【試合評】小郷裕哉、小深田大翔、安田悠馬への覚書~3/12○楽天5-3DeNA

●小郷裕哉

日本列島が今年一番の暖かさに覆われたこの日、乾いた快音が心地よく響いた瞬間は、1点を追う2回1死走者なし、小郷のアットバットだった。

初球ボール後、楽天側の指摘を受けて球審・石山がマウンドに急行。敵先発・大貫にロジンの使い方を注意する場面があった。本塁打確信はその直後に発生した。

試合が一時中断した後のプレーは慎重になりやすい。とくにリズムを断ち切られた投手はなおさらである。小郷は積極打法でその隙を逃さず、甘く入った140キロストレートを右中間へホームランにした。

同じ大卒同期の辰己がこと打撃では待球姿勢なのに対し、この人の特徴は攻守両面で積極的なプレーが光るところになる。

その持ち味は今シーズンも健在。2/13○E6-2F(金武)では塀際飛球をフェンス激突キャッチ。2/17○E8-0S(金武)でも左翼線沿いの飛球を球際ダイビングキャッチする名場面を作った。

3/4○E2-1T(甲子園)では右翼ファウルゾーンでの好捕をみせるなど、球際で果敢に挑むタイプ。もちろん全てが成功するわけではない。2/27○E9-7D(北谷)のように果敢に飛び込んで後逸し三塁打を許すシーンもあったが、それはご愛嬌だ。

僕はこと小郷に関しては、積極的に行って失敗するなら全然良しだと思って観戦することにしているのだ。

今年は西川が加入し、小深田も外野挑戦するなど、外野の定位置争いは例年に増して激烈。そのなか最も危機感を抱いたのは、1.5軍級の立ち位置にいる背番号51だったと思う。

ともすれば心折れてもおかしくない。

実際、松井稼が外野手に転向した2015年、前年レギュラーだった岡島が成績を急落させたことがあった。この年、怪我があったとも言われるが、僕は高き壁との争いでタケローが精神的に困憊した影響もあったとみているわけだ。

同じことが起きても不思議ではないのだが、「西川さんが来たから諦めてるようではそこまでの選手」と鼻息荒い。その姿勢や良し!

出場機会は限られてしまうかもしれないが、シーズン中、この人の力が必要な場面はきっとくる。3年連続の開幕1軍へアピールを続けてもらいたい。

これで実戦の成績は47打席、42打数10安打、6得点、7打点、6三振、5四球、1三塁打、1本塁打、打率.238、OPS.676になった。4盗塁は辰己、小深田ら本来走らなければならない選手を抑えてチーム最多になっている。

●小深田大翔

遊撃の定位置を同期の山﨑剛と争う構図に見られがちだが、実際は山﨑剛が大きく先行している。

本戦終了時で実戦の守備イニングは合計142回を数えた。

山﨑剛が遊撃69回を任されているのに対し、小深田は46回。大きく水をあけられ、追う展開だ。その代わり、二塁48回、左翼9回、中堅9回、右翼4回。外野での出場もグッと増え、ユーティリティスキルの習得に励んでいる。

この日は4試合ぶりの遊撃スタメンだった。

昨年は失策がリーグ3位の12個。遊撃UZR-17.7と守備で大きく赤点を出した。しかし今年はまだ1個。課題の守備で改善傾向にあるのでは?と感じる読者さん、いるかもしれない。

じつはそうではない。今年も遊撃守備に不安要素を覗かせているのだ。

下記データをご覧ください。昨年来、・・・(続く)

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