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[Part .4/5]チーム「相剋之杜」牌譜検討集 押し引き・他家対応編(後半)【9期ぷりぷりーぐ】


スライドのリンク集

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※牌図の下にある【第○節 ○○さん視点】というところからも飛べます.

0. はじめに

9期ぷりぷりーぐで,Roidさん率いるチーム「相剋之杜」に所属していた江山です.
全12節のリーグ戦の間,チームメイトのRoidさん,りくまるさん,りりさんの牌譜を検討する中で話題に上がり,検討スライド(Google Slides)にまとめた内容を,本記事に全12節分集結させました.

全節分のスライドがこちらからご覧になれます.

おおまかな対象レベルは【魂天を目指す雀聖】ですが,【雀豪~雀聖】の方に参考になる内容も広く扱っています.
レベル感としては

に近いイメージです.なんなら本noteの内容は,これらの書籍にあった記載を参考にしている部分が多いです.
チームメイトのみならず,全ぷりぷりーがー・ぷりぷりーぐ関係者・外部の方々にも参考にしていただければ幸いです.

前回(Part.3)と今回(Part.4)は【押し引き・他家対応】の内容について扱います.
牌図の下にある【第n節 ○○さん視点】という文字をクリックすると各回のスライドに飛べます.詳細な説明はこちらからどうぞ.】

2-3. 他家に対応した進行方針

2-3-1. 危険牌を使い切って粘る考え方(第8節)

【第8節 Roidさん視点】
対面のらくださんの仕掛けを受けており,ドラの[中]が切りづらい状況.下家のかすてらさんが切った[中]はポンするべきだろうか?

相手の攻撃に後手を踏んだ時や,流局が近づいてきた時は,手の中に切りづらい危険牌が浮いていることが多いはずである.この時に重要なのは,いかに危険牌を使い切ってテンパイを取りに行くかという意識である.

例えば上記の実戦図において,[56s][中]は対面に切りにくい危険牌であるため,いかにこれらを使い切ってテンパイまで持っていけるかということが重要になる.その際,【①[4-7s]を埋める】,【②[9p]と[中]のいずれかを埋める】 の両方を引いてくることが必須となる.逆に言うと,[2234m]・[1234p]で計3ブロック作るスぺ―スはない.

下家から出た[9p]をポンすれば,上記の②をクリアできるため,大きくケイテンに近づく.もちろん,[9p]をポンしても安牌が足りるか考えておくことが大前提である.
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2-3-2. 受けの牌効率 vs 平面牌効率(第4, 6, 11節)

2-3-1. 危険牌を使い切って粘る考え方 と関連する内容である.

(1)【第4節 りりさん視点】
対面のyaneshiさんのリーチを受けている.自身はリャンシャンテン.どういう打牌選択をするべきか.
(2)【第6節 りくまるさん視点】
上家のかすてらさんの2副露は脅威であるが,ここではどういう打牌選択をすべきか?

受けの牌効率」とは,副露やリーチを受けた際に,極力危険牌が出ないような形で手牌を維持する打牌方針のことである.

上記の実戦図(1)においては,打[3p]が受けの牌効率に従った打牌である.
打[6s]とすると,使いにくい危険牌の[8s]が手に浮いてしまう.一方で,打[3p]とすると,後々[12p]をまとめて落としながら手牌の形をある程度維持できる.

ただし,「受けの牌効率」に従うことによって,「平面牌効率」に比べて手の価値が著しく落ちる場合は,多少のリスクを冒してでも「平面牌効率」に従った方が良い場合もある.実戦図(2)がその例であり,素直に打[1m]とするのが良いだろう.
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2-3-3. 早い巡目の副露は「分からない」で済ませる(第9節)

【第9節 りくまるさん視点】
上家のなぽさんがリャンメンチーをしている.[中]を打ったら鳴かれて高打点テンパイが入る可能性なども懸念されるが,どうすればよいか?

[中]を切ると鳴かれる可能性があるが,ここは自分都合で切るべきである.

河の情報が出そろっておらず,未確定要素が多い副露については,「分からない」で済ませて良い場合が多い.

副露警戒をするようになると,はじめのうちは「最悪のケースに怯えすぎる」という傾向に陥り勝ちである.

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2-3-4. 副露に対する「ベタオリルート」を探索する(第10節)

【第10節 Roidさん視点】
下家のなりさんの2副露には到底太刀打ちできないが,現時点で安牌は十分あるだろうか?

対副露の押し引きは,「あまりにオリに回るタイミングが早すぎると,かえって安牌が足りずに手詰まる可能性がある」という点が難しい.

よって,微妙な押し引きの際は,安牌の多寡で押し引きが変わる場合がある.この時,自分の手材料で副露に対して安全に切れそうな牌は何枚あるか(どういうルートでベタオリできるか)を見極める能力は重要である.これができないと,安牌が足りている場面で無理して押してしまう可能性がある.

上記の実戦図では,今通った[6p],スジの[3p]を含めると安全牌候補がそこそこ多く,十分ベタオリしきれそうだと考えられる.
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2-3-5. 不必要に手を壊さないよう努める(第10節)

【第10節 りりさん視点】
上家のぱいせんさんの副露をリスペクトし,りりさんは他家に危ない[6p]を先処理したが,実際のところはどうするのが良いだろうか?

自分の手が価値に乏しい際に,副露に対してしっかり対応するのは重要なことである.しかし,切りづらいと思っていた牌が通る可能性もあるので,自分の手を維持する余地があるなら可能な限り維持したい.

上記の実戦図では,
・全体に[1s][西西]の3枚分の守備力が担保されている
・自分の手もリャンシャンテンではあり,それなりに粘る余地がある
などの要素から,[6p]を抜かずに一旦打[發]として形をキープしてよい.

1つ目に関して,「全員に対する守備力があるかどうかを査定する」のに,2-3-4で触れた「ベタオリルート探索」の能力が大いに生きてくる.
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2-3-6. 数牌を残すか否かの判断/将来を考えた数牌の残し方(第2, 7節)

(1)【第2節 りくまるさん視点】
それなりの5ブロックが出来ているが,[3p]を先切りして安牌候補の[發]を残すべきだろうか?
(2)【第2節 りくまるさん視点】
喰いタンである.打[9s]が素直だが,打[5m]という手はあるだろうか?
(3)【第7節 りりさん視点】
下家のパッチるドンさん,対面のベベさんの仕掛けを踏まえて,どういう選択をするとよいだろうか?

数牌を残すか残さないかの判断を迫られたら,「残した場合将来的にどうなるか」というところに想像力を働かせたい.

数牌を先切りしたい場合は,「その先切りによって,価値ある手になるルートが大きく断絶されていないか」を検証したい.
例えば,上記の実戦図(1)では,[3p]を先切りすると[5s]周りのくっつきによるタンヤオルートが消失し,価値ある手になるルートが大幅に断絶される.一方で,(2)では[5m]を切っても[4m]の損失だけであり,その[4m]受けも山に薄いので,デメリットは少ない.

また,(3)のように数牌を切るルートが複数ある場合は,「この数牌を切ったら将来どうなるか」を選択肢ごとに想像したい.下家に[1m]を切りづらい点に着目してみると,打[4s][4m]で123三色にするルートが思い浮かぶ.

2-3-7. 将来も見据えた副露対応(第5節)

(1)【第5節 りくまるさん視点】
上家のyaneshiさんが切った[4s]を鳴くことができるが,下家のパッチるドンさん,対面のガぶガぶさんの仕掛けを踏まえて,どういう選択をするとよいだろうか?
(2)【第5節 Roidさん視点】
対面のいろはすさんがドラポン含む2副露をしている.今のうちに[3s]は処理するべきだろうか?

リーチは相手がテンパイ宣言をしているため一種の最終局面といえるが,副露手の場合,今後状況が変化する可能性を孕んでいるため,「この選択をしら将来どうなるか」という先見の明が問われる.

特に,自分が将来この手で安心して戦えるのかという観点は重要である.

例えば上記の実戦図(1)では,[4s]をチーして[7s]を落とすと,刹那的にはシャンテンが進み,良さそうな選択に見えるが,この瞬間に対面(+上家)への安牌候補となるソウズを大量に消費してしまい,将来的に安牌の乏しい1000点の手で戦わされる羽目になる.

また(2)では,[3s]を先切りすることにデメリットが伴う.
・将来的に[3s]周りを吸収できなくなる
・[東]を鳴けたところで自信満々に戦えるか怪しい
という点が理由として挙げられる.
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2-3-8. 初打に自風を切っている他家(第7節)

【第7節 りりさん視点】
親のアズさんが初打ダブ[東]を切っている.それを踏まえて,どう進行すべきだろうか?

初打に自風を切っている他家がいる場合,その人の手は早い可能性が高い.連風牌(ダブ[東],ダブ[南])の場合はなおさらである.
上記の実戦図において,上家はどういう手牌からだったら[東]を切るか想像してみよう.5ブロックの十分形で,全ての数牌が機能している手牌であるはずである.
すると,自分の手は遅れをとっているはずなので,字牌を残してスリムに受けたい.
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2-4. 点数状況が絡む状況判断

点数状況をテーマとした場面は少なかったので,便宜上第2章にまとめた.

2-4-1. ラス目でどれくらい打点を強引に見るか(第3節)

【第3節 りくまるさん視点】
ややビハインドの点数状況.上家の紅鮭侍さんが[2p]を切ってきた.[2-5p]の枚数は減っているが,ラス目につきスルーして高打点を狙う選択は良いだろうか?

ラス目ではなるべく打点を見た手組が求められる.とはいえ,依然として和了率とのバランスが重要である.

自分の和了率低下は,そのまま他家の和了率上昇に繋がるという観点を持つのが大事であり,和了率を大幅に落としてまで無理に打点を狙おうとすると,かえって逆効果になる場合がある.
そう考えると,上記の実戦図では3900のチーテンで妥協するのが無難であろう.

2-4-2. ラス目での手組・押し引きの心構え(第7節)

【第7節 りりさん視点】
ラス目で南3局.上家のアズさんのリーチを受けている.1枚切れの[發]はリーチに通っていないが,切って良いだろうか?

ラス目の心構えとして,手牌価値を大きく落とす打牌をしていないかには細心の注意を払いたい.

今持ってきた[發]は1枚切れで,リーチには通っていないが,ここで現物の[3m]を抜くと,345三色の喪失と二度受け固定により手牌価値が大幅に下がるので,ここは自分都合で[發]を切りたい.

345三色になると無スジの[4m]を切る前提になるじゃないかという話だが,このラス目ならその話は「どうでもいい」と考えて良い.

2-4-3. オーラスのリーチ判断(第6節)

【第6節 りくまるさん視点】
上3人が競っているオーラス.不満の残る形でテンパイしたが,リーチしていいだろうか?対面のしろもふさんの押し返しが懸念されるが...…

オーラスのリーチ判断において重要なのは,点数条件の把握である.
まず大前提として,自分がロンやツモの和了で捲れるかはしっかり確認しておきたい.

その上で,以下の要素に注意しよう.全てを完璧に網羅するのは難しい.
・リーチ棒を出すことによる条件緩和
・西入の存在
・流局時,テンパイかノーテンかで結果はどう変わるか
・他家はどういう条件で,どういう挙動をしてくるか

例えば実戦図では,「リーチ寄りになる要因」として以下2つの要素を挙げることができる.
・リーチ棒を出すと,対面に満ツモで捲られる...…かと思いきや西入があるのでまだ大丈夫.
・上家は対面がリーチしていなければ全力で和了に来る.オリると流局ノーテンで3着に落ちる恐れがあるので押し寄りになる.

おそらく実戦の場面はややリーチ有利ではないだろうか.

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今回の内容はここまでである.手組における,応用範囲の広い具体的な基準を扱った.次回(Part. 5)では,牌譜検討の本題とは関係ないコラムについて扱う.

ここまで読んでくださってありがとうございます!

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