【試合評】7回ではなく、森原を8回にまわした首脳陣の判断を支持する!~5月26日●楽天1-5西武
森原、誤算の5失点
終盤8回表、西武の攻撃。
楽天はこの回から三番手・森原が登板していた。
先発・森が快投をみせ、強打のライオンズ打線を僅か散発3単打。
6回無失点の好投で、2014年5月1日ロッテ戦(○E8-4M)以来となる勝利投手の権利を持って降板、イーグルスは7回から継投に入っていた。
7回は二番手ハーマンが三者凡退投球。
5番・メヒア、6番・渡辺直、7番・外崎といった右打者3人をストライク先行でことごとく屠り、「杜のワンツースリー」森原にバトンを託していた。
しかし、その森原が誤算だった。
先頭の8番・木村文への制球が不安定。
木村文にも低め誘い球を見切られ、ファウルでくらいつかれるなど粘られ、フルカウントから先頭打者四球。
送りバントで1死2塁後、1番・秋山には1,2塁間ゴロ突破コース。
外野守備体系は前進守備ではなかったため、抜ければ2塁から俊足の木村文が同点のホームを踏む確率が高かった場面、途中から二塁守備に就いていた藤田の横っ飛び好守に助けられ、内野安打止まりにする。
1死3,1塁で2番・源田。
誰もがスクイズがあると感じていた場面、源田が仕掛けてきたセーフティスクイズは、ファースト前方の一塁線沿いにフライ打球を打ち上げる形になった。
打ち上げた瞬間、鷲ファンの誰もが「スクイズ失敗だ!」と確信したシーン。
しかし、しかしである。
まさかの落とし穴が待っていた。
突っ込んできた一塁手・銀次と、捕球しに果敢に飛び込んだ森原が交錯するかたちになり、結局、両者どちらも取れず、まさかのポテンバントヒット。
3塁走者は悠々生還、打者走者・源田も楽々1塁に到達する、森の勝利投手の権利を帳消しにする同点劇になってしまった。
この場面、1死3,1塁である。
もし1塁走者に二盗されたら、一打で同点どころか逆転というシーン。
だからこそ、一塁を守る銀次は1塁ベースに入っていなければならなかった。
これがもし1死3塁なら、銀次はもっと前で守ることができただろうし、源田が打ち上げたバントフライにもチャージして追いつくことができたはずだ。
この後、3番・浅村に右中間真中を突破される決勝の2点二塁打を打たれ、2死2,1塁で代打・栗山にも2点右越えツーベースを打ち返され、この回5失点。
楽天救援投手が1試合で5失点以上したのは、4月5日ソフトバンク戦(●E4-1H)の小山、4月26日ロッテ戦(○E11-7M)の高梨(いずれも5失点)に続く、今季3度目の屈辱になった。
森の3年ぶり勝利ならなかったのは残念だが、負けたとは言え、救いのある敗戦でもあった。
というのは、2位・ソフトバンクも日本ハムに敗れたことで、2位とのゲーム差は変わらず今季最大タイの3.5をキープできたからなのだ。
これでチーム成績は1位、40試合28勝12敗の勝率.700。
各種戦績は、5月12勝7敗、西武戦3勝4敗、koboパーク10勝5敗、雨中戦3勝1敗、7回終了時にリードした試合23勝3敗に。
ゲーム差は2位・ソフトバンク(5月14勝7敗)と3.5、3位・西武(同13勝7敗)と4.0、4位・日本ハム(同13勝6敗)と11.0、5位・オリックスと12.0、6位・ロッテと17.5とした。
両軍のスタメン
西武=1番・秋山(中)、2番・源田(遊)、3番・浅村(二)、4番・中村(三)、5番・メヒア(一)、6番・渡辺直(指)、7番・外崎(左)、8番・木村文(右)、9番・炭谷(捕)、先発・菊池(左投)
楽天=1番・田中(中)、2番・ペゲーロ(右)、3番・ウィーラー(指)、4番・アマダー(一)、5番・銀次(二)、6番・今江(三)、7番・松井稼(左)、8番・三好(遊)、9番・足立(捕)、先発・森(左投)
7回森原ではなく、8回森原になったその理由
「勝利の方程式」と言えば、7回森原、8回ハーマン、9回松井裕のはずだ。
にもかかわらず、この試合はどうして7回ハーマン、8回森原と両者の持ち場を入れ替えたのか?
誰しも感じる疑問だと思う。
結論から言えば、ぼくは一見イレギュラーにみえる本戦の起用法を支持している。
というのは、5月に入ってからの森原は、開幕来のフル回転からくる心身の疲労の影響なのだろう、パフォーマンスを落としていた。(下記表参照)
◎森原康平 月度別 投手成績
表に掲げた全指標で成績を落としていた。
なかでも防御率、被打率は大きく明暗分かれていたのだ。
これは仕方がない部分も大きい。
アマ時代は主に先発、プロに入って本格的に取り組んだリリーフの持ち場で、ルーキーにも関わらず、本戦含む24登板はパリーグ救援投手最多登板、セを入れても2位タイの登板数だったからだ。
心身の疲労がないと言えば、これは嘘だろう。
じつは森原の真っすぐは、回転数だけで見れば、NPB平均値付近。
今シーズンの中継で紹介された則本のストレートが平均2334回転なのに対し、森原は2168回転にとどまっていた。
にもかかわらず、ここまで打者の凡打を数多く誘発できたのは、球の出どころが見にくいとか、腕の振りが同じとか、安定した投球フォームに起因するところが大だったと思っている。
逆に言えば、疲労で投球フォームに狂いが生じたとき、その悪影響を受けやすいタイプなのでは?と想像している。
首脳陣も森原に疲労の色が見えていることは把握していたはず。
3月4月には連投が3連投1回、2連投4回あったのが、5月は2連投1回だけにとどまったのは、森原の疲労を逃がす意味合いもあったと思われるからだ。
そして、1-0と僅差1点を守り抜かなければならない本戦も同様だったのだ。
7回は5番・メヒアから始まる打順。
一発長打は絶対回避のシーン。
メヒアの打棒を封じるには、パフォーマンスが落ちている森原ではなく、力強い速球とナックルカーブの組み合わせでストライク先行を作るスキンヘッドの外国人投手こそ最適と判断したのだろう。
一方、信頼を寄せる新人右腕には比較的楽な場面、力量落ちる打線の下位から始まる8回を任せたいという、梨田監督、与田投手コーチの判断だったと思うのだ。
「福山という選択肢もあったはずでは?」
そう思う方もいるかもしれない。
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