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とやまのやわやわとは AMAZING TOYAMA写真部で学んだこと

今年の4月から、富山市が主催するAMAZING TOYAMA(アメイジングトヤマ)写真部というサークルに入会して、写真の勉強をしています。撮影会や講評会、作品展などもあるかなり本格的なフォトサークルです。しかも無料です。

講師は写真家で富山市政策参与のテラウチマサト先生です。

(※「富山の本気」とかで極彩色の写真を発表してる方とは別人です。むしろ逆ベクトルの方です)


私も、写真を撮るのは初めてではありません。

野鳥撮影歴もありますし、会社でも仕事でよくカメラを使います。フォトコン誌入賞歴もちょっとあります。

しかし、いざ「いい写真を撮ろう」となると、何をどう撮っていいのか、途端に分からなくなっていたので、この際一回「いい写真」とか何か、について、ゼロから勉強しなおそう、と思いました。

ピントが合っていて、でっかく写っていて、インパクトがある写真、免許証や図鑑のような動物写真ではない、奥行きとかストーリー性とかいう、「瞬間の向こう側」に行きたいと思ったのです。

この写真部のいいところは、カメラやレンズの使い方や画像処理のしかたには一切触れずに、とにかくいいと思う写真を写して、お互いに講評をする、という実践を繰り返す点です。

写真クラブによくある、やれ銀塩カメラでリバーサルフィルムがいいだの、マニュアルフォーカスレンズじゃなきゃダメだの、JPGじゃなくてRAWだだの、大三元レンズだの、雨晴の気嵐や春の四重奏や立山連峰の写し方のテンプレートとかいうお話はもう聞きたくないですし、最近流行りの極彩色の映え写真にも興味はなかったので、ひたすら「エモい」「グッとくる」「奥行きがある」「ストーリー性を感じさせる」写真について考える機会となりました。

自己紹介に使った写真。撮影:富山市荒町交差点

年間通しての写真のテーマは「富山のやわやわ」です。「やわやわ」はゆるやか、ゆったり、リラックスして、気負わずに、といったニュアンスの富山弁です。

テラウチマサト先生はこの「やわやわ」を「相手を思う気持ちのあらわれ」と表現されました。

相手とは、被写体であり、写真を見る人でもあります。

その、人と人との間にある、情緒、余韻を撮る。

色彩や構図、インパクトやコントラストで驚かせるのではなく、余韻を伝える。

という写真がテーマのようです。

テラウチ先生は「ナラティブ(物事や出来事に対して、人々が自分の視点や経験を通じて語ること)な写真」と表現しました。見る人によって感じ方が異なる、瞬間のストーリー。なのだそうです。写真を通して、見る人に対して、どう感じるかを問いかける写真が「いい写真」です。

以下、講評のうちで印象に残ったテラウチ先生のコメントを個人的な備忘録として箇条書きにします。

一回目の課題に提出した写真。撮影:富山市城址公園

・主役と背景=50:50の写真が理想。写真の最後のイメージは背景が決める。写真の中に中心点を2つ入れる両極構造がいい。光と闇、混沌と整然、など。ただし主役が立つように。

【人の心を動かす隠し味】
1.配色バランス
2.しぐさ
3.被写体との距離感
4.色味
5.テーマへの迫り方
6.見せるサイズ
7.小道具

2024/7/27の撮影会+講評回で提出した写真

・写真は「読む」もの。見た人がどう感じてもらえるか、見る人に「どう思う?」と問いかけるもの。考える余地を与える。考える時間が余韻でありストーリーとなる。

・カメラのオペレーションではなく、「人の心を動かす方法、つかむ方法」が重要。ボディーは操作性、レンズはエンジン。いいカメラよりもいいレンズ。写真は結局レンズで撮る。レンズチョイス、焦点距離と見え方の違いを意識する。カメラポジションと被写体との距離、立ち位置とカメラアングル、エフェクトライン(印象線)、背景と主題の色彩関係、光によって目線を主役に誘導する。カメラポジションをちょっと変えてみる等、細かいチェックが写真を劇的に変える。

2024/7/27 富山市水橋 白岩川河口

・シャッターチャンスは3回ある。撮る時、セレクトする時、トリミングする時。引いた絵を撮っておかないと、トリミングできない。いくつかパターンを撮っておくのは大切。セレクト数を増やし、並べて見比べる。

・『寄る勇気、引く勇気』。見せたいものを見る人に押し付けすぎない。主題を引いて捉える。見る人を子供扱いしない。刺激で勝負した写真は2・3回見ているうちに飽きてくるが、引いた写真は飽きが来ない。

・作業や行為の途中よりも、事前と事後の良さもある。行為の瞬間よりも余韻や余白が産まれることがある。行為(仕事)が進行中に取った場合、「それ以外のシャッターチャンス」について考える。二枚目以降のバリエーションも考えながら撮る。

全てがあからさまではない余韻、ということもある。中が見えないことによってイマジネーションが湧く。あえて「表情を見せない」アングルなど。見る人に考えさせるのが余韻。

・小道具を移動する工夫。余韻を作る小道具(それを持っていた人のことを思わせる)。邪魔なものは避ける、入れたいものはきっちり入れる。

2024/7/27 富山市 水橋フィッシャリーナ

次回の講座(オンライン)は8月24日で、宿題写真の提出もあります。
がんばって「いい写真とは何か」について考えていきたいと思います。




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