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【'21春ファーム】スカウティングレポート~#004 引地秀一郎
リスタートした本格派右腕
この春、ファームで再スタートを切った未来の先発候補がいる。
昨秋、戦力外から育成再契約を結んだ引地秀一郎だ。
闘将の母校・倉敷商高から2018年ドラフト3位で楽天入り。「星野2世」とも呼ばれる本格派右腕である。
この6年間、イーグルスが高卒投手をドラフト3位以上で獲得した例は、じつは2016年ドラ1の藤平と引地の2人だけ。ということを考えると、球団内部では潜在能力をきわめて高く評価されている人材と言えそうだ。
しかし、3年目の昨年はイースタンの登板ゼロに終わった。右ヒジ手術の影響もあり、実戦復帰は9月にずれ込み、秋の宮崎で本格的に復帰した。
その影響で育成切り替えに。背番号も004番で再出発を切った今シーズンは高卒4年目。秋のドラフトでは大学に進んだ同期がプロ入りしてくる。チームきってのアニメ好きで知られる引地にとって、勝負の年になってくる。
年明け1月は則本塾に参加
そのなか1月にはエースが主宰するチームNoriに参加。合同自主トレの成果がさっそく現れ、ラプソードの計測でストレート151.6キロを叩き出したことが話題を呼んだ。
その引地がイースタンのホーム開幕戦に当たる4/1(金)○E7-5DBで先発マウンドに登った。
結果は上々。任された3回を2安打無失点に抑える好投。走者なしでもセットポジションからの投球で、打者13人に67球、奪三振2、与四球2、与死球0だった。
今回はこのときの登板を振り返ってみたい。
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2年ぶりイースタン登板で3回無失点
イースタン登板は2019年10/29巨人戦以来となった。
この日のDeNAのスタメンを見ると、力量不足の面々が多い。外国人は不在。新人2人、育成1人。この他に1軍出場ゼロが3人。1軍打席数は最多でも伊藤裕の76打席というぐあいだった。
ふつう2軍戦で対決する打者のラインアップは、2軍調整中の1軍級、1軍と2軍を往来する1.5軍級、外国人、1軍実績ゼロの2軍暮らしの長い選手、新人といった混成旅団で構成される。
1番・梶原(左)、2番・益子(捕)、3番・勝又(右)、4番・伊藤裕(一)、5番・田部(二)、6番・蝦名(中)、7番・粟飯原(遊)、8番・小深田(一)、9番・東妻(捕)、先発・有吉(右投)
ということを考えると、この日の引地は、対戦相手に恵まれていた。(そんな相手に1回4失点炎上した内間は論外)
とはいえ、過去の引地なら、このクラスの相手にも苦戦していたはず。その意味では一歩大きく前進する登板になった。実際、彼が先発・救援問わず最初の回から3イニング連続でゼロに抑えたケースは、昨年10/26秋季教育リーグの広島戦以来、2度目である。
魅力的なストレート
球種割合を確認してみよう。
ストレート 43球(64.1%)
スライダー 14球(20.9%)
フォーク 4球(6.0%)
カーブ 6球(9.0%)
このなか、ストレートが最も良かった。
最速149キロ、平均145.6キロを計測。この試合の数字だけをみれば、NPB1軍の平均値とほぼ同じだ。
ときどき大きくシュート回転したり、抜けすぎて捕手が捕球できない場面もあったものの、球威は抜群。初回先頭打者の初球で空振りを奪ったり、数多くのファウルを打たせてカウント稼ぎができたのも、このファストボールだった。
このクラスの投手によくある光景は、立ち上がりあんなに走っていた真っ直ぐが、3回辺りになるとへなへなボールになってしまっているケースだ。何度見てきたことか。スタミナの問題、飛ばしすぎの問題もあるのだろう。回を追うごとに球速の下落が著しいタイプをよく目撃する。
しかし、この日の引地は、146.9キロ→146.3キロ→145.7キロと回を重ねても球速をキープすることができていた。じつは過去の複数の『実況パワフルプロ野球』では「球速安定」の特殊スキル持ちなのだ。
絶品のカーブ。ヒヤリのスライダー
変化球で目を惹いた球種は、平均109.8キロのカーブである。
オーバースローから繰り出されるだけあって、12時から6時に鋭く縦割れで曲がり落ちるブレーキングボールになっている。
対戦相手の中では最も1軍打席経験を有する伊藤裕からも空振りを奪うなど、ボールになった球も含めて全6球、低めにしっかりコントロールされていた。
その反面・・・(続く)
...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2022』でどうぞ。
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