【戦評】1984年対決を制し、岸さらなるゾーンへ~6月14日○楽天4-0中日
お互いがお互いを高めた名勝負
サッカーの一大イベント開幕日になったこの日、仙台では技術の粋を集めた名勝負が繰り広げられた。
楽天先発は1984年12月4日生まれの岸孝之。
中日は同年9月19日に生を受けた吉見一起だ。
1984(昭和59)年といえば、ロサンゼルス五輪が開催、アップルがマッキントッシュを発売開始し、街中ではマドンナの「ライク・ア・バージン」が一世を風靡、映画『ターミネーター』が封切られ、日本はコアラブームに沸いた年だった。
そんな1984年同世代対決は、通算116勝、同85勝を挙げた名投手の初対決にもなっている。
期待どおりの投手戦になった。
7回終了時までスコアは楽天スミイチの1-0。
岸が全球種に緩急を自在に操り「エースの風格」を漂わせてマウンドに屹立、恐竜打線に攻略の糸口を与えずに封じると、吉見も「熟練の技」を結集させてコースギリギリを突く巧投。
同じピッチトンネルから複数球種を投げ分ける精度の良さで、楽天打線に長らく2点目を渡さなかった。
8回まで投げた岸が空振り13球、見逃しストライク23球、ストライク寄与ファウル14球を奪うと、7.2回の吉見も負けじと空振り10球、見逃しストライク17球、ストライク寄与ファウル19球を記録する。
岸がお立ち台で公言したように、回を重ねるごとにお互いがお互いを高め合っていく、さながら時代劇の名決闘を見ているかのような感覚になった。
僕の好きな20年選手のJポップ・バンド、Nona Reeves。
そのフロントマン、西寺郷太さんは常々こういう感慨を口にする。
ともにデビューした同世代のバンドやミュージシャンの存在は、自我が強く若かった当時は、最も身近なライバルだったという。
しかし、デビューから10年20年と長い歳月が経つと、周りは年下世代だらけ。
多くの同世代がバンド活動を停止し、シーンの最前線から脱落。
そのなか、同じ景色を潜り抜けてサバイバルし生き残ってきた同世代は、今では同じ釜の飯を食う代えがたい戦友なのだと、ことあるごとにしみじみ語るのだ。
岸と吉見、両者の間にも同じような感慨があったと思う。
両軍のスタメン
中日=1番・大島(中)、2番・京田(遊)、3番・アルモンテ(指)、4番・ビシエド(一)、5番・平田(右)、6番・高橋(二)、7番・モヤ(左)、8番・福田(三)、9番・大野(捕)、先発・吉見(右投)
楽天=1番・田中(中)、2番・藤田(二)、3番・島内(右)、4番・ディクソン(左)、5番・今江(一)、6番・アマダー(指)、7番・茂木(遊)、8番・ウィーラー(三)、9番・嶋(捕)、先発・岸(右投)
終盤8回に吉見を攻略!
久しぶりに見た名演の結末は、4-0でイーグルスが勝利した。
初回に1点先制しながら、2回以降は吉見の達者な粘投の前にゼロ行進を続けた楽天打線。
しかし、吉見の球数が100球を越えてきた終盤8回、短長4安打を集めて攻略した。
新4番・ディクソンが単打で活路を切り開くと、6番・アマダーが吉見の内角シュートを仕留めて2夜連発が2ランに。
アマダーならではの狙った豪砲だった。
その後、途中出場の三好にも今季3本目のヒットが生まれると、嶋が右中間後方へタイムリーツーベース。
主将の適時打は5/18日本ハム戦(○E3-0F)以来、じつに1ヵ月ぶりになった。
8回に3得点を挙げて中日の息の根を止めた楽天が、9回はハーマンで締め、今シーズン6度目の零封勝利を飾った。
チームは9試合ぶりの二ケタ10安打。
ディクソンは2戦連続の2安打1打点の活躍になった。
これで交流戦成績は12位、14試合4勝10敗。
金曜日から始まる阪神3連戦で同最下位脱出を狙う。
チーム成績は、6位、61試合21勝39敗1分の勝率.350。
各種戦績は、6月4勝8敗、楽天生命パーク7勝22敗、先制ゲーム16勝12敗1分に。
ゲーム差は1位・西武と14.5、2位・日本ハムと12.5、3位・オリックスと10.5、4位・ソフトバンクと10.0、5位・ロッテと8.5になった。
電光石化の初回先制劇
この試合、開幕前に掲げた機動力の改善が結実したゲームにもなった。
1試合3盗塁は、梨田政権下では2016年9/4ソフトバンク戦以来になる4度目。
初回に島内が、7回は島井、田中が走った。
なかでも、、、、
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