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【試合評】 釜田苦闘の90球、ペレス連夜の働き。チームは前半戦4位で折り返し~2016年7月13日○楽天イーグルス4-3西武

ペレス2戦連発、2安打2打点。楽天4位で前半戦を終える

反撃の口火を切るタイムリーに来日2号。4打数2安打2打点。新外国人ペレスが連夜の槍働きで、楽天を勝利に導いた。

先手は西武が取った。先発・釜田が5回裏、4本のシングルヒットを集められ、2失点。2点を追う展開になった直後、6回表の攻撃だった。5回まで楽天打線を散発2安打に抑える好投を見せていた西武先発・高橋光が、自ら崩れたのだ。

まるで意識高すぎである。そのことがイーグルスに幸いした。今季の高橋光は37失点中、実に15失点を6回に失っていた。前回対戦時、則本が高橋光と投げ合った7月1日西武戦(○E3-2L)でも同様。楽天打線は毎回先頭打者を出しながらも5回までゼロに抑えられていたが、2番・藤田から始まる6回、連打と四球で満塁チャンスを作ると、銀次が試合をひっくり返す逆転決勝の走者一掃二塁打を放った。

これらの忌まわしき記憶が、経験の浅い高卒2年目右腕のピッチングを狂わせたのだろう。楽天はその狂いを見逃さず、良く攻め立てた。

6回に崩れることが多い高橋光成

本戦の6回は1番・岡島から始まる好打順。その岡島が制球乱した高橋光の投球をみきわめ1塁に歩くと、ここ最近センターから逆方向の快打がとみに目立つ2番・藤田が、ここでも甘く入ってきた投球を流し打ちのクリーンヒット。無死2,1塁とチャンスを広げると、3番・ペレス。変化球攻めに遭い、追い込まれていたが、高めの126kmスライダーを引っ張り、1,2塁間をゴロで破る右安を放つ。

これで2塁走者が生還した。さらにライト森の3塁悪送球を誘発し、送球がファウルゾーンにテンテンとする間、1塁走者も一気にホームイン。鮮やかな同点劇を演出した。

ペレスのタイムリーの価値

下記に高橋光の楽天戦でのスライダー投球結果をビジュアライズしてみた。今季3試合に登板した楽天戦で、スライダーが最も効果を発揮していたのが本戦だった。ゴロ凡打も多く、見逃しストライクの割合も多かった。一方、ボール球は少なく、楽天打者には不利に働く、相当な厄介な球だった。

この球を仕留めたのが、ペレスである。確かにストライクゾーンの中に甘く入ってきたスライダーだったが、1,2塁間をゴロで射抜くことができたのは、大きかった。

この後、ライオンズにさらなるエラーが飛び出す。ここで高橋光はKO。イーグルスは火消しに出てきた二番手・武隈をさらに攻め立て、1死2,1塁で6番・今江が三遊間を破る適時打を放ち、逆転の3点目を取ることに成功した。(楽3-2西)

7回表にはペレスが左腕・野田のアウトコース投球を軽く一閃。左翼席へ運ぶ2夜連続の2号ソロを放つ。その裏には三番手・福山が森にタイムリーを浴び、4-3と1点差に肉薄されたが、8回ミコライオ、9回松井裕で逃げ切った楽天が今季12度目の1点差勝利を収めている。

勝利投手は5回2失点の釜田で5勝目。松井裕が19セーブを挙げた。

前半戦4位の座を賭けた直接対決。2勝1敗で制したことで、オールスター前を4位以上で終えることができたのは、2013年以来3年ぶりになった。

19連敗をストップさせた楽天

先制された楽天投手陣は合計11安打を浴びたが、4点目以降を渡さない粘りの継投。得点圏で打者13人との対戦を余儀なくされる厳しい戦況だった。最終回も松井裕が浅村に二塁打され、2死3塁と走者に3塁への進出を許したものの、森友哉との同期対決を右飛に仕留め、なんとか3失点にしのいだ。

一方、楽天打線は8試合連続一桁の6安打。特に8番以降の下位打線が合計12打席で出塁は僅かに四球1個と振るわないなど、元気の無さが見受けられた。それでも、数少ないチャンスと相手のミスを絡めて2点先制された直後、逆転に成功した。

実は「味方安打が一桁、敵軍安打が二桁」という条件設定では、今シーズン0勝19敗だった。その流れの中、この試合でようやく初勝利を掴み、前半戦4位を堅守した。それだけ、貴重な1勝を取ったのだ。この勢いを後半戦へ、まずは借金完済を目指して戦っていって欲しい。

両軍のスタメン

楽天=1番・岡島(右)、2番・藤田(二)、3番・ペレス(左)、4番・ウィーラー(指)、5番・銀次(一)、6番・今江(三)、7番・三好(遊)、8番・足立(捕)、9番・オコエ(中)、先発・釜田(右投)

西武=1番・栗山(左)、2番・秋山(中)、3番・浅村(二)、4番・メヒア(指)、5番・森(右)、6番・渡辺直(一)、7番・呉(遊)、8番・炭谷(捕)、9番・金子侑(三)、先発・高橋光(右投)

《釜田佳直の投手成績》

5回、打者25人、球数90、被安打7、被本塁打0、奪三振4、与四球4、失点2、自責点2。

降板後、釜田のコメント「調子はまずまずでした。登板間隔が空いたのに、5回で降板してしまい申し訳ないです。毎回ランナーを背負ってしまい、自分から苦しいピッチングにしてしまいました。しっかり反省し、次回は改善したいです」

釜田、苦闘の90球。

前夜の塩見と同様、釜田も前半戦で5勝目に到達。後半戦に自身初の二桁勝利の希望をつなぐ白星になった。

本人談話には「調子はまずます」とあるが、色々な意味で苦しさ、厳しさが詰まった四苦八苦の90球だったかと思う。

というのは、、、

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