標でISOがある。長打率-打率で算出されるシンプルだが有効なこのスタッツで、好きな味噌汁の具に「絶対エノキ!」と断言する26歳のキャリア通算値は.152を記録するのだ。
この値、楽天の主な左打者と比較してみると下記のとおり。
むろん打席数の大小あって分母は異なるのだが、それを考慮しても小郷の.152は傑出している。
伊藤茉央vs児玉亮涼
変則右腕の新人がチームを救った。
4点リードの7回、三番手・西口直人がノーアウト満塁のピンチを招き、1死後に呉念庭に2点タイムリーを弾き返されてE6-4L。なおも1死2,1塁、打席に右打ちの7番・児玉亮涼を迎えたところで登板した。
ここ最近のドラ4は、前の投手が塁上にランナーを残したまま降板した後、火消しに入るケースが増えている。
こういった役割は今季最初は弓削隼人が担っていたが、逆に火に油を注ぎ、前の投手が残した走者15人中8人を生還させるというダメさっぷりで4/21に抹消。
その抹消と前後するかたちで伊藤茉央が役目を引き継いでいる。
ルーキー対決となった児玉との勝負は2-2と追い込んだ後に一飛に退けてみせたが、このとき興味深い光景が目撃された。
見逃しで奪った・・・(続く)
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