【試合評】 3/30○楽天3-1日本ハム:伊藤裕季也の修正力。失投逃さなかったフランコの豪弾

田中将大 日米通算191勝目

WBC熱狂の余韻が残るなか、他球団より1日はやくプロ野球開幕した新球場エスコンフィールドは、エラーは両軍ゼロ、四死球もわずか3個と、大変引き締まった約2時間58分になった。

ファイターズの先発投手は加藤貴之。

ご存じ現在イーグルスが大の苦手とする左腕だ。直近2年間の楽天戦防御率は1.63。戦前から厳しい試合展開になることが容易に予想されたが、そのとおり4回までスコアレスの投手戦に。

このまま終盤へ向かうのか?と思われたなか、楽天期待の新戦力、それも昨年まで手薄だった右打者戦力が揃って躍動した。

得点には絡まなかったが、2回阿部寿樹のフェンス直撃左越えツーベースは移籍後初安打に。5回には伊藤裕季也1号ソロが飛び出し、6回には1打席目でエスコンフィールド初安打を弾き返したフランコも1号2ランで続いた。

イヌワシ打線が開幕戦で複数本塁打を記録したのは、2017年開幕の京セラドーム(銀次の金子千尋撃ち右本、ペゲーロの澤田圭佑撃ち中本)以来、6年ぶりの快挙になった。

「僕には経験があるので」。試合後のヒーロインタビュー発言が印象に残った先発・田中将は日米通算191勝目。

立ち上がりからじつに丁寧な仕事が、見守る僕らを感嘆とさせた。

昨年首位打者に輝き、今季から選手会長に就任した1番・松本剛には両サイドを広く使う配球で空三振に。6球勝負中ゾーンへ大胆に入った球は1球だけという厳しい攻めだった。

2番・上川畑にはフロントドアのツーシームを駆使した真っ直ぐとの内角出し入れで遊ゴに仕留めると、3番・石井は中飛に。打者が真っ直ぐ狙いのケースが多いカウント2-1から、その狙いを逆手に取るスプリットで芯を外す投球術だ。

相手打線が3巡目に入った6回に2四球も絡んで1死満塁ピンチ。それでも犠飛の最少失点にとどめた。

なおも2死3,2塁で5番・清宮のところ、鈴木翔天の火消しリリーフを仰いだが、中5日で臨んだ今季初登板で6回途中2安打1失点は上々。石井体制の集大成が求められる今シーズン、鷲軍は敵地で好発進を飾った。

盟友・辰己とはじつに対照的

エスコンフィールド記念の第1号は、伊藤裕季也だった。

昨年7月に森原康平との交換トレードでDeNAから仙台にやってきた右の大型内野手が新たな歴史を紡いだ。

開幕前の実戦で打率.321を刻み、2本の満塁弾で存在感を高めた26歳は、2打席目の豪弾でゲームの均衡を破る槍働き。昨年最終戦に開幕投手に指名された敵軍サウスポーの初球高め速球を仕留めた。

まるで狙い撃ちといった感だ。

というのも、2回2死2塁の先制機で巡ってきた1打席目、内と外で2つのストライクを見逃した伊藤裕は、1-2から内角厳しく入ってきた真っ直ぐに空三振を喫していた。それも完全なる着払いだったのだ。

1打席目は加藤に完全に牛耳られるかっこうになったが・・・(続く)

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2018年9月のGM就任から始まった石井体制も5年目へ突入。今年はGM職を外れて監督業に専念する総決算・集大成の戦いに。監督も「狙うのは優勝ですね。優勝以外を掴まされてもハズレ」と不退転の決意を示す今シーズンを試合感想文やコラムなどで綴ります。あなたの野球観戦の「良き伴走者」を目指して。月10回以上を所収ただいま新規読者さん募集中!

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