【戦評】ハーマン来日2度目の5失点。昨年8月7日以降は防御率6.38~5/11●楽天3-6オリックス
思わぬ投手戦
何が悔しいって、自軍先発が好投したのに、その功労がチームの勝利にむすびつかなかったことだ。
今シーズン、楽天先発が5回以上・1失点以下に抑えたのにチームが負けたのは、4/13ソフトバンク戦(●E0-1H)、4/25日本ハム戦(●E5-6F)、5/2ソフトバンク戦(●E0-1H)に続く4度目になった。
ゲームは、石橋とK-鈴木の思わぬ投手戦で始まった。
K-鈴木は最速152キロの速球もさることながら、全体の35.7%で多投したスライダーのキレ味が、楽天打線を悩ませた。
楽天打線はこの曲がる球に対し、三振5個を含む8個のアウトを計上。
5回まで散発1安打に封じられた。
石橋もプロ2度目先発・中5日とは思えない快投ぶり。
球数も少なく、打者3球目以内での獲得アウトは10個にも及び、敵軍を5回まで2安打に抑えている。
両軍先発テンポよく、3時間28分の試合時間のなか、前半戦の5回終了時まで要した時間はわずか1時間20分足らずというスピードゲームだった。
勝ちパターンの崩壊
戦況が大きく動いたのは後半戦。
スコアレスの均衡を破ってオリックスが先手を取る。
6回2死3塁、大城の三バ安で1点を奪われた。
石橋も要所と判断し、大城の初球に本戦最速149キロを投じたが、2球目に予想外の奇襲攻撃に遭った。
1点を追った楽天は8回に反転攻勢へ転じる。
マウンド上はHQSのK-鈴木が降板、二番手・澤田へ。
敵軍が継投作戦に入ったその代わりばなを、1番・茂木から始まる打順で攻めた。
3番・浅村が同点の活躍劇。
澤田との連日に及ぶ大阪桐蔭対決を制して快音二塁打でゲームを振り出しに戻していく。
その後も小林慶、左澤と注ぎ込んだオリの猫の目継投を攻略。
6番・銀次が1度もバットを振らず勝ち越しの押し出し四球。
7番・ブラッシュも左犠飛と続き、この回3得点をあげて3-1と逆転に成功している。
しかし、誤算はハーマン。
昨年8/19ロッテ戦以来、来日2度目の5失点と崩れた。
先頭打者二塁打を皮切りに四球、申告敬遠などで1死満塁後、3者連続タイムリーを浴び、困ったときのトムケンの救援を仰ぐかたちになっている。
楽天は勝ちパターンの崩壊で、成績を35試合17勝17敗1分。
勝率五割に後戻り、順位もロッテと並んで3位タイに後退した。
各種戦績は、直近10試合/5月4勝6敗、オリックス戦2勝5敗1分、ビジター7勝11敗1分、デーゲーム8勝11敗1分、連戦日程の4戦目以降1勝5敗1分になった。
ゲーム差は1位・ソフトバンクと3.5、2位・日本ハムと1.0、5位・西武と2.0、6位・オリックスと2.5。
1位と6位の差は6.0になっている。
両軍のスタメン
楽天=1番・茂木(遊)、2番・辰己(中)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・ウィーラー(三)、6番・銀次(一)、7番・ブラッシュ(指)、8番・嶋(捕)、9番・オコエ(右)、先発・石橋(右投)
オリックス=1番・中川(右)、2番・福田(二)、3番・大城(遊)、4番・吉田正(左)、5番・小島(三)、6番・マレーロ(一)、7番・T-岡田(指)、8番・西浦(中)、9番・高城(捕)、先発・K-鈴木(右投)
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ハーマンの誤算
これでハーマンの成績は18試合16.2回で防御率5.94になった。
しかし昨年8/7日本ハム戦以降の26試合でいえば、防御率はさらに悪く6.38である。
1死満塁からの3者連続タイムリーが、今年のハーマンの自信なさげぶりを良く表している。
5番・白崎に三遊間ゴロ突破の2点打。
6番・山足には前進守備の外野の間を越される2点三塁打。
7番・T-岡田には三走・山足をホームに呼び込む左前クリーンヒット。
重要なのは、いずれの結果球も全て変化球だったこと。
自慢のファストボールで勝負を挑んだのではなく、変化球でかわす投球だった。
そんな苦し紛れに、ハーマンの窮状を見る思いがした。
ここでは何度か紹介しているが、今年のハーマンは速球が走らない。
来日1年目147.5キロを計測した速球の平均球速は、昨年146.9キロ、今年145.6キロなのだ。
この日はさらにひどく最速145キロどまり、平均は145キロを下まわっていた。
そんな走らない速球を先頭の1番・中川にツーベースされ、2番・福田には速球の制球定まらずに四球を与えたことで、動揺が走り、疑心暗鬼に陥り、腕も振れなくなったのだろう。
今、ファームではハーマン加齢劣化対策として獲得したブセニッツが、直近の打者35人にノーヒット投球という目覚ましい活躍をみせている。
今回の5失点炎上で、精彩を欠くハーマンに2軍調整してもらう格好の大義名分をえたことになる。
ブセニッツを1軍に上げるベストタイミングが到来したと思うのだが、はたして平石監督の決断いかに?
意思疎通とれていた敵軍バッテリー
この試合、敵軍側からみれば、4戦連続ホームランのJBをどう抑えるか最大テーマになったはずだ。
K-鈴木との対決は、3回先頭で空三振、5回2死1塁で四球、7回1死走者なしで遊ゴ。
凡打に倒れた2打席は、この日楽天打線を大いに悩ませたスライダーで打ち取られていた。
しかし、ぼくが注目しているのは、、、
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