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【戦評】相手バッテリーの配球からみるウィーラー大暴れの真実~4/3○楽天3-2日本ハム

窮地ハーマンを救った頼もしき打棒

ハーマンといえば、来日初登板の2017年3/31オリックス戦を起点に昨年8/18ロッテ戦まで「リードした展開で登板した68試合で1度も試合をひっくり返されたことのない」頼もしきセットアッパーだった。

ところが、昨年8/19ロッテ戦から様子がおかしい。

あの1イニング5点を奪われた昨年8/19から本戦を含めたリード7登板で、ゲームをひっくり返されること3度目を数え、『神がかりの盤石さ』に陰りが生じている?と気がかりなのだ。

そんな意気消沈のハーマンを救ったのが、5番・ウィーラーだった。

開幕カードで猛打を振るった打棒は、日本ハム戦に入って沈黙。
内角攻めが増えて前日初戦は3タコ1四球と快音なし。
2戦目の本戦も懐を突かれるケースが多く、2打席まで凡退していた。
二ゴに倒れた場面は、中前ゴロ安打コースが2塁ベース後方に陣取った二塁手に処理されてしまう「極端すぎるシフトの餌食」になっていた。

◎敵軍バッテリーのコース別配球から診るウィーラーの打席詳細(ロッテ3連戦)

▲捕手がミットを構えたコースを「緑=外角」「黄色=真中」「青=内角」で区別した。ロッテ3連戦は外角要求が多く、結果球も外角が大半だった事実が確認できる。

布石が活きた逆転4号2ラン!

ところが、潮目を変えたのは3打席目。

0-0の6回2死走者なしから3番・浅村の四球、4番・島内の右安で作った3,1塁だった。
ウィーラーが相手先発ロドリゲスから中前へフライヒットの先制打を放ったのだ。

その全4球勝負は全て内角狙いの攻防。
捕手・石川亮の要求どおりの内角に投げ切れずストライクゾーン中寄りに入ったロドリゲスの144キロ。
この失投を集中力を高めていたウィーラーがコンパクトに応戦したシーンだった。

ゲーム中盤に均衡を破ったこの先制打は、懐を攻める相手の思惑を打破し、敵軍バッテリーの持ち札の中から『内角攻め』カードを消し去ることになったと思う。

そのため、1-2と楽天が1点を追う8回2死1塁で逆転2ランになった4打席目3球勝負は、全てアウトコース配球。
前の打席のタイムリーで打った布石が次の打席に活きてくる『絶好の場面』だった。

◎敵軍バッテリーのコース別配球から診るウィーラーの打席詳細(日本ハム戦)


▲日本ハム戦では敵軍投手の内角狙い投球(青)が増え、結果球も内角が増加。しかし、左本の本戦4打席、捕手・石川亮は全て外角にミットを構えていたことがわかる。

初戦は1軍通算1158試合で今年37歳の鶴岡、本戦は1軍通算64試合で今年24歳の石川亮。
マスクをかぶる経験の差も出たかもしれない。
もし経験豊富な鶴岡がリードしていたら、8回の場面も内角球を見せてきたかもしれない。

期待高まる3・4月度月間MVP

それにしても全3打点を稼いだウィーラーの打棒は神がかっている。
本戦を終えて打率.400、OPSは1.555(※)。
4本塁打11打点は現在リーグ二冠王なのだ。

その活躍は開幕5戦でOPS1.917を刻み、お立ち台に立つこと2度だった2017年のペゲーロを彷彿とさせるものがある。

こうなると、早くも期待高まるのは「3・4月度の月間MVP」だ。

楽天打者が同賞を最後に獲得したのは、当時オリックスの糸井と激しい首位打者争いを演じていた2014年9月度の銀次(打率.459、打点16)で、あれから丸4シーズン出ていない。
楽天の外国人打者でいえば、2008年9月度のセギノール(打率.325、9本塁打)以来、遠ざかっている。

チームはウィーラーの活躍もあり、昨年7/24~7/28以来の4連勝。
同日引き分けた首位ソフトバンクをわずか0.5差で追う2位の好位置につけている。

※・・・5試合でOPS1.555のウィーラー。似たような数字を残した期間としては、2015年9/1~9/6のOPS1.686、2016年6/15~6/19のOPS1.633、2017年5/11~5/17のOPS1.663、2018年9/1~9/8のOPS1.476などが挙げられる。

両軍のスタメン

日本ハム=1番・西川(中)、2番・大田(右)、3番・近藤(指)、4番・中田(一)、5番・王柏融(左)、6番・浅間(三)、7番・石井(二)、8番・石川亮(捕)、9番・中島(遊)、先発・ロドリゲス(右投)

楽天=1番・田中(中)、2番・茂木(三)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・ウィーラー(指)、6番・銀次(一)、7番・藤田(遊)、8番・嶋(捕)、9番・辰己(右)、先発・福井(右投)


予想外の難敵、現れる

それにしても、タフな一戦になった。

1回無死1塁で田中二盗死、3回1死3,1塁で茂木の一直ゲッツーなどもあったが、相手先発ロドリゲスが想像以上の難敵だった。

ムーヴィングボーラーでゴロを量産するタイプの相手右腕はこの日も56.3%のゴロ率を記録。

とくに左打者の内角ボールゾーンからストライクゾーンに大きく変化して入ってくる球が厄介だった。
左打者内角攻め25球の内訳は、以下のとおり敵軍有利の結果が目立った。

見逃しストライク9球(見三振1含む)
ストライク寄与ファウル2球
2ストライク以降ファウル1球
ボールカウント8球
凡打4球
安打1球

そんななか、必死に耐えに耐えたのが先発・福井だった。
このことは下記で詳述したい。

決して偶然ではなく必然
4安打5四死球の福井が5回無失点できたわけ

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