【建築物環境衛生管理技術者】受験資格と受講資格。
建築物環境衛生管理技術者(通称:ビル管理技術者)免状を取得には2つの方法があります。①国家試験に合格すること、②講習を終了すること、のいずれかです。どちらも出願するためには実務経験が必要で、勤務先の証明(講習の場合はその他公的書類)を添付して申請することになります。
この実務経験の証明、①国家試験と②講習会とで、かなり違います。
①国家試験出願に必要な実務経験
国家試験はビル管理業務の実務経験2年以上で受けられます。特定建築物(または類する用途の建物)での経験が必要です。証明書に面積の記載は必要なものの、手引には必要な面積が書かれていないですね。特定用途(または類する用途)の面積が概ね3,000m2以上でなくてもよいのですかね?
証明書には、従事した期間、建物の所在地と用途、延べ床面積の記載が必要で、証明者の欄には社印(角印)と代表者印(丸印)が必要です。
ここで注意したいのは、経験年数のカウントは出願時点までということです。出願する時点で2年以上が必要です。試験日や免状申請日までではありません。
詳しくは、日本建築衛生管理教育センターの国家試験情報で確認してください。
②受講申請に必要な実務経験
受講申請には、以下の実務経験を証明する書類が必要です。
建築物の面積及び用途を証明する書類
講習会の受講資格は、受験資格よりもハードルが高くなっています。実務経験を積む建物は、特定建築物(またはそれに類する用途で概ね3,000m2以上)でなくてはなりません。
この条件をクリアしているかどうかの判断は結構難しいようですが、要するに、特定用途(または類する用途)の延べ床面積が2,700m2以上の建物での経験と考えておけば良いです。ですから、法律上の特定建築物に限りません。(仕事をした建物が該当するかどうか、正確なところは日本建築環境衛生管理センターで聞いてみてください。)
証明する書類として、建物の「全部事項証明書」や、特定建築物届出書(使用開始又は変更)が必要です。注意しなければならないのは、実務経験期間以前の日付で建物が存在していることを証明できる書類でなければなりません。たとえば特定建築物届出書の写しを提出するとします。あなたの実務経験期間が令和元年4月1日から令和6年3月31日までなら、令和元年4月1日以前の保健所受領印が押されている書類が必要ということです。
実務の内容および経験年数等を証明する書類
こちらは日本建築環境衛生管理教育センターで配布する書式のものを、あなたの雇い主に証明してもらうものです。これも国家試験で必要なものと同じく、期間、建物の所在地と用途、延べ床面積が必要で、証明者の欄には社印(角印)と代表者印(丸印)が必要です。
学歴や所持資格を証明する書類
学歴や所持する資格をもって実務従事に必要な年数が異なります。
学歴の場合は、高卒以上なら最長の5年以上、理工系短大卒なら3年、理工系大卒なら1年以上です。各校の卒業証明書を提出することになります。
資格による場合は、医師・一級建築士・技術士は不要、臨床検査技師で2年以上、衛生管理者なら5年以上です。ビル管理関連資格ならば、第一種冷凍・特級ボイラー・電験二種以上で1年以上、第二種冷凍・電験三種で2年以上、一級ボイラーが4年以上になります。照明としては、免許のコピーを提出します。
国家試験と異なり複数の証明書が必要
このように講習の場合は複数の証明が必要です。特に建物の証明は公的なものが必要になります。国家試験よりもハードルが高いと言えます。
虚偽の実務従事証明が発覚すると、事業者名を晒されます!
令和5年(3月)以降、国家試験と講習の実務証明書には「なお、証明事項に虚偽があった場合は、会社の名称、所在地、事案の概要等について公表されることに異論ありません。」という文言が追加されました。虚偽の証明をした場合、事業者名を晒されます。もちろん、合格も修了も取り消されます。さらに取得した免状も返納することになります。
正直、「どうせわからないだろう」とたかを括って、実務の事実がないにも関わらず、会社に書いてもらって受験・受講している人は現在でも結構いると思います。特にビル管理会社の営業社員や事務員とかですね。たいていは複数のビルを担当しているので、年単位で常駐しての実務なんてやってるわけないです。
しかし、最近はネット情報の発達や、内部告発によって発覚することが多くなってきたのではないかと推定します。この件については、日本建築環境衛生管理教育センターで確認してください。気をつけた方がいいと思いますね。