【試合評】驚きの10割超え!! 岸孝之と浅村栄斗の好相性。OPS1.055~4/20○楽天4-2日本ハム
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長らく待ちました!
開幕15試合目・63打席目にして待望の一発が飛び出した。
初回の攻撃。安打+二盗を決めた1番・西川を、2番・鈴木大が進塁打でホットコーナーに送り込んだ後の1死3塁のことだった。3番・浅村のバットが、いきなり火を噴いた。
マウンド上は来日初登板のポンセ。初球撃ちだった。ストライクを取りにきた150キロ真っ直ぐが甘く入ったところを逃さず一閃。僕らファンが熱望した超弾道はバックスクリーン右へと着弾! 今季1号の先制決勝2ランになった。
この日の浅村は2打席目にも軽打で中前へ弾き返すと、3打席目は初回と同じ1死3塁のシチュエーションで今度はしっかり右犠飛。今季2度目のお立ち台行きとなる2安打3打点をみせ、勝利に貢献した。
「この男の先発ゲームで飛び出したか!」という思いを強くした。
というのは、下記表をご覧ください。
過去3年間、浅村の打撃成績はOPS.885、打率.270。しかし岸先発ゲームになるとOPS1.057、打率.354に跳ね上がるのだ!
今季も同様だった。
岸が佐々木朗希と投げ合った3/27○E6-5Mは延長11回に田中和サヨナラ打で劇的勝利を収めたゲームだったが、このゲームでも令和の怪物の落ちる球を仕留めてタイムリー。
松本航を攻略した4/6○E7-2Lでも、お立ち台行きの先制打を放つなど、相性の良さをみせていた。(本戦終了時でOPS1.055に)
今季の浅村は昨年CSに負った左肩痛の影響があるのか、本来の姿なら捉えた!と思った打球でも全く伸びずに失速するパターンが目立っていた。それだけに待望の1号2ランは胸のすく一撃に。
ぜひ間髪入れずに2号をお披露目し、両目が開く状態をみせてほしい。
事実上12球団1位の初回得点能力
西川の傑出した出塁能力(初回先頭打者時の出塁率.600!)と機動力(5盗塁はパ2位)。浅村の長打力。この2つがかみ合った初回の先制2得点で、イーグルスの初回得点は開幕15試合目ではやくも12得点を数えている。
この12得点。じつはパリーグ1位。12球団でも巨人17得点に次ぐ2位の好数字なのだ。
もっとも巨人は22試合。楽天は感染拡大で試合中止5試合あるため15試合と少ない。初回の得点率で比較すると、巨人0.773得点、楽天0.800得点となり、楽天がセ界の盟主を上回っている。
これで楽天は先制した8試合で8戦全勝。その8試合中、初回に先制点を叩き出したゲームは6試合を数える。
その原動力は、前述したように初回に物凄い出塁率を誇る智弁和歌山高の最高傑作だ。昨年までイーグルスに足らなかったものを、補って余りある好活躍をみせている。
決め球撃ち
0-2と早々に追い込まれた後、低めに誘われた初見チェンジアップをうまくひろって右前へ運んだ初回のアットバットもさることながら、この日は2点リードした5回無死1塁でみせた右翼線へのタイムリースリーベースが素晴らしかった。
仕留めた球は、ポンセのカットボール。
この日ポンセはカットボールをストレートよりも多い最多32.2%と多投。ポンセにとって本戦の生命線と言える球種になっていた。
その当該球を左打者に多く投げ込んできたポンセ。
その結果は、5回に西川が打席に入る前時点で、以下のとおりだった。
当該16球のうち、ポンセ有利の結果は13球も。楽天の左打者を悩ませていた。そんなマネーピッチとも言える球種を仕留めてみせたのだ。
このときの青山浩二さんの解説も良かった。
好投する投手を攻略するには、相手の決め球をあえて狙い撃ちするアプローチも時には必要になる。この場面、西川が狙っていたかはさておき、結果的に相手が最も信頼していた球種を攻略できた点は、きたるべき再戦への布石にもなってくる。
楽天先発陣の中で最高値の62.2%
3戦連続QSで2勝目を挙げたMr.安定感は、中13日と登板間隔空いたマウンドになったが、いたって泰然自若、通常営業だった。
見逃しストライクは球数の20%を必ず占めてくる特徴は健在。
そのなか、本戦では奪った空振りが今季最多の12球を数えた。
特筆すべきは、62.2%という数字だ。
これは全球数に占める投手有利割合を表す。
投げた球の結果が、空振りや見逃しストライク、カウント稼ぎのファウル、凡打など岸有利になった割合が62.2%を占めたというわけだ。下記表のピンク網掛け部分が該当する。
62.2%という数字は、3/30○E6-1Bに7回4安打1失点で当該59.6%を記録した早川をしのいで、今季の楽天先発陣の中で1位に躍り出た。
とにかく、あの糸を引く綺麗なストレートが素晴らしい。
この日の立ち上がり、1番・松本剛への初球、アウトローいっぱいに決めた真っ直ぐがこの日の所信表明だったかのように、ストレートで10打数ノーヒット5三振に抑えた。
これで、今シーズン岸のストレート戦績は、36打数3安打、1二塁打、1本塁打、14三振、2四球、被打率.083。
ふつう、真っ直ぐとは打者が最も多く目撃するありふれた球種であり、シュートの次に最も打率の良い打ちごろの球種のはずなのに、岸のストレートに至っては1割すら打たれていないのである!
4年目にして最高
岸のストレートとは、また違った質の良さを発揮しているのが、先日、榴岡公園で奥さん、お嬢さんとともに花見を楽しんだブセニッツである。
この試合では8回1イニングを任され、走者を背負ったものの併殺で退けてゼロに抑えた。
来日4年目。2年契約の2年目だが、来日して最も良いのでは?今季がキャリアハイになるのでは?という予感が凄くする。
スピードも出ているし、狙ったところに投げ切ることができている。空振りも多数奪うことができているし、なにより打たれない。
過去3年は球速の割には空振りが思うように奪えず、例年.287以上の被打率を許すなど、いまいち信頼感に乏しい印象があったのだが、今季は下記のとおり、被打率.143とほぼほぼ打たれていない。
何か決定的な手応えをつかんだ感がする。
MLB球団も食指を伸ばしてきそうな来日最高の成績を残すワクワク感があるのですが、みなさんはいかが思いますか? 【終】
・・・というようなデータをまじえた試合評やコラムを『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2022』で綴っています。