【試合評】 東北開幕できらり輝いた「皆朱の槍」の戦陣録~4月4日○楽天7-1ソフトバンク
「皆朱の槍」の名活躍
戦国時代、特に武功を立てた者にのみ扱うことを許された「朱色に塗られた名槍」がある。
前田慶次でも知られる「皆朱の槍」だ。
楽天はパリーグ最多得点。
対するソフトバンクはパリーグ最少失点。
各々異なる方法で開幕3連勝を勝ち取った両軍激突の薄暮の東北開幕戦。
則本昂大vs千賀滉大という侍対決でも注目を集めた大戦で、楽天に勝利を呼び込み、若鷹軍団を総崩れに追いやったのは、杜の若き勇将が振るう「皆朱の槍」だった。
時は4回表のこと。
前の回、相手暴投時の藤田好走塁で1点を先制していた鷲軍は、この回、聖澤の右越えフェンス直撃三塁打で追加点。
なおも、2死3,1塁で嶋の右安で聖澤をホームに呼び込み2点を挙げ、3-0とリードを広げていた。
お得意の右打ちで弾き返した嶋の当たりは、右前着弾のフライヒットコース。
これをライトを守る鷹軍の上林が懸命にチャージ、球際でスライディングをみせながら落下点に入り、好守フライアウトに思われた。
しかし、捕球しきれずグラブに打球を当てるかたちで落球(記録はヒット)、敵軍にとっては悔いの残るかたちで楽天に3点目が入っていた。
高校時代は仙台育英高で白球を追いかけた上林だ。
当然、友人・知人が現地観戦に訪れていたであろう大舞台。
開幕戦から9番・右翼スタメンで使われ、起用に応えたいという強い思いもあったはずで、そのさなかに起きた手痛いミスは、若鷹軍団全体、そしてマウンド上の千賀にもダメージを与えるプレーになっていた。
「皆朱の槍」が戦場を一閃したのは、その直後のできごとだった。
混乱に陥った千賀が気持ちを立て直せずに投じた1番・茂木への初球、インコース131kmスライダーだった。
本人いわく「抜けてきたチャンスボール」。
これを今シーズンから朱色のバットを振るう茂木が、完璧なスイングで応戦。
角度27度という理想の放物線が打球速度166kmで飛んでいき、右翼席スタンド中断に突き刺ささる推定飛距離122mの3ランになった。
まるで怪力ペゲーロの超弾道か!と思わせる、みごとすぎる一撃!
解説席に座った鉄平さんも「完全にイーグルスが流れをつかみましたね」と評価した、お立ち台行きの今季2号だった。
打った本人も「久しぶりに力みなくしっかりと自分のスイングをすることができましたね。完璧です」と100点満点の自己採点をし、僕ら楽天ファンは勝利を強く確信、打たれた若鷹軍団は敗戦を覚悟するという、楽天有利の流れを決定づける文句なしの大当たりだった。
開幕3連勝を見届けた日曜日の夜。
ぼくは週明け月曜日締切・水曜日公開の週刊野球太郎1,000字コラムを書いていた。
取り上げたのは、茂木だった。
開幕カードでみせた、茂木の『相手に重圧と焦りを与え「流れ」を変えていく全力プレー』に、改めて強く惹き込まれていたからだ。
◎2年目のジンクスを吹き飛ばせ! 楽天の若き勇将・茂木栄五郎が開幕好発進!(週刊野球太郎2017/04/05)
2009年以来の開幕4連勝を飾り、単独首位に躍り出た本戦は、まさしくそんな東北開幕戦になったのだ!
両軍のスタメン
ソフトバンク=1番・今宮(遊)、2番・本多(二)、3番・柳田(中)、4番・内川(一)、5番・デスパイネ(指)、6番・中村晃(左)、7番・松田(三)、8番・甲斐(捕)、9番・上林(右)、先発・千賀(右投)
楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・ウィーラー(三)、4番・アマダー(指)、5番・銀次(一)、6番・島内(中)、7番・聖澤(左)、8番・藤田(二)、9番・嶋(捕)、先発・則本(右投)
ベテラン藤田のチーム初安打に先制好走塁
こちらは則本であちらは千賀なのだ。
どうみてもロースコアのタフな接戦になると見られていた。
そのなか、大きくモノを言うのは先制点。
実際、両軍指揮官もそう判断したのだろう。
ソフトバンクは1回表無死1塁で、楽天は3回裏無死1塁で、出塁したイニング先頭打者を送りバントで得点圏に送り込む作戦を採用した。
その3回裏のことである。
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