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【楽天2021新戦力】Brandon Dixon ブランドン・ディクソン ~鷲のスパンジーになれるか?!~

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石井GM監督体制では初の補強

本日未明、楽天の新戦力補強のニュースが海の向こうから届いた。石井一久GM監督体制発足後では初の補強だ。

故障などで不振に終わり退団濃厚と報じられているブラッシュの後任に白羽の矢が立ったのは、ブランドン・ディクソンだった。

米サンディエゴ出身。1992年1月29日生まれの28歳。188cm、97kg、右投右打の内野手になる。2013年MLBドラフト全体92番目でロサンゼルス・ドジャースの指名を受けてプロ生活を始めると、シンシナティ・レッズ在籍時の2018年にMLBデビュー。

今年は5試合の出場にとどまったが、昨年はデトロイト・タイガースで118試合に出場、425打席で打率.248、OPS.725、15本塁打の成績を残した。MLB通算成績は197試合558打席で打率.228、OPS.681だった。

捕手・遊撃以外の守備経験

最大の特徴はユーティリティであること。捕手・遊撃以外のポジションを守ってきた。

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ポジション別の出場数は上記表のとおり。

MLBでは一塁を中心に両翼での起用が多く、2018~2019年には大差ついた場面でマウンドにも登っている。マイナーでは二塁、三塁で豊富な守備機会も持ち、まとまった数の中堅起用もあった。

ただし、守備への過剰な期待は禁物だ。FangraphsでUZRを確認すると、いずれも平凡な数字だ。あくまでも「破綻なく守ることはできる」ぐらいのイメージだと思う。

成否の目安は西武の外国人?!

打撃は中距離打者タイプになる。

僕は新外国人を診断するとき、「右打ち」「3A通算OPS.850以上」「3A打席÷本塁打が26.00以下」を『NPBで成功する外国人打者の三条件』にしている。数年前、来日した外国人打者60人の3A通算成績を調査し導いた僕なりの仮説だ。

そのうち、ディクソンが合致するのは右打ちだけ。

3A通算OPSは.806と物足りず、本塁打の発生頻度も31.73打席に1本と空きすぎ、条件に当てはまらない。

だから、先ほど書いたブラッシュの後任という表現は正確ではない。どちらかと言えば、西武のスパンジェンバーグに近いだろう。スパンジーの今季成績(打率.268、OPS.807、15本塁打)が、成否を測る物差しになりそうだ。

気になるフリースウィンガー

そして気になる選球眼。大型扇風機なのか、器用にコンタクトするのか。正直、ディクソンの選球眼はあまり良くない。

3Aでの通算三振率26.7%に対し、同四球率は6.7%。全階層を振り返っても(わずか1試合だった2014年のルーキーリーグは除いて)三振率は23.8%を1度も切ったことはない。逆に四球率が8.3%を超えた年も1度もない。

Fangrahpsで確認できるMLBでのボールゾーンスウィング率は34.1%だ。参考までにブラッシュ21.0%、スパンジー30.9%だから、どういった打者像か察しがつく。おそらくフリースウィンガーなのだろう。

菊池雄星のカーブを左翼席へ

投手の左右で成績が明暗分かれることはなく、MLBでは左投手OPS.682、右投手.680と均等な数字を残す。

得意とする球種は半速球だ。2017年にMLBで放った15本のホームランのダイジェスト映像をYoutubeで観ることができる。それで確認すると、140キロ以下の変化球で9発を量産していた。

右腕が外狙いで投げ込みながら真中から内に抜けた失投のオフスピードや、左腕が内角狙いで投じた曲がり球をタイミングよくひっぱって左翼席へ運ぶケースが多かった。

MLB1年目の菊池雄星も被害者の1人で、膝元127キロのカーブを一閃されている。

一方、スピードボールは苦手にしている。15本中、148キロ以上は4発にとどまった。

ディクソン獲得の裏事情?!

それにしても、来日1年目で球団歴代2位のOPSを刻んだJBの後釜が、向こうの成績だけでみてもスケールダウン否めないフリースウィンガーの中距離打者とは、いったいどういうことなのだろう?

この補強を報じた今朝のTHE PAGEの記事が教えてくれる。

 「実質のメジャー実績が2年しかないため、基本サラリーも57万5000ドル(約5970万円)と“お手頃価格”でもある。」

やっぱり、お手頃価格という点も、決め手になったと思う。

というのは、ここで何度も書いているように、今、楽天の財布はスッカラカンなのだ。

今季のチーム総年俸は約34億円。前年比5億円超の爆上げで過去最高額を記録した。そこへきてコロナ禍が直撃。楽天は感染防止を強く訴えるオーナーの意向もあって今季の観客動員数は12球団最少の23万6000人は12球団最少にとどまった。

球団経営が厳しさを増すなか、補強費の捻出も困難を極めているのだろう。

「楽天 ブラッシュ今季限り退団へ」を報じた11/5スポニチの記事でも「今オフはFA補強を行わない方針を固めていることが判明。育成に重点を置きながら、中長期的なビジョンで戦力を整備していく」とある。

ベストチョイスではなかったはずだ。下手すればお茶濁しになりかねないもの。ディクソン獲得は、やむにやまれず・・・という側面も強かったと僕は見ている。

あわよくばスパンジーみたいな活躍ができれば御の字だ。内外野のユーティリティ性を活かし、石井監督の采配の幅を広げることのできる存在になることができたらOKと願っている。【終】

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