【試合評】岡島豪郎はどこへいった?~8/6●楽天1-9ソフトバンク
そんなことって...ある???
楽天を中心にプロ野球、高校野球、MLBなど年間200試合近くの野球を何年にもわたり観ている僕ですら、こんなシーンは本当に記憶になかった。
その光景は1-1の同点で迎えた5回裏の守備のこと。
7番・柳町に先頭四球を与え(余談だが、この打者は本当に選球眼が良い)、8番・松田に三遊間をゴロ突破され、田中将が無死2,1塁のピンチを抱えたシーンである。
続く9番は甲斐。もちろん送りバント作戦なのだ。
甲斐が高めの球を投手前方に転がした。田中将はマウンドを駆け降りると、ファーストの鈴木大も猛チャージ。
そのときだった。
まさかまさか! 18番と7番がお見合い。今季のスローガンは「譲らない!」なのに、重要どころで両者譲り合い、その間を打球が抜けて最終的にはマウンド後方まで到達。記録上はヒットになる拙守が飛び出したのだ。
解説の攝津正さんによれば、バント打球が強めだったこと。また、あの場所で田中将が処理すれば、3塁封殺を狙うことは難しいため、鈴木大に任せてしまったのかな、とのことだった。
正確に言えば、その数時間前にも、僕は似たような光景を目撃していた。
この日開幕した第104回全国高校野球選手権大会。開幕戦に当たる日大三島vs国学院栃木戦でのこと。この試合も、本戦と全く同じ、同点で迎えた5回の攻防というシチュエーションだった。
国学院栃木の先頭打者によるセーフティバント奇襲攻撃が、三塁手と投手の間を抜けるバントヒットに。この出塁を足がかりに国学院栃木は勝ち越しを決め、3点差をひっくり返す10-3の決勝点を奪うことになったわけだ。
このとき、僕はTwitterに「金属バットならではのバントヒット」と投稿したのだが、まさかその数時間後、そっくりの光景を目撃するとは、このとき全く知るよしもなかった。
プロ17年目の執念が凝縮
この後、楽天は決勝の2点目を含む3失点を喫することになる。
カギを握ったのは、熱男だった。
コロナ禍に揺れるチームを救うべく、前日筑後から1軍合流してきた39歳のベテラン戦士は、カード初戦の全力疾走タイムリー内野安打と同様、この日も足で魅せた。
2番・川瀬の打球は中前を襲うライナーヒットコース。このヒット性をセンター辰己が猛チャージして球際好捕でよくグラブに収めた。飛距離は浅い。ふつうなら3塁からのタッチアップなんて無理だろうと思われた。
だがしかし、松田は果敢にタッチアップを敢行。ふつうなら、辰己の強肩発動で本塁完全アウトの場面である。
ところが・・・(続く)
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