【試合評】負けた中にも光明。楽天11年ぶりの快挙~4/1●楽天0-1ソフトバンク
昨年8月以来の0-1敗戦
昨年パリーグ王者を大阪で3タテし、開幕2戦目からの連勝を4に伸ばしたイーグルス。しかし帰仙したチームを待ち受けていたのは、則本ら6選手の罹患が判明したコロナの衝撃と、若鷹軍団エースの千賀の力投だった。
0-1の敗戦はいったい年間で何試合あるというのか。
調べてみると、夏の甲子園で智弁和歌山が優勝を飾った昨年8/29●E-01M以来だった。あの試合は8回までスコアレスで進んだ息詰まる投手戦。決勝点は9回に。宋家豪が先頭四球を与えると浅村がエラー。その後の2死3,1塁、田村に10球粘れた挙句に決勝打を許していた。ちなみに2020年は1試合もなかった。
柳田の変態打ち、甲斐の超絶好守
決勝点は4回に飛び出した柳田の今季1号だった。
打たれた涌井さんは全く悪くないし、急遽の緊急登板で好投したのに、あの一振りで黒星とは気の毒すぎる。。。
ギータといえば数々の変態打ち、理解不能で意味不明な一発を放ってきた。そんな歴代コレクションの中でも、この一発はかなり上位に入る『ド変態級』は確実だ。
初球だった。外角低めボールゾーンに誘う、柳田いわくフォークだという落ちる球。見逃せば100%ボールになるしっかり制球されたベストピッチだった。
ところがこの球に対しわざわざ食いついていく柳田。しめしめと思ったその瞬間、一見ひろっただけに見えた打球がまさかの伸びをみせてそのまま左翼スタンドに吸い込まれていった。
レフトを守る西川が後退していくスピードが尋常ではなかったため、途中からヤバイな・・・と観念した僕だった。
千賀の好投を支えた甲斐の2度にわたる超絶好守にも、敵軍ながら見ごたえあった。
3回無死1塁、炭谷のバントを迅速に処理すると甲斐キャノン発動。鋭い2塁送球から1塁へ転送されてのバントゲッツー。石井監督は2塁判定に対しリクエストを行使したが覆らず、楽天側にとっては最悪のかたちだ。
1点を追った6回1死2塁では、西川の打席でフォークがワンバン。前方に少し弾くかたちになった隙を突き、二走・山﨑剛が3塁を狙った。しかしこれまた甲斐キャノンに刺されてタッチアウト。そんなことはないと思うが、これなんか、わざと前方に少し弾いてみせて走者が飛び出すのを虎視眈々狙っていたのでは?と思わせるシーンだった。
6回以降、楽天打線は毎回走者を得点圏に進めたものの、ホームへの道をこじ開けるには至らず。3回6回の甲斐の超絶好守の衝撃が、まだ場内に残り、楽天の反抗を食い止めているかのようだった。
マルちゃん、NPBの配球に直面
そのなか最大のチャンスは、千賀も球数100球を越えてきた7回2死満塁か。
バッターボックスはマルモレホス。ところが、1度もバットを振らず、真っ直ぐ3球連続の3球三振に倒れてしまう。
前2打席で低め誘い球を何度も見せられ、複数空振りしていたマルちゃんは、変化球に意識が引きずられ、手が出なかったのだろう。MLBでは打者が打たないなら、打たれるまで同じ配球をしつこく徹底する印象がある。いっぽう、NPBではその裏をかくことも多い。NPBならではの配球に直面したマルちゃんだった。
ところで、こんな光景は珍しい。得点圏で楽天打者が1度もバットを振らず3球三振に倒れたケースは、昨年でいえば3/26日本ハム戦の5回無死2,1塁、上沢の前に反応できなかった浅村の1打席だけである。
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ソフトバンク=1番・三森(二)、2番・今宮(遊)、3番・柳田(右)、4番・グラシアル(指)、5番・中村晃(一)、6番・ガルビス(三)、7番・柳町(左)、8番・上林(中)、9番・甲斐(捕)、先発・千賀(右投)
楽天=1番・西川(左)、2番・鈴木大(三)、3番・浅村(二)、4番・島内(指)、5番・銀次(一)、6番・辰己(中)、7番・マルモレホス(右)、8番・山﨑剛(遊)、9番・炭谷(捕)、先発・則本(右投)
約10年8ヵ月ぶりの快挙
負けたとはいえ、収穫のあるゲームでもあったと思う。
最大の実入りは、6回1失点にまとめた先発・涌井以下、弓削、西垣、藤平とつないだ継投リレーも失点を許さなかった。Twitterに書いたとおり、楽天の失点は4試合連続の1失点以下になった。
3/29(火)○E2-1B(京セラドーム)
3/30(水)○E6-1B(京セラドーム)
3/31(木)○E1-0B(京セラドーム)
4/1(金)●E0-1H(楽天生命パーク)
これは、下記の2011年7/13~7/16以来、じつに10年8ヵ月ぶりの快挙になっている!(めんどくさくて2012年までしかさかのぼれなかった僕に情報提供いただいた方、ありがとうございます!)
7/13(水)○E1-0H(Kスタ)
7/14(木)△E0-0H(Kスタ)
7/15(金)○E4-0Bs(Kスタ)
7/16(土)○E6-1Bs(Kスタ)
涌井の投球術、西垣の課題改善
「やっぱりストライクゾーンの使い方が上手いなあ!」。
改めてそう感じたのは涌井さんだ。真中からコースいっぱいへ。カウントが進むごとにストライクゾーンを広くみせる投球をしているのだ。
駆け引きも達者だ。たとえば初回今宮への初球。炭谷は外角にミット構えていた。それなのに、涌井さんは真っ直ぐを真中に投げ込んでいく。見逃しストライクを奪うことができたものの、一見ヒヤリとする投球だ。
しかし、これなんか、1番・三森が初球凡退しているから、2番打者の経験豊富で技法を知り尽くす今宮なら、絶対に手を出してこない。そう判断しての大胆なカウント稼ぎだったと思う。
似たような場面は・・・(続く)
...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2022』でどうぞ。
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石井全権体制2年目を迎える今シーズン、9年ぶりのVを狙う“譲らない”熱戦を、いろんなデータをまじえながらの試合評、コラムで綴ります。
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