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「すべて真夜中の恋人たち」 川上未映子

初めて川上未映子さんの本を読んだ。

私には少し難しかったようで、理解できた!というすっきり感はない。

表現がとても繊細で、全体的に詩を読んでいるようななめらかな感じがあった。

展開がすごくあるかと言われればそんなことはないんだけど、次が気になるような本で、もう少し、もう少しの連続で読み終わった。


以下ネタバレです。



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すっきりわかるものではなかったが、ほんわかわかった。

人と話すことが苦手で、いろんな決断を自分でする自信のなかった主人公が、友人や好きな人と一緒に過ごすことで徐々に成長していく。

その過程には、なにも言えない主人公が、人のイライラのはけ口にされて傷つき、自分はひとりなんだと感じるシーンや、そんなときに誰か一人の人にすがりたくなるシーンが描かれる。

このようなシーンは、とても人間的で生々しい。


「光」がとてもキーになっている作品だと思うが、その意味が十分に分からない。

真夜中というのは、すべての光を吸収しているから暗く、色が見えない。そして、発光するものは際立って見え、日中よりもまぶしい。

誕生日の真夜中にのみ散歩していた主人公は、いろんな光に照らされてステージにいるようだったのではないか、、。それが最後には誕生日以外も散歩できるようになったということは、自信がついて光の中に入っていけるようになったということか、?


とにかく、表現の美しさと登場人物の人間味、主人公の成長を描いた作品だと思った。いろんな人の感想を見てみようと思いました。

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