ハンターの可愛いキャラ、嫁が描いてる問題。
かわいいキャラは嫁が描いてる
ハンターハンターでかわいいキャラが出てくると、決まってつくコメントが「このキャラは嫁が描いてるな」というやつである。
どういうことかというと、ハンターハンターの作者である冨樫義博先生の妻は、あのセーラームーンを描いた武内直子先生なのだ。
冨樫先生ですら幽遊白書とハンターハンターの二作を大ヒットさせた生ける伝説、超売れっ子漫画家なのに、その妻があのセーラームーンの武内先生なのだから驚きだ。
セーラームーンは当時社会現象になるレベルで流行っており、プリキュアみたいな「戦うヒロイン」の先駆けで、もはや古典と言って差し支えないレベルのレジェンドである。
あんまり比べる意味はないが、ビッグネーム度合いで言えば武内さん側がちょっと上なんじゃないか、と思うほどだ。
もちろん「漫画家の嫁さん」ということで、冨樫先生のアシスタントとして画業を手伝うこともあるらしい。
そういう背景があり、ハンターハンターでかわいいキャラが出るたびに「これは嫁が描いてるな」というのが定番となったわけだ。私はこれが大嫌いである。
豹変!かわいいキャラは嫁が描いてるとか言うな!
冨樫先生の体調不良
なんで嫌かと言うと、当然ながら「冨樫先生が描いてない」ことにされるのが嫌なのだ。
元々冨樫先生は体調不良もあって連載が安定しない。初期作品の単行本のおまけページで「一週間で3時間しか寝ていない。一日じゃないぞ。漫画家になるならこれが真似できるか」などと書いていた。
ずっとピンピンしていて一度も原稿を落とさない(取材のための休載はともかく)というスーパーマンみたいな漫画家もいるので勘違いしやすいが、漫画家というのはとんでもない激務なのである。週刊だからというのもあるが、別に月刊なら気ままにやれるってわけでもない。
座りっぱなしで利き手には常に力が入り、目も机の上を見たまま動かない。徹夜は当たり前で飯は当然店屋物ばかり。急死する作家さんすらいる。
冨樫さんは長い漫画家生活で腰を患い、あまりに痛みがひどい場合は椅子に座るどころか起き上がることすらできないらしい。
私も一度ぎっくり腰になったことがある。これは平仮名なせいでほんわかした表現に思うかもしれないが、急性腰痛症のことである。
腰が痛いと座れない、立てない、歩けない。寝た状態から寝返りをうつだけで痛い。這って歩くか、つかまり立ちしかできないが頑張って整形外科に行き、レントゲンを撮って「骨に異常はありませんね」というよくある言葉を頂戴して湿布だけ貰って帰ったり、腕の良さそうな整体院に行って揉んでもらったりしてなんとか治すのだ(ちなみに、整体に行ってもAVみたいなことは起こりません。時間停止モノの9割がウソなのと同じです)。
そういう「描きたくても描けない」ような状態でもなお「休載するな描け」と言われるのを見てきたのに、今度はかわいいキャラを描いたら「ここは嫁さんっぽい」などと言われるのだ。理不尽そのものではないか。
描かないと叱られるのに、上手く描けば描くほど、かわいく仕上がれば仕上がるほど、自分ではなく嫁が描いたことにされるのだ。
「幻影旅団が初登場した時の顔スゴイよねww」みたいなスレもよくある。
パクノダとかすごい鷲っぱなで目もギョロギョロしてたのに、回を経てグラマラスなブロンド美女としてまとまっていった(あの子性格もいいんすよ……)。
これも嫁が描いたとでもいうのか。
最初の変なところは冨樫で、安定してきてかわいいから嫁。
「これは上手いから、お前描いてないだろ」と言ってるのと同じなのだ。
よくある一言雑学みたいなウンチクについて
そもそも、そういうこと言うのちょっとダサイと思う。
ワインを飲んでたらなにか言わずにいられない人みたいに、そういう知識をひけらかすのダサくない?
「もやしって、豆や玄米を日光を当てずに発芽させて作るらしいよ」とか
「伯方の塩って、メキシコやオーストラリアの天日塩を原料にしてコスト削減してるらしいよ」とか
「タレントのIKKOさんって、別人がすり替わってるらしいよ」とか
そういうどうでもいい雑学を言ってくる男ウザくないすか?
ちなみにクラピカの元ネタはナウシカの王蟲だし、レオリオはレオナルド・ディカプリオからとってるし、ゾルディック家はゾディアック事件っていう実在の出来事がモデルだから。あとゴンの元ネタは知らん。
冨樫先生もかわいいキャラが描けるって言ってこ?
冨樫先生は昔ラブコメを描いていた
そもそもの話、冨樫先生はかわいいキャラを描ける。
初期作品の「狼なんて怖くない!」「てんで性悪キューピッド」などは本当にオススメである。冨樫先生のルーツに触れられるというのもいいし、単純にメチャクチャかわいいので。
ああいう作風を通ってから幽白みたいな「人間の闇の部分」に触れる作風になっていったのは面白い。福本伸行先生が初期に人情ものばかり描いていたのに、賭博黙示録カイジで、借金まみれのクズ人間と、ステレオタイプなサディストの金持ちと、悪口をマシマシにした自己啓発みたいな利根川の説教で大ヒットしたのと同じくらい興味深い。
社会の落ちこぼれに勝てと言うのは氷河期世代の切り捨てと同じであり、勝てないなら負け犬として死ねと言っているのと同じだ。
そういう意味でも時代を反映していて、今見るとかなり違った印象を感じる。結局その説教もデスゲームに奮起させるための詭弁でしかないのも皮肉だ。
すまんすまんつい福本雑学を言ってしまった……。
福本伸行先生の話
どうしても言いたいのでもうちょっと言うが、福本先生はその後「賭博覇王伝零」を描いており、理不尽な世界を変えるため、世界有数の富豪が集まって富を一人に集中させる、全財産総取りのドデカいギャンブルに代打ちとして参加する少年の話だ(また連載止まってますけど……)。
作中でも「掲示板で集まって集団自殺する若者」を救うシーンがあり、前述した「氷河期世代のような負け犬にムチを打つ話」とは真逆だ。
元々人情ものを描いていた人が、ああいう漫画を描くことに「うしろめたさ」があったのかもしれない、と邪推してしまう。
ギャンブルという「他人を出し抜いたものが勝つ」というテーマに比べて「遊園地のアトラクションをデスゲームにしてみました」みたいな内容も明らかに違いがある。中身は数学やクイズだったし。
いま改めて考えると、「賭博覇王伝零」という名前も「賭博黙示録カイジ」とちょっと似てるし、利根川幸雄を意識した後藤利根雄というキャラも出てきて、利根川がいい年したカイジ含む連中に放ったキツめの説教とは違って、掲載誌が少年向けでキャラクターもまだ若いこともあって、もうちょっと柔らかい「行動なんだよ人生っ……!!」みたいな言葉にマイルド味変されていた(しかも本人の独白であって、一方的にぶつけた言葉ではない)。
どれもこれも、少年誌に再挑戦するための零として、角が立つところを丸くしただけかもしれないが、前述したように福本先生はそういう時代の空気を両方ともひしひしと感じていたのかもしれない。
冨樫先生って昔ラブコメを描いてたんだって
関係ない話が長くなった。
これからは冨樫先生が昔はラブコメを描いてたって雑学をみんなで言っていこう。
これはちょうど雑学に雑学をぶつけるようなものだ。例えば
「ふとんを干した時のおひさまの臭いって、ダニの死骸の臭いらしいよ」
に対して
「あれは人間の皮脂が紫外線で分解された時の臭いだね」
と返すような感じである。
こんなのは自分で洗濯したことがある人間なら間違えないように思うのだが、厚手のタオルなど「かなり汚れるもの」を干した後に同じ臭いがするのだから、ダニのわけがない。タオルにまでダニがつくほどの汚部屋に住んでいる場合なら話は変わるが。
なんなら、汗をかいた腕を日に当てているだけでもおひさまの臭いがすることすらある。こういうのやめよう。誰も得しないから。
こちらが記事のまとめになります
ちょっと謝っていいすか?
いろいろ言い過ぎた気がする。
どうでもいい雑学言いがちのつまんな男を刺してしまったし、俺もさっきから胸のあたりが苦しい(なんでだろう)。
そもそも「本当に嫁が描いてたらどうするのか」という問題もある。
どこかのインタビューで「嫁さんはホントに絵が上手いですから、女の子は全部描いてもらってます」などと書かれていたら、私は破滅だ。
これは制約と誓約
だが問題ない。裏目を引く可能性や自分に刺さる悪口を言ったのも制約と誓約だ。
覚悟(リスク)は発条(バネ)!
自分に向くかもしれない刃を突き立てることにより威力とレベルを上げる!
この記事が炎上した場合には私の胸に刺さっている鎖があり
記事は私自身の手によって手動的に削除されることになる(鎖の意味は?)
最期に
最後に、どうしても言っておきたいことがある。
IKKOさんがすり替わってるって雑学はただのデマです。
◇どんだけ~!!!