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【戦評】 捕手銀次で思い出した、昨年代行就任4戦目で執った大胆な平石采配~4/7△楽天5-5オリックス

捕手銀次で思い出した大胆な平石采配

3点を追う9回1死走者なし、足立に送った代打・藤田から始まった奇跡の同点劇と、その裏からマスクをかぶった捕手・銀次の起用法は、後世まで語り継がれるであろう平石采配の名場面になった。

本戦スタメンマスクの嶋は7回に代打を送られ退き、裏の守備から足立がマスクをかぶった。
そして迎えた9回、足立に代打ということは、同点またはゲームをひっくり返したとき、『捕手不在の緊急事態』を意味した。

しかし、楽天には入団から2009年まで捕手登録の選手がいる。
1軍では捕手経験ゼロだが、2軍ではキャッチャーとして通算86試合に出場した銀次がいる。
久米島キャンプでは今回のような有事に備え、キャプテンマークも慣れない捕手練習に取り組んでいた。

とは言え、銀次がマスクをかぶる時は、本職捕手がプレー中の怪我など不測の事態で退いたときと思われた。
指揮官が自ら積極的に「捕手銀次」のカードを切りにいくことは、正直想定できなかった。

各種報道をみると、平石監督は今季の早い段階から、捕手銀次のカードを積極的に切ることを真剣に検討したようで、まさに指揮官の強い決意が発揮された名タクトになったのだ。

この起用法で思い出したことがある。
昨年の監督代行就任当時から、平石監督は覚悟を決める大胆不敵の采配をみせていたことを。

それは監督代行就任4戦目の昨年6/23日本ハム戦(○E3-2F)。
楽天1点リードの8回、アマダーのヒットで1死2,1塁になったとき発生した。

2塁走者・銀次に代走・島井を、1塁走者・アマダーに代走・岡島を起用。
塁上の複数走者を全員代走に置き換える起用は、ぼくの拙い野球観戦の記憶の中では初だと思う。

もしこの回追加点を取れず、9回ハーマンが打たれて同点になった場合、延長戦に突入する可能性も高かった。
そうなれば「銀次→島井」「アマダー→岡島」では打線の得点力は明らかに下がる。

そのリスクを織り込みながら、この場面は絶対にもう1点取りにいく。
そういう『腹をくくる強い姿勢』を示したのだ。

しかし1点を取りにいくなら2塁代走・島井だけで十分では?と思いがち。
1塁代走も起用したのは、鈍足アマダーのままなら封殺リスクが高まるからだろう。
1点を取りにいく確率を確実に上げるための、アマダーへの代走・岡島という采配だった。

結局このときは後続が凡退し、9回ハーマンがワンツースリーで締めたことで延長戦リスクも回避し、みごと代行就任3勝目を挙げ、消えていた自力Vも復活する勝利になっている。

両軍のスタメン

楽天=1番・田中(中)、2番・茂木(遊)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・ウィーラー(三)、6番・銀次(一)、7番・ブラッシュ(指)、8番・嶋(捕)、9番・辰己(右)、先発・榊原(右投)

オリックス=1番・福田(遊)、2番・西浦(中)、3番・吉田正(指)、4番・メネセス(左)、5番・頓宮(三)、6番・西野(二)、7番・T-岡田(一)、8番・若月(捕)、9番・後藤(右)、先発・藤平(右投)


銀次マスクの4イニングを振り返る

指揮官が覚悟を決めた采配を揮い、プロ14年目のキャプテンマークが1軍初マスクで4イニングを守った。
勝ち越すことができれば最上だったけど、引き分けに持ち込み同一カード3連敗を阻止できたのは、週明けの日程を考えたとき、大きいと思う。

楽天は4/9(火)から4/17(水)までの合計7戦、昨年優勝チームと4試合、日本一球団と3連戦が組まれている。

4月の山場といえる日程を3連敗で迎えるのか? 
本戦のように指揮官と選手が一帯になった名場面を作り、勝ちに等しいドローゲームで迎えるか?では、チームの雰囲気も大きく違うはずだ。

その意味で9回以降は本当に素晴らしいプレーをみせてくれた。

それにしても、、、

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