【試合評】動いた中日・立浪監督、動かなかった楽天・石井監督~6/2●楽天2-3中日
※本稿は全文noteに公開しました。最後までお楽しみいただけます。
5/11以降パリーグ最低
球団新11連勝の反動は、あまりにも大きすぎた。
連勝が止まった5/11●E1-3M以降、イーグルスは5勝13敗、勝率.278なのだ。参考までに同期間の他球団成績を調べてみた。下記のとおり、楽天のほぼ一人負け状態と化しているのだ。
動いた立浪監督、動かなかった石井監督
1勝1敗で迎えた立浪竜との3戦目。明暗分けたのは、両軍指揮官の采配の差だった。
立浪監督は1番・大島外しを決断。この組み換えが奏功した。
今シーズン31試合で1番を務めたベテランは直近10試合で打率.154。極度のスランプに陥っていた。代役に指名されたのは岡林だ。三重・菰野高からプロ入りした3年目の若武者は真っ直ぐに強く、当該打率.318を誇っていた。
そして2番には豪打のルーキー鵜飼を配し、3連戦で初出場のA.マルティネスを3番に抜擢。この攻撃的な布陣が、岸攻略の特効薬になった。
いっぽう、石井監督は動かなかった。
1番・西川、2番・小深田、3番・浅村、4番・島内の並びは5/24●E0-1T以降は不変。
遥輝も洋平と同じく不振をきわめ、直近10試合打率.139と低迷していた。どうみても疲労の影響ありありで、バットのヘッドが下がり、打たされゴロを多発させている。それなのに、石井監督は有効手を施さなかった。
積極的にタクトを振った立浪監督と、動かざること山のごとしの石井監督。その差はさっそく初回の攻防に現れた。
1回表の楽天攻撃が無得点に終わったのに対し、1回裏の中日は1、2番で電光石火の先制劇。
1番に白羽の矢が立った岡林が、ストレート撃ちの特技を発動させた。岸の甘く入ってきた141キロストレートを一閃するライトオーバーのスリーベース。
続く2番・鵜飼は2-2から先制打となるサード内野安打。楽天の守備隊形は内野前進守備を採用しておらず、そのこともあって詰まったバウンドゴロを待って処理した鈴木大の1塁送球よりも、ああ見えて足が速い鵜飼(※)が1塁駆け抜けたほうが先だった。
中日に3点目が入った3回の得点劇も、5/22以来の3番スタメンに入ったA.マルティネスの中安が起点になっていた。
前夜から一転
楽天の敗因・中日の勝因の1つに、前日中日が辛島の前に抑え込まれたことがあると思う。
野球に限らず、森羅万象はいろんな物事と複雑に絡み合う関連性の中で生まれている。風が吹けば桶屋がもうかるみたいな。
この場合は、前日の試合評で言及したとおり、中日打線が辛島の前に1stストライクを見逃すケースが続出して敗退した事実、打者23人中17人がじつにバットを振らず見逃していたことが影響していた。
おそらく前夜の反省を踏まえて中日は試合前にミーティングをもったのだろう。そこで打撃コーチが1stストライクを積極的に打って出るようにと激を飛ばしたにちがいない。
前日、辛島は打者23人中73.9%に当たる17人から1stストライクを見逃しで奪ったのに対し、本戦の岸は打者19人中47.4%にとどまる9人だった。
もっと言えば、打者1巡で1stストライクを見逃しで奪うことができたのは2回先頭の7番・木下1人だけ。それほど恐竜打線はアグレッシブだった。
なかなか見るべきところに乏しい試合になってしまった。そのなか、胸のすく思いを味わえた瞬間は、右打者の懐を厳しく攻めた石橋の喧嘩投法ぐらいだった。【終】
・・・というようなデータなどをまじえた試合感想文やコラムを『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2022』で綴っています。