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【試合評】 ダメダーに戻った4番・アマダーの失態劇~5月13日●楽天2-3ソフトバンク

カードの初戦で5連敗

5月に入り、8勝1敗と追撃体勢を整えてきた2位・ソフトバンクとの敵地攻防2連戦。

その初戦の舞台は、熊本・藤崎台県営野球場。

左中間スタンドからフィールド上にせり出すように繁茂する樹齢およそ1000年の天然記念物「クスノキの大群」が見事な九州きっての地方球場に、イーグルスが戻ってきたのは、2014年8月12日(●E1-2H)以来、約2年9ヵ月ぶりになった。

試合結果は2-3、カードの初戦を僅差で落とした。
現状、則本、岸の二枚看板を水曜、日曜に起用していることもあり、カード初戦成績は6勝6敗、4月29日日本ハム戦(●E2-3F)から直近5連敗になった。

先発・美馬は5回2失点の粘投ながら、打線の援護に恵まれず、今季初黒星。

一方、相手先発・中田は今季4勝目。
2015年以降の楽天戦成績を、13試合8勝1敗、防御率2.09、QS率83.3%にした。
ストレートはNPB平均値を越える平均144.2kmをマーク。
楽天打者を困らせた適度に荒れる力強い真っすぐとは裏腹に、変化球は全体の6割近くを低めに集める丁寧さで、特にフォークが上々の機能をみせた。

チーム成績は1位、31試合22勝9敗の勝率.733。

各種戦績は、ソフトバンク戦は4勝3敗、5月戦績6勝4敗、ビジター戦績11勝5敗、先制された試合4勝6敗、1点差試合7勝4敗になった。

ゲーム差は2位・ソフトバンク(5月9勝1敗)と1.5、3位タイで並ぶ西武、オリックスとは6.5、5位・日本ハム(5月8勝2敗)と10.0、6位・ロッテと14.5としている。

両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・ウィーラー(三)、4番・アマダー(指)、5番・銀次(二)、6番・今江(一)、7番・島内(中)、8番・岡島(左)、9番・嶋(捕)、先発・美馬(右投)

ソフトバンク=1番・明石(二)、2番・今宮(遊)、3番・柳田(中)、4番・内川(一)、5番・デスパイネ(指)、6番・中村晃(左)、7番・松田(三)、8番・上林(右)、9番・高谷(捕)、先発・中田(右投)

低迷するチーム得点圏打率

3月4月.276を誇ったチーム得点圏打率は、5月に入って.227。
5月も連敗なく着実に貯金を増やしてきた楽天。
しかし実は、5月は得点の38.0%を一発攻勢に頼っていた。

ちなみに、3月4月は本塁打で挙げた得点は全体の30.3%。
今年はホームランが良く出るイヌワシ打線だが、3月4月は様々なバリエーションで得点を挙げることができていたのだ。

首位攻防2連戦の初戦になった本戦は、その5月の悪しき傾向を引きずるかたちになった。

得点圏9打席で8打数1安打、2三振、1四球の打率.125。
スコアリングポジションでようやく飛び出したタイムリーは、2点を追った8回1死2,1塁、敵軍継投の代わりばなを攻めた2番・ペゲーロの左安。
この1本だけに終わっている。

そのペゲーロの適時打でスコアは2-3。
1点差に迫った8回、楽天はなおも1死3,1塁のチャンスだった。
打席には3番・ウィーラー、4番・アマダー。
前節で復調気配を見せた両外国人に託された、「追いつき、追い越せ!」の展開だった。

ところが、両者ともに凡退する。

ハードラックすぎたのは、3番・ウィーラーの当たり。
岩嵜の足元を襲う痛烈なピッチャー返し。
抜けて同点の中前ヒットコースだった。
しかし、岩嵜が咄嗟の判断で出した右足に打球が直撃。
スパイクに当たった打球が後逸せず、不運にも足元に転がってしまう。
三本間に飛び出した茂木が挟殺される「なんともツキのない場面」になった。

問題はこの直後である。
2死2,1塁で4番・アマダーの打席。
岩嵜ストライクが入らず、ボール先行3-0。
絶好の場面が整っていた。
しかし、その第4球。
まさかのアマダーが打って出た当たりは、変化球をひっかけてのイージーな遊ゴ。
これで逸機したイーグルスは、9回サファテに抑えられ、1点差負けになった。

9回は2死無走者から見せ場は作った。
7番・島内が三遊間を破る左安。
サファテが滅多に投げないカーブを上手く溜めて逆方向に弾き返した。
続く8番・岡島がストレートの四球で歩くと、その後、捕手・高谷の2塁牽制が悪送球になるエラーが絡んで2死3,2塁。
一打出れば逆転というところまで走者を進めたが、最後は代打・伊志嶺が空三振に倒れた。

空気を読んでほしかった...

やはり、防御率0.00のサファテを相手に、点を入れていくのは難作業。
その前の8回2死2,1塁、アマダーがボール先行3-0から1球2球待つことなく、根拠なく打って出てしまった場面がもったいなかったと思うのだ。

あの場面、後ろに控えていたのは5番・銀次だった。
今季は得点圏で23打数10安打11打点、2二塁打、3三振、5四球の打率.435、出塁率.536。
アマダーが1球2球と待って、もし四球をもぎ取ることができたら、2死満塁で銀次に打席がまわったのだ。

相手にしてみれば、かなりプレッシャーのかかる場面である。
満塁のため四球を出すわけにはいかず、3塁に同点の走者がいるため、叩きつけるワンバウンド投球も難しい。
かといって、相手はコンタクトに長けた打者のため、ストライクゾーンに甘く入るのも許されない。
追い込んでも、今年の銀次は2ストライク以降打率.263と高い。
また違った展開が待っていた可能性は高かったのだ。

今シーズン、楽天打者がボール先行3-0から打ちにいったケースを調べてみた。

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「Shibakawaの楽天イーグルス観戦記〔2017前半戦〕」
開幕から乗り遅れた方に→「5月から始めるShibakawaの犬鷲戦記録」


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