二次創作とネットストーカー

・今回の記事では繊細な問題を取り扱うため、今までとは異なり語りかけることを意識しています。
・個人の見解で推測していますが、これはレッテル貼りが目的ではなく、現在進行形でネットストーカーの被害に遭っている人の心理的な負担を減らすこと、ネットストーカー側にやめるよう語りかけることが目的です。
・同人文化の否定はしません。


 二次創作の世界は好きな作品やキャラクターへの愛を自由に表現できる場所だと思います。しかし、そんな自由な空間だからこそ厄介な問題も目につくことがあります。そのひとつが、いわゆる「ネットストーカー」という行為です。

 ネットストーカーというと、どこか自分とは関係ない遠い話に感じるかもしれません。でも、二次創作の界隈にいると、「これってちょっとストーカー的だな…」と思う行動を目にする、なんてことは誰しも経験したことがあるのではないでしょうか?
 誰かの創作や発言を逐一チェックして、気に入らないことがあればすぐ反応したり、他人の解釈に「それは違う」と執拗に絡んだり。中には、相手を悪者扱いして晒し行為をする人もいます。

 こういう行動がエスカレートすると、知らないうちに「ネットストーカー」として周りから距離を置かれるようになってしまうことがあります。本人は「自分が正しい」と信じているために何故そうなるか理解できない場合もあります。
 では、どうしてこんなことが起きるんでしょうか?

以下、その心理を分析し、重要なことを考えます。

 この記事で伝えたいのは、どちらが正義か悪かといった単純な二極化にすることでも、加害者を病的だとレッテル貼りすることでもありません。
ネットストーカーという行動がどれほど無益であり、結果的に誰も幸せにしないものであるということを考えてほしいです。

ネットストーカーが生まれる理由

正義感の暴走

 二次創作は好きな作品やキャラクターへの強い愛情がベースにあると思います。しかし、その愛が大きいあまり、「自分の解釈こそが正しい」と思い込んでしまう人がいます。他人の解釈や創作に強い拒否反応を示して、何か言わずにはいられないといった人です。
正義感そのものは悪いものではありません。
 ただ、それが行き過ぎて「気に食わない他者を攻撃する」形になると問題です。
 人を攻撃する正義感は、本来の正義とは異なります。それはただの支配欲です。正義感とは、一定のルールを守り、問題を冷静に解決しようとする姿勢を指します。
ネットストーキングをして執拗に攻撃することは正義感ではありません。


自己承認欲求の歪み

 二次創作は、表現の場であると同時に「見てもらいたい、評価されたい」という欲求を満たす場所でもあります。しかし、思ったように反応がもらえなかったり、他の人の作品が注目されているのを見ると、「なぜ自分は評価されないのか」という不満が生まれることがあるのではないでしょうか?
 そして、その不満が、その人への嫉妬や攻撃に変わってしまうことも。評価がほしい気持ちは分かりますけど、そこから他人に執着するのは違います。


ネット特有の距離感の喪失

 ネット上では、顔が見えない分、相手との距離感を保つのが難しいです。同じ作品を好きな仲間だからといって、つい「親しい」と思い込んでしまう。でも、それはただの錯覚で、現実ではお互いに独立した個人なわけです。その境界線を無視して「自分の感情を押し付けてもいい」となってしまうと、いざこざが生まれるのも当然です。

ネットストーカーが迎える末路

 こういう行動を続けると、最終的には被害者だけでなく、加害者自身も大きな代償を払うことになります。私が思うに、その結末は以下のようなものです。

1. 孤立

 ネットストーカー行為に時間とエネルギーを注ぎすぎると、現実の人間関係がどんどん薄れていきます。家族や友人との繋がりが希薄になり、気づけば孤立している…なんてことも少なくありません。
なによりネットストーカーしている間も時間は過ぎていきます。
 自分が老人になったとき、まだ若くて動ける貴重な時間を気に入らない人間をネットでストーキングすることに浪費したという事実に苦しまない自信がありますか?

2. 社会的信用の失墜

 監視や攻撃がエスカレートして被害者が法的措置を取れば、裁判沙汰や警察沙汰に発展する可能性も十分あります。一度でも「問題を起こした人」というレッテルを貼られると、それまで築いてきた信用は取り戻せません。

3. 自分自身の崩壊

 ネットストーカー行為に夢中になる人の多くは、実は自分の生活や心の問題に向き合えていない人が多いのではないでしょうか?
 実際、加害者のインタビューでは現実に不満がありその八つ当たりでしていたということも分かっています。
 他人を攻撃しても、一時的な満足感しか得られず、根本的な孤独や不安は解消されません。問題から逃げ続けることは自己嫌悪や無力感が増すばかりで、最終的には自分を追い詰めることになります。


もし自分がその一歩を踏み出してしまったら……

自分もそういう行動を取ってしまったかも」と思ったら、まずはその手を止めることが大切です。
自分自身と向き合う
 他人への執着や攻撃をやめ、自分の生活や自分自身の過去など自分自身に目を向けてみてください。何が不満で、何を改善したいのかを考えてみてください。自分を大切にできるのは自分だけです。
ネットから距離を置く
 一度SNSを閉じて、現実の生活に集中してみるのもおすすめします。本を読んだり趣味に没頭したりすることで、自分の心を取り戻すきっかけになるはずです。
専門家に相談する
 もし一人でどうにもできないと感じたら、カウンセラーや心理士に相談してください。人には言えない相談でもカウンセラーには守秘義務があります。自分の抱えている孤独や不安を他人に伝えるだけでも、楽になることがあります。

被害者の方へ:大丈夫です。

 ネットストーカーの被害に遭っている方に伝えたいのは、「大丈夫」ということです。相手の行動は、あなたがした何かが切っ掛けになったかもしれませんが、それは本質的な原因ではありません。
本質的な原因は、加害者自身が抱えるものから来ています。
 もし、ネットストーカーの被害にあったなら、思いきってネットと適切な距離を置いてみてください。そして信頼できる友人や専門機関に相談し、一人で抱え込まないでください。
 ネットは世界の全てではありません。傷つき思い詰める前に、ネットは限られた空間であり、現実世界こそが本来の人間の居場所だということを忘れないでください。


結論

 ネットストーカー行為は、被害者にとっても加害者にとっても何一つ良いことを生みません。
被害者が傷つくのは言わずもがなですが、加害者も犯罪者の烙印を押され、社会的地位を失います。
 また、ネットで人を叩いて得られるものは全て錯覚で一時的なものです。鬱憤晴らしにさえ適していません。貴方自身の抱える不満を解決する手段にはなり得ないことを冷静になって考えてみてください。

 この記事では被害者ではなく加害者にフォーカスを当てたものとなっていますが、理由は加害者が居なければ被害者も存在しないからです。
 加害者が誤った行為をこれ以上しないように、加害者側が自分自身と向き合うことが重要となります。

ネットストーカーしていた方は今からでも遅くありません。他者ではなく自分自身と向き合ってください。



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