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[Part .1/5]チーム「相剋之杜」牌譜検討集 手組み編(前半)【9期ぷりぷりーぐ】


スライドのリンク集

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※牌図の下にある【第○節 ○○さん視点】というところからも飛べます.

はじめに

9期ぷりぷりーぐで,Roidさん率いるチーム「相剋之杜」に所属していた江山です.
全12節のリーグ戦の間,チームメイトのRoidさん,りくまるさん,りりさんの牌譜を検討する中で話題に上がり,検討スライド(Google Slides)にまとめた内容を,本記事に全12節分集結させました.

全節分のスライドがこちらからご覧になれます.

おおまかな対象レベルは【魂天を目指す雀聖】ですが,【雀豪~雀聖】の方に参考になる内容も広く扱っています.
レベル感としては

に近いイメージです.なんなら本noteの内容は,これらの書籍にあった記載を参考にしている部分が多いです.
チームメイトのみならず,全ぷりぷりーがー・ぷりぷりーぐ関係者・外部の方々にも参考にしていただければ幸いです.

今回(Part.1)と次回(Part.2)は【手組み】の内容について扱います.
牌図の下にある【第n節 ○○さん視点】という文字をクリックすると各回のスライドに飛べます.詳細な説明はこちらからどうぞ.】

1-1. 手組・リーチ判断における基準

1-1-1. 孤立役牌と孤立19牌の比較(第5, 8節)

(1)【第5節 Roidさん視点】←スライドのリンク.詳細な説明はこちらからどうぞ!
打[9s]と打[白]の比較.①[白]を残した場合にどうなるか,②[9s]を残した場合にどうなるか という手の将来を考えてみよう.手の価値という観点で言うとどうだろうか?
(2)【第8節 Roidさん視点】
打[9p]と打[中]の比較.①[中]を残した場合にどうなるか,②[9p]を残した場合にどうなるか という手の将来を考えてみよう.動きやすさや手の安定感に注目.
(3)【第8節 Roidさん視点】
打[9p]と打[白]の比較.この手全体を俯瞰すれば結論が出せる.

孤立役牌と孤立19牌の価値は,
満足な5ブロックがそろっていない(ブロック不足であるか,現状の5ブロックが愚形を含む)場合,原則的に孤立役牌>孤立19牌の序列になる.
上記(1)(2)はこの典型例となる状況であり,19牌を切るべきである.

(理由)
19牌にくっついても愚形ターツにしかならず,鳴きが制限されるので,それならば重なれば役になる役牌の方が有用であるため.

[例外]
・現状の5ブロックが既に満足な良形揃いであり,自分が先制リーチできる見込みがある時は,他家に役牌を重ねられないうちに先処理したいという理由で,孤立役牌<孤立19牌となる可能性がある.
・ピンフがはっきり見え,現状雀頭がない場合は,はっきり孤立役牌<孤立19牌という序列になる.上記(3)がその典型例である.
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1-1-2. 孤立役牌と孤立28牌の比較(第1, 5節)

【第5節 りくまるさん視点】
役牌と孤立[2m]の比較.ドラドラの手だが,どうするのが良いか?

孤立28牌と孤立役牌の価値の比較は,
原則1面子あれば役牌<28牌,0面子だと役牌>28牌と考えるとよい.
上記の実戦図も,NAGAはやや打[2m]を推奨している.

(理由)
28牌は,周りを引いてくればターツに進化する.面子が既にあれば,すぐにリーチ手順が踏める.
一方で面子がない場合は,ターツが出来ても依然として和了までは遠い.それならば,役牌をキープしておくことで,重ねて動けるようにしたり,後々の守備力として活用できるようにしたりできることが大きい.

[例外]
0面子でもタンヤオが見える場合や,良型が多い場合は,28牌残し寄りになる.

【第1節 Roidさん視点】の立体図を若干変更している.今回は[西]トイツがあり,役牌を引っ張らなくても守備力はそれなりにあるが,それでも[8m]と[白]の選択がタイプにより分かれ,拮抗している.

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1-1-3. 孤立牌とペンチャンの比較(第10節)

【第10節 Roidさん視点】
打[7p]と打[12s]の比較.難しい場面だが,Roidさんは正着を選んだ.

孤立3~7牌とペンチャンを比較する場合は,孤立牌の「打点的付加価値」に着目したい.

孤立牌に打点的付加価値がない場合は,ペンチャンを残す.ダイレクトにペンチャンが埋まったり,ペンチャンにフォローが付いたりした方が嬉しいためである.鳴き手の場合はチーが出来るので,よりペンチャン残しに寄る.
孤立牌に打点的付加価値がある場合は,孤立牌を残す.他の部分に連続形がある場合,変化の可能性が増えるため,より孤立牌残しに寄る.

実戦図は[7p]がドラ側であるため,後者のケースに該当する.
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1-1-4. タンヤオを見るかどうかの基準(第4, 7節)

(1)【第4節 りりさん視点】
イーシャンテンになっているが,タンヤオを見てシャンテン戻しをしても良いのだろうか.
(2)【第7節 りりさん視点】
[9m]や[1p]などを切るとタンヤオがぼんやり見えるが,タンヤオを追い求めてよいものだろうか?

多くのケースにおいては,以下の基準が使える:
19に絡む愚形が1個あり,それさえ払えばタンヤオがはっきり見える時は,そこを払うべきであるケースが多い」.

タンヤオが強いのは,1翻アップして鳴けるようになる上に,手牌が内側に寄るゆえ後々の変化にも富んでいるためである.
上記実戦図(1)もこの原則を適用してよい.

ただし,例外的なケースもある.
・そのタンヤオのルートって本当に魅力的なのか?
・タンヤオルートと同等,もしくはそれ以上に魅力的なルートを潰していないか?
という2点に留意したい.
例えば,タンヤオを確定させたいが故に,良形リーチの確率を下げてしまうのは本末転倒である.また,やや面子手には遠い4トイツの時は,端牌トイツを落とすくらいなら七対子を残した方が打点・守備力双方の面でバランスが良い.
上記実戦図(2)では,NAGAはタンヤオを無理に見ず,素直な打[3m]を推奨している.打[1p]は,上家・下家に安全な[1p]を手放す選択なので不安が残る.
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1-1-5. ホンイツを見るかどうかの基準(第4, 5節)

(1)【第5節 Roidさん視点】
門前でもそれなりに整っているように見えるが,ホンイツを見た方が良いだろうか?
(2)【第4節 りりさん視点】
この状況ではどうするべきか.また平場ならどうか?ホンイツを見た場合とそうでない場合の打点を比較して決めたい.


配牌でホンイツに行くべきかどうか迷ったら,以下の2点を基準にするとよい.

ホンイツの5ブロックは揃いそうか?
ホンイツの5ブロックが出来そうかカウントする際は,「数牌は過大評価気味で良いが,字牌は過大評価しない」ということがポイント.
・①-1. 例えば[34459p]は贔屓目に3ブロックと想定して良い.麻雀講師・YouTuberのゆうせーさんが「字牌トイツ2組はホンイツを強く見たい」という教え方をされているが,これは重ねにくくネックになりやすい字牌が2種類トイツになっていれば,他であっさり同色3ブロックができやすいためである.
・①-2.孤立字牌が複数個ある時は,そこでせいぜい1ブロックくらいが関の山だと考えるべき.数牌は横伸びもするし鳴き放題だが,字牌はそれ自体が重なる以外に使い道がないため,孤立字牌が複数ある時に全て重ねようとするのは狸の皮算用である.

②ホンイツにしなくても手の価値はあるか?
具体的には,「どうせ鳴く手で,ホンイツにしないと2翻以下しか期待できない」場合はホンイツ大振りにしたい.逆に,「他色を使って門前リーチがはっきり見える」場合はホンイツを見すぎない方が良い.

例えば上記の実戦図(1)は[發]をどうせ鳴くことになる手であり,ホンイツにしないと安くなるため,[1s]は残すべきである.

なお,上記の実戦図(2)のように,点数状況で結論が覆る場合ももちろんある.ここでは打[發]が推奨される.
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1-1-6. ポイント制シャンテン戻し(第11節)

【第11節 りくまるさん視点】
チャンス手であるが,どうするべきか?素直にリーチドラ1のイーシャンテンを取るか,あるいはシャンテンを戻すかという選択である.

シャンテンを戻すかどうか迷ったら,以下の「ポイント制シャンテン戻し」の基準を参照すると便利である.大まかに言えば,浮き牌が両方とも強い(それぞれが「強い良形変化」あるいは「打点上昇」の機能を持つ)場合は,シャンテンを戻すのが良い.
今回の例では,合計が2ポイントを大きく超える為,打[9p]有利である.

基準を体系化してみた.

この判断基準は,即リーチするか迷った時も参考になる.

【第5節 Roidさん視点】
スライド作成時点では「ポイント制」を導入していなかったが,「ポイント制」に従って考えると,「贔屓目に見てようやくギリギリ外してもいいかな」くらいの感覚になるはず.そのため,このケースでは即リーチで問題ない.

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1-1-7 安牌部屋打法(第3節)

【第3節 りくまるさん視点】
ソウズはヘッドができやすい連続形なので触れない.すると,マンズかピンズの選択になるが,どちらが良いだろうか?

上記の実戦図において,打[7p]とすると,[6p]のフォローが利いていることや,[247s]引きで[3-6p]を両面として使えることをメリットとして享受できる.
一方で,打[7p]後に,安牌を持ってきたら切る牌に迷う.[5p]は良形変化の牌なので切るに切れない.

一方の打[8m]は「安牌部屋打法」.次に安牌を持ってきても迷わず[6m]を切ることができる.また,単独の[68m]よりも強い[4457p]という形をそのまま残せるため,後々の変化の余地が大きい.

打[8m]と打[7p]には一長一短あり,優劣は決められないが,打[8m]の「安牌部屋打法」の魅力を理解しておくことは重要である.

以下は「安牌部屋打法」を用いる基準である.

「真っ直ぐ打っても『愚形残り or 低打点』で価値に乏しい5.5ブロックくらいの時」に「手の価値を落とさず払いきれる愚形がある」場合,安牌部屋打法は
①安全牌を持つスペース(安牌部屋)を持てる
②後々の手牌変化の余地を持たせられる

という点で有効である.
特に,河2段目では安牌を持てるかどうかが,押し引きやベタオリの結果に影響を及ぼすので,安牌部屋打法がより有効となる.

【第9節 江山視点】
打[9s]との2択になるが,ここで江山は打[9p]とした.[89p]を使ってもほぼリーチのみにしかならないので,上記の条件を満たしていることが分かる.ちなみに平場で赤1以上あるなら,ペン[7p]の即リーチ手順も残したいため,打[9s]としていただろう.

1-1-8 ヘッドレスイーシャンテンの安牌部屋の有無(第10, 11節)

まずはこの図について考える.

【第10節 りりさん視点】
打[4p],打[3(4)s],打[5(8)s]の3択.今回は,打[4p]と打[5(8)s]の比較について扱う.ちなみに打[3(4)s]はヘッドレスイーシャンテンにならない([5s]がヘッドで確定する)が,打[4p]と比較すると一長一短あるだろう.

打[4p]あるいは打[5(8)s]とするとヘッドレスイーシャンテンとなるが,その性質には違いがある.

①打[5(8)s]:安牌部屋なしヘッドレスイーシャンテン
[4赤5 789m 4赤5p 345赤567s]:
安牌を引いてきてもツモ切らざるをえない.

②打[4p]:安牌部屋ありヘッドレスイーシャンテン
[4赤5 789m 赤5p 345赤5678s]:
瞬間的に浮いた[赤5p]の代わりに,【安牌】や,【受けの広くなる[45m][134679s]】を持つスペース(「安牌部屋」)を作れるメリットがある.

①と②では,②の安牌部屋ありヘッドレスイーシャンテンの方が勝るケースが多い.以下の3つの理由による.
・アンコ・連続形(12334等)がない場合,単騎待ちになってしまうことがない.
・安牌を持ちやすいため,押し返しのしやすさで優る.
・変化牌を持てるため,手牌の変化の余地が残る.

上記の実戦例でも,打[5(8)s]より打[4p]が勝る.

----(注釈)---
②の形[4赤5 789m 赤5p 345赤5678s]は,通常の余剰牌あり2メンツ形イーシャンテン([34m 22567p 34578s 北]など)と異なり,余剰牌の[赤5p],あるいはそれと入れ替えた安牌が重なってもテンパイするので,ヘッドが不確定.よってここでは便宜上「ヘッドレス」と解釈する.

さて,それを踏まえて次の図を見てみよう.

【第11節 りくまるさん視点】
打[5m],打[7(8)p]の2択.234三色や[3p]ドラの要素があり,比較がやや煩雑である.

打[5m]は安牌部屋なし,打[7p]は安牌部屋ありのヘッドレスイーシャンテンとなる.今回は,「234の三色・ドラ縦・ドラ単騎・[78m]縦タンピン変化」という点から,打点面で打[5m]に軍配が上がるので,スライドではやや打[5m]有利という結論を出している.
このように,打点面などの要素から,安牌部屋の有無の優劣は変化する場合がある.

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今回の内容はここまでである.手組における,応用範囲の広い具体的な基準を扱った.次回(Part. 2)では,副露の基準と,手組に迷った際にどう打牌選択するかの方法論について扱う.

ここまで読んでくださってありがとうございます!

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