【戦評】 圧巻の反転攻勢。平石楽天、勝利の3分の2が逆転だ!~5/18○楽天6-4ロッテ
誤算からのスタート
立花社長が日産スタジアムでヴィッセル神戸を観戦したそのころ、幕張のロッテ7回戦は「誤算」で始まった。
相手先発はボルシンガー。
来日2年目の今季は精彩を欠いて防御率4.73。
不調の原因は制球難だ。
昨年3.29を記録した与四球率は4.18まで悪化。
楽天戦データだけでも、球の低め到達率は昨年37.8%から今年28.3%からまで減り、全体的に球が高めの傾向が見受けられた。
イーグルスはすでに3/30(○E9-3M)、4/27(●E5-6M)の2戦連続で5回途中まで投げたボルシンガーからいずれも5点をあげており、嫌な相手ではない。
そのことから本戦でもまとまった点を取るだろうが、楽天先発・石橋がどこまで持ちこたえることができるか?と予想していた。
ところがなのだ。
楽天のスコアボードは5回までまさかのゼロ行進。
6回にウィーラーの9号ソロでボルシンガーから1点取るのがようやっと・・・という状況に陥った。
過去2戦と比べて球は低めに集まり、変化球はキレキレだった。
低め到達率は過去2戦28.3%から本戦33.7%の改善。
ナックルカーブを始めとした変化球がすこぶる良く、そのストライク率は過去2戦59.7%から本戦67.6%へと上昇し、同空振り率も3.9%から18.9に大幅増になった。
5回に『藤田空三振』という象徴的なシーンがあった。
今シーズンの藤田は右投手打率.429。
チームきっての右投手キラーだ。
オリックス山岡以外の右投手との対戦では、同一打席で同じ球種を複数空振りするケースはゼロだった。
しかし、5回空三振のときナックルカーブに2球連続でバットが空を切る光景があり、これだけ切りとってみても、本戦のボルシンガーの状態が良かったことが推測できる。
一方、自軍先発・石橋は立ち上がりからグダグダ。
初回から3イニング連続で失点を喫し、5回4失点。
ヒット10本中5本が追い込んでから許したもの。
0-2や1-2、2-2とボールカウントにまだ余裕のあるカウントから痛打を浴び、解説の里崎智也さんから繰り返し「意識低すぎ」と苦言を呈されていた。
両リーグ最多13度目の逆転勝利!
ゲーム展開は、6回を終えて3点ビハインド。
今やロッテ救援陣の防御率は12球団トップで、6回終了時に勝っているときは14勝1敗1分と圧倒的な戦績を誇っていた。
万事休すか・・・と思われたが、本戦も逆転イーグルスが開演!
先頭打者エラーで「もらった出塁」をした8回だった。
三番手・唐川を攻め、2番・藤田が適時二塁打、3番・浅村が同点の10号2ラン。
さらに4番・島内が勝ち越しの4号ソロと一挙4得点!
9回にも加点した楽天が6-4で両リーグ最多・今季13度目の逆転劇を飾り、ナインの諦めない姿勢が実を結ぶ好ゲームになっている。
連敗を2で止めた楽天の順位は、前日4位タイから単独4位へ。
チーム成績は41試合20勝20敗1分、勝率を再び5割とした。
各種戦績は、直近10試合5勝5敗(得点46/失点62)、5月7勝9敗、ロッテ戦3勝5敗、ビジター9勝12敗1分、屋外球場16勝11敗、2点差以内ゲーム11勝14敗1分になった。
ゲーム差は1位・ソフトバンクと3.0、2位の日本ハム、ロッテと0.5、5位・西武と1.0、6位・オリックスと3.0、首位と最下位の差は6.0としている。
両軍のスタメン
楽天=1番・辰己(中)、2番・藤田(遊)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・ウィーラー(三)、6番・銀次(一)、7番・ブラッシュ(指)、8番・嶋(捕)、9番・橋本(右)、先発・石橋(右投)
ロッテ=1番・荻野(中)、2番・鈴木(一)、3番・清田(右)、4番・井上(指)、5番・レアード(三)、6番・角中(左)、7番・中村(二)、8番・藤岡(遊)、9番・吉田(捕)、先発・ボルシンガー(右投)
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平石楽天の白星は全体の3分の2が逆転だ!
平石楽天の特徴を一言で表せば「逆転イーグルス」に尽きる。
野球の構造上、6回終了時に負けているときは「ほぼほぼ負け」になる。
相手は勝ちパターンが登場し、逃げ切りを測る。
一方、こちら側はまとまった点差のときは敗戦処理が登板する。
負けている側はバントや盗塁、エンドランといった思い切った作戦を採用しにくくなる。
戦術の幅も狭まり、動くに動けない状況になる。
どうみても、当該時に負けているチームが逆転する見込みは少なくなる。
ところがだ。
平石楽天の6回終了時に負けているときの成績は今年4勝15敗1分、勝率.211。
昨年の代行指揮時代から通算で13勝46敗2分、勝率.220。
代行指揮時代からの勝利のうち22.8%は、6回負けている状態からの逆転勝利が占めている。
当該成績、梨田政権下では20勝143敗2分、勝率.123にとどまった。
梨田政権であげた164勝に占める6回負けたときからの逆転勝利はわずか12.2%。
平石楽天の「逆転イーグルス」は歴然としていることが分かる。
また「6回終了時」というイニングを区切らずに言えば、平石楽天の逆転勝利数はこれで38。
全体の白星の66.7%がまさに逆転勝利なのだ。
とくに7点差をひっくり返した5/8ソフトバンク戦(○E8x-7H)、8点差からの大逆転を飾った5/15日本ハム戦(○E9x-8F)、そして4点差から勝利をつかんだ本戦(○E6-4M)の3勝は、現在チームを離れているWエースに捧げる3勝と感じた。
勝率5割を死守するこの活躍劇に、2軍調整中のWエースは何を思うか。
ナイン奮闘の思いを復帰後のマウンドにぶつけてくれるはずだ。
逆転勝利の先鞭をきったウィーラー活躍劇
本戦、「投の功労者」は6年目でプロ初勝利をあげた今野だ。
前回8点差をひっくり返したときは3回零封に抑えた2013年ドラフト12球団最終指名選手は、本戦でも2回を無失点に抑えた。
1イニング目の6回は先頭打者にいきなり死球。
今季下で磨きをかけたカーブがすっぽ抜けてしまった。
しかし、そこからが落ち着いていた。
最速146キロの速球をメインに、昨年から本格的に持ち球にする130キロ台後半のカットボールを織り交ぜて後続を退けた。
走者なしでもクイック投法を入れていく投球術もみせて、得点圏で3番・清田、4番・井上を撃退。
回またぎ7回も一発のあるレアードを平凡三ゴに終わらせるなどワンツースリーをみせた。
一方、「打の立役者」と言えば、もちろん浅村の2ランも価値絶大なのだが、ここではウィーラーを推したい。
この人が孤軍奮闘したからこそ逆転勝利の突破口が生まれたと思うのだ。
というのは、、、
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