カード歴史解説#1《絶望神 サガ》
こんにちは、ヨウリです。
最近はアドバンスしかやってません。
今回はとあるカードの歴史を私の記憶を元に辿っていきたいと思います。暇な時に更新するため、シリーズ化するのかな…
第1回目は《絶望神サガ》です。
サガを見てブラウザバックしようとしてる人、ちょっと待ってください、このカードは半年の期間にブラッシュアップされ、最強となりました。その過程には多くのプレイヤーの努力と想いがありました。
今回は、それを追体験してもらおうと思います。
それでは、やっていきましょう!
(今回は長くなってしまったため、カード名を2回目以降は略させていただきます。)
第1章 〜誕生〜
まず、サガの登場は2月18日発売、「ヒーローズダークサイドパック 〜闇のキリフダたち〜」でした。
明らかにループするそのテキストにプレイヤーたちが気づかないわけがなく、「これはテキストミスなのでは?」とか、「エラッタ待ったなしやね」などと、絶望の声が聞こえてくるかのようでした。当時の僕も友人と「oh…」としか言いようがありませんでしたね…一応、サガを知らないプレイヤーの皆さんにサクッと説明しましょう。
それを使用したループがこちら。
「世界で1番簡単なループ」などと揶揄されていますが、マジでこれだけで好きなだけ手札を交換できるため、墓地を無限に肥やせます。
また、「墓地だけ肥やしてどうすんねん」となっても大丈夫!
と、ループで3キルが成立した瞬間です。
確かに3ターンサガループは簡単に成立しなさそうではありますが、メタさえなければ約50%で成立します。2回に1回は決まると考えるとヤバくないですか?ヤバいんですよ。
そのヤバさをより強く使うためにデッキビルダーたちが発売前から開拓していくこととなります。
当時のデッキリストは以下の通りです。
当時はサガをサーチできる《ロスト・ウォーターゲイト》や《ゴッド・シグナル》を採用することで、3tサガループの再現性を高めていました。
また、《死神覇王 XENARCH》の採用により、サガループ中に起きるディスカードをドローに変換することもできます。
踏み倒しのメタクリに対しても、《敬虔なる警官》が1体のみならどかしてくれるため、どうとでもなります。
しかし、この型は、サーチカードを採用する都合上、どうしてもリソースが細くなりがちで、メタを立てられると脆い部分があり、実際に【水魔導具】が当時はかなりキツい相手でした。
第2章 〜サガ、最強位の舞台へ〜
より研究は進み、以降のテンプレリストに確4となる《蒼狼の大王 イザナギテラス》+《冥界の不死帝 ブルース/「迷いはない、俺の成すことは決まった。」》のパッケージが登場します。
サガループ中にこの2枚を挟むことで、キーパーツのボトム落ちのケアや、闇単色のチャージャー呪文をイザナギで使えるため、腐る場面があるソルハバキに頼らないギミックを搭載することに成功します。
また、当時はイワシンが4枚使えた関係で、早いスピードで墓地を肥やせたため、《龍頭星雲人/零誕祭》をサブプランとして採用することで、ループだけに頼らない、ロングゲーム耐性を獲得しました。
また、目には目を、サガにはサガをということで、【アナカラージャオウガ】+サガのパッケージを持つ【アナカラーサガ】も登場します。
サガメタを持ち合わせていながら、《CRYMAX ジャオウガ》の超強力なフィニッシュ力をサブプランに生かしたデッキです。困った時に投げたらメインプランかの如くゲームを終わらせてくれます。
また、先行3ターン目の《キユリのASMラジオ》には誰も抗えませんし、速攻に対しての不安は《B.F.F モーメント》や、《テック団の波壊Go!》がキャッチし、安易なリーサルを許しません。
しかし、アナカラーデッキは当時、【オービーメイカー】や【ジャオウガ】など、割と激戦区だった上、リソースの管理、枠の圧迫など、少々欠点を抱えてもいるデッキでした。
そして、ある程度の発展を経て行われた大型大会、最強位決定戦。
この大会に参加したプレイヤーはデッキ選択を以下の3つの系統に絞られていました。
①サガを使う
②サガをメタったデッキを使う
③サガ以外に勝てるデッキを使う
まず①は簡単ですね、3ターン目サガループの押し付けはとてつもない魅力と言えるでしょう。
また、それなりのロングゲームにも対応できる上、この大会に参加するプレイヤーはサガを避けて通れませんからね。他のプレイヤーはサガメタを積んだデッキパワーを落としたデッキを使うのに対し、こちらは100%のパワーをぶつけられるので、分の良い勝負を仕掛けられるのも魅力です。しかし、ミラー対面は先にサガを2枚揃えた方が勝つという約50%の運ゲーを背負わされます。
続いて②。
オリジナルは【水魔導具】や【アナカラー系統】が、アドバンスは【4c万軍投】や【火闇バイク】が挙げられます。
素のデッキパワーが高いことも相まって、渡り合えるデッキが多いのが特徴です。
しかし、サガをメタったデッキ同士の有利不利が存在しており、例えば【水魔導具】は【火単我我我】にガン不利といったように当たり方によっては厳しい戦いを強いられてしまうのも確かです。
最後に③。
これは、前環境の覇者こと【4c邪王門】が挙げられます。
圧倒的なカードパワーと柔軟な動き、高度な技量を持つこのデッキは他のデッキの追随を許さない程の強さを誇ります。
しかし、自身の土俵に上がってきてくれないデッキ、つまりサガに対して勝ち切ることができないのです。
確かに《とこしえの超人》を積むことは可能ですが、それはデッキパワーが落ちることを意味しているため、練度で勝負することが求められました。
結果としてBest8が以下の通りです。
サガ系統 3(うち水闇2 水闇自然1)
アナカラー系統 3
(うちジャオウガ、ペディア、オービーそれぞれ1)
5cザーディクリカ 1
火単我我我 1
そして、決勝に駒を進めたのは◆ドラ焼き選手の駆る【火単我我我】とけっしー選手の操る【アナカラーサガ】。お互いにサガを意識したデッキ同士の対決となりました。
上記のリストを使用したけっしー選手のアナサガは速攻に対するアプローチとして《テック団》や《ずっとも》が入っており、最終戦ではそれらを踏ませ、妨害をしきったものの、山札トップにあった宇宙にはあと一歩届かず、惜しくも準優勝となりました。
その風景はぜひご自身の目でお確かめください。
配信アーカイブ
テキストカバレージ
第3章 〜えっ、サガ生き残ってGPで活躍?〜
そうして迎えた殿堂発表。
全DMPが固唾を飲んで見守ったその殿堂発表の結果は…………
🎉🎉🎉サガにお咎めなしだーー!🎉🎉🎉
フィニッシュパーツであったイワシンを没収されたものの、天敵であった【水魔導具】に採用されていた《ガル・ラガンザーク》も殿堂入りし、追い風となりました。
しかし、今回の殿堂はタイミングが悪かっただけで妥当オブ妥当ではあったんですよね。それにしたって時期を考えようよ公式さん
結果として、サガ・マスターズは継続したわけですが、絶望する暇もなく、その1ヶ月後に行われたのが3500人規模のDMGP2023-1st。
その前にサガは過去のカードから強烈なシナジーを持つ2枚のカードを発掘します。
それが《蒼神龍 ヴェール・バビロニア》と《コダマダンス・チャージャー》です。
バビロニアは
・コスト5のオリジンなのでサガで出せる
・全てのドローを《エマージェンシー・タイフーン》に変換する圧倒的なスペック
・cipで擬似的なピーピングハンデスを行う
といった、サガのために生まれてきたかのような、そのスペックを買われて、【DOOM型サガ】に入るようになります。
特に《DGパルテノン 〜龍の創り出される地〜》が貼られていようと、バビロニア1枚で墓地を大量に肥やしてDOOMの着地まで持っていけるのが強力で、またメタを自力で乗り越えることとなります。
また、コダマダンスはルーターサガの3→5につながるチャージャー呪文というだけでなく、墓地に落としたくないカードを作らせず、盾に落ちたカードを回収も可能な便利カードです。他のチャージャー呪文よりも小回りがきくため、より枚数を採られることとなります。
以上の2枚によってかなりの強化を受け、GPの舞台に殴り込みです。
その結果として、まず2DaysのBest8に残ったデッキから振り返っていきます。
Day1(アドバンス)
5cモルト 2
ライオネル系統 2(うち光水1、光火水1)
水闇サガ、4c万軍投、モルトNEXT 、4c覇道 1
Day2(オリジナル)
火単我我我 2
アナカラー系統 4
(うちジャオウガ2、オービー1、ハンデス1)
火自然アポロ、水魔導具 1
なんとサガは2Days通してBest8進出者が1名のみとなりました。
オリジナルはアドバンスよりもサガに対する包囲網が敷かれた結果と言えるでしょう。
また、アドバンスに関しても、直前に発売されたレジェンドスーパーデッキ「龍覇爆炎」がモルトNEXTに大きな強化を得たことで、大抵のデッキをパワーだけでなぎ倒すデッキとなりました。もちろんそれは微不利がついていようとサガも同じだったのです。
【水闇DOOMサガ】を握るTJM選手と、すずの音選手の【ラッカライオネル】との頂上決戦となりましたが、最速の動きを決められず、またも準優勝となりました。
しかし、その裏でZweilance選手やすめらぎ選手などの強豪プレイヤー達は新たなる型のサガを研究していました。
それが後の史上最強デッキこと【ダンタル型サガ】。当時はまだ呪文メタなどにも弱かったのですが、それは最後の1ピースの登場を待つこととなります。
第4章 〜サガ、覚醒〜
さて、ここに来てサガは一強へと押し上げる最強の1ピースを獲得します。
それがスーパースタートWINデッキ「深淵の邪襲」に収録されたアビス、《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》です。
注目すべきは下面の呪文。
パワーマイナス4000はとこしえや《若き大長老 アプル》、《赤い稲妻 テスタロッサ》などの環境に存在するほぼ全てのメタクリを焼くことのできるラインでありながら、2コストという余ったマナでプレイしやすいカードです。
また、上面も見過ごせず、サガの効果を満たすクリーチャーという点はもちろん、パワーマイナス4000を2回行うということは【火単我我我】の小粒クリーチャーを1度に焼くことができるため、雑なリーサルや+1打点はトリガーした時点で止まります。
考えれば考えるほどぶっ飛んだ性能をしているそのアビスはいよいよサガを一強に押し上げることとなります。
ドアノッカが入った週のサガのCS入賞率は16%、翌週はなんと32%を記録します。
この30%という数値は異常なのですが、どのくらい異常なのかというと、
15%を超えると一強二強環境で、
20%を超えると環境一強、
30%はもはや異常事態です。
さらにこれまで30%を超えたデッキは過去だと
【アナカラーダムド】
【4cデイヤー】
【ヘブフォドラグナー】のみであり、サガ以降だと、【火水マジック】
【デイガファイアーバード】しかありません。
名実ともに最強にして最凶のデッキとなったサガには大きく分けて3つの型がありました。
一つ目に【DOOM型サガ】。
これまで紹介してきた通り、墓地メタに強く、分かりやすいフィニッシュが特徴です。
二つ目に【ダンタル型サガ】。
サガループの後にイザナギから《蝕王の晩餐》を唱えたが最後、《龍素記号wd サイクルペディア》→《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》とランクアップを繰り返して、ペディアのcipを無限にストック。
その後、《機術士ディール/本日のラッキーナンバー!》で相手のカード使用を封殺して勝利するデッキです。
【DOOM型サガ】にはできないこととして
・特定のフィニッシュパーツを必要としない
・ロングゲームの異常なまでの耐性
・採用できるパーツの多さ
・当時流行していた《ボン・キゴマイム/♩やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の攻撃不能効果をループフィニッシュによって全く相手にさせない
といった点が加味され、圧倒的な強さを見せることとなりました。
しかし、当時はダンタルをループの際にハンドに抱えておかなければならないという欠点を抱えており、その問題を解消したのが次の型のサガに入っていたカードです。
その型というのが三つ目の【クローシスサガ】です。
このサガは邪王門や、《乱振"舞神"G.W.D》などの火が入った面制圧によって、カウンター性能を底上げした型になります。
同型に対しての勝率は落ちているものの、より速攻ケアが出来るようになったと言えるでしょう。また、何より革命的なのが《邪神 M・ロマノフ》。
このカードは「マナ」という触りにくいゾーンから火、または闇のコスト6以下の呪文にアクセスできるカードでした。
これは、サガループ後にマナに埋めたダンタルを唱えてウォズレックを出し、そこからループに入って行くといったコンボがそのまま勝ちに繋がります。
また、序盤に2枚目のサガにアクセスできていなくても、Mデッキ進化で捲った3枚の中にサガがあり、マナに迷いはないを埋めていれば、そのままループに直行できるため、3枚目以降のダンタルを採用しなくても良いという点で水闇の型にも入るようになります。
これら3つのサガはそれぞれに独自の強み弱みがあり、対策する側は全ての型をメタるデッキが存在しなかったことも、サガ一強に拍車をかけている原因でした。
まさしくTierGODと呼ぶに相応しい活躍だったと言えるでしょう。
第5章 〜増えるサガメタ vs 最強(凶)〜
さて、ここに来て最強のサガメタがアビスレボリューション第2弾「忍邪乱武」に収録されます。
それが《♩なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》です。
墓地リセットに《エナジー・ライト》が付いたようなカードですが、これがまた強力。
本来、サガ vs メタの対面は、メタ側が妨害カードをプレイした場合、除去に手間取っている間にリソース補給を行う or 自分の動きを通して勝つといったような行動が求められるわけですが、このリソース補給というのが難しかったのです。
そこに現れたなぜ離れというカードはこれを両方兼ねているという革命的なカードだったのです。
このカードが特に強化したのは、【光水ライオネル】や【ドロマー天門】といった受け寄りのデッキでした。
特にライオネル系統は《スロットンの心絵》という、ラッキーナンバーでは止まらないカードを採用していたため、サガに対して割と戦えるようになりました。
しかし、サガ側も黙ってはいません。
この対面において重要だったのは《蒼神龍 ヴェール・バビロニア》でした。
ペディアの効果が無限にストックしている状態で、山札の枚数が変動しないクリーチャーを3→4→バビロニア→6…と繋げていくことでバビロニアの効果も無限にストック。
これにより、相手の山札を並べ替えることが出来るのです。はい?
これにより、万が一盾にタマシードトリガーがあってもそれらをケアしきることが可能になります……。
また、新弾によって《邪招待》というエレメント除去も獲得したことで唯一微不利であった【水魔導具】も完全に微不利とは言えなくなってきていました。
また、《謀遠 テレスコ=テレス》の登場で、ハンデスを用いてリソース勝負を仕掛けて【火闇テレスコ邪王門】も登場します。
しかし、ここでは初動札であったはずの《氷牙 レオポルディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》のクリーチャー面を出すことで、リソース勝負にも打ち勝てるというプレイングをフェアリー/AYN選手が編み出し、少なくとも微有利以上をつけています。
間違いなく最強のデッキはいよいよ3度目の大型大会に向けて動き出すのでした。
第7章 〜最強の証明〜
夏に迎えた超CS Ⅴ。
メタゲームの中心にはもちろんサガの姿が。
しかし、サガはメタゲームに存在していないようなものだったのです。
どういうことか説明するために、まずはサガに微有利をつけている【水魔導具】を軸に考えてみましょう。
【水魔導具】はコントロールや受けて返す対面などには無類の強さを誇るデッキですが、早期に懐に入ってくる【火単我我我】や【火自然アポロ】に完全に不利がついていました。
しかし、その速攻デッキたちはボンキゴが重かったり、受けて返すデッキらに勝てません。
ここで、メタゲームが回るわけですが、サガはこれらほぼ全ての対面に五分以上の戦績を持つため、春先に行われたGPよりもはるかに勝ち上がることが予想されていました。
この約半年間の間に洗練され切ったサガ。あとは最強の証明をするのみとなりました。
それでは新潟でのBest8を見ていきます。
火自然アポロ 3
サガ系統 2(うち水闇1 クローシス1)
アナカラー系統 2(うちジャオウガ2)
火単我我我 1
Best8進出率こそ2位なものの、Best128進出率は約21%と1位を記録。【クローシスサガ】を使用したそん選手も4位入賞を果たします。
そして、決勝戦ではユウキング/わいきん選手の【水闇ダンタルサガ】と烈選手の【アナカラージャオウガ】が激突。
メタカードとそれを超えていく長い長い死闘の末、サガループ後のダンタルループを阻んでいたボンキゴを《疾封怒闘 キューブリック》が弾き飛ばして勝負は決しました。
決着の瞬間、ユウキング/わいきん選手の目には歓喜の涙を流しました。
この2023年度上期を駆け抜けたプレイヤーとサガの間には濃かったとだけでは表せないほどの日々があったことでしょう。
この環境を戦った全ての皆さん、お疲れ様でした……
、と終わりたかったんですが、殿堂間際のこの時期に最後のパーツを獲得します。
現環境でも大暴れしている存在、それが《飛翔龍5000VT》です。
このカードを一言で評するなら「でっかい《敬虔なる警官》」。
メタクリーチャーがいくら並んでいようとそれらを全て弾き出し、1ターン遅延。その間にループ開始と、メチャクチャな性能をしたこのカード。
最後の最後まで強化され、いよいよ栄誉の称号を得ることとなります。
第8章 〜絶望の終わり〜
いよいよ、サガ環境は終幕を迎えます。
8月4日の殿堂発表にて、主犯であった《絶望神サガ》とダンタルループの名前にもある《蝕王の晩餐》が殿堂入り。
サガの殿堂までの日数は174日。特殊なカードを除けば、《ヨミジ 丁-二式》が保持していた194日という最速記録を塗り替える結果となりました。
こうして、殿堂施工までの期間も最強であり続けたのでした。
終わりに
第1回目のくせにかつてない文章量を記録した《絶望神サガ》でしたが、どうだったでしょうか。
記憶違いであったり、間違いがあったりする部分があったかもしれません、ご了承下さい。
改めて2023年度上期を戦い抜いた全DMPのみなさん、本当にお疲れ様でした。
このカードについて語って欲しい!というカードがありましたら、ぜひ教えてください。語れる範囲で頑張って書きます。
それではヨウリでした。
またね。