小さな🌟働き方改革6 校務支援部とワークシェア　　　　

もう少しで、通知表に関わる業務が押し寄せてくる時期ではないでしょうか？
通知表の業務は、評価の算定、その前にテストの丸付けに始まって色々な成果物の評価に加え所見として、ひとりひとりの子供たちの様子を見取った上で、つぎにつなぐ励みになるようなコメントを添えることが通例です。

最近では、通知表の誤表記に対するセンシティブな世相も踏まえて、そのチェック作業は誤った通知表を渡すことはできないことを前提として、それこそ目を吊り上げ、眉間に皺を寄せて確認をしていことと思います。
どこの学校でも、評定、特に所見の確認作業は、担任である教諭と校長、教頭、時に教務の先生を加えて血眼になって取りんでいるのではないかと思います。

ここも知恵を絞り、改善ができればと思いながら、昔から馴染みそれぞれ思い入れのある通知表に絡む改善は、かなりデリケートです。

実際に、通知表を巡る業務改善を俎上に乗せた時には、子供たちや保護者にとって価値ある通知表の作成と働き方改革を天秤にかけるのかと先輩達から諭されるようなこともあり、報道されていた茅ヶ崎市立香川学校のように通知表自体をなくすというところまで、おいそれと至れないのは、各地区や学校、校長会や所管教育委員会(通知表自体は、学校長の裁量ではありますが、繋がりの中で教委の意向も無視できません。)のスタンスに寄るところが大きいと思います。

働き方改革は、突き詰めると大きく３つの領域に整理できるのではないかと思っています。(また、このことについては、書いてみたいと思います。)
　　　Ⅰ. 人員の増員
　　　Ⅱ. 大幅な業務削減＋業務改善
　　　Ⅲ. 処遇改善

今回は、「Ⅱ.大幅な業務削減＋業務改善」について、業務削減とは言えませんが、現場でできるワークシェアのアイデア💡として整理してみました。これまでの「小さな🌟働き方改革」と同じような文脈になります。良ければ合わせて読んで、その根底にある思いを共有していただけたら幸いです。

「校務支援部」(働き方改革で新設した校務分掌…担任外の教職員で組成。)のサポートには、学期末の繁忙期に行う通知表の誤字脱字チェックなどの表記確認も手伝ってもらいました。(ちょいと怒られそうな取り組みですが…)

これは、通常ならば、間違いなく「それは、先生(担任)の仕事でしょ！」と捉えられている業務です。もちろん、指導内容に係るチェックは、担任、学年等でそれこそ綿密に行ってもらいます。しかし、昨今、通知表に誤りが無いようにする確認は何度にも及んで先生方の業務を肥大化させていました。

現在は、多少緩和されましたが、一時期は通知表の所見の字数が1人あたり400字詰めの原稿用紙を超える学年があったほどです。1クラス35人としても400or500字×35人＝14,000 or 17,500字。ちょとした論文の類を毎学期書いているようなものです。しかも、それは、所見部分の話で、それ以外に評定算出、またその根拠になる評価物の採点と業務が集中します。

そんな通知表の確認業務のついて、常識的な考え方からするとあり得ない取り組みかと思いますが、

「誤字脱字の確認は、教員でなくとも社会人として勤務する大人なら可能だと思うので…」と話をさせてもらい、そうした仕事にあたって肥大化した業務に疲弊する先生方をサポートしてもらうようお願いをし引き受けてもらいました。

ご自身の仕事とて楽なわけではない中で、よく請け負ってくれたものだと思います。　　　しかし、実際には、保護者として通知表を受け取る側の立場を経験していることもあり、先生とは異なる鋭い目線で確認業務を進めてくれました。掛け値無しに驚愕するような的確な仕事ぶりでした。

内心は、やらなくて良い業務への不満があって当然です。そこは、繁忙な業務を職場でシェアをするという気持ちを職場の雰囲気にしたいという切なる思いが根底にあったことへ身を寄せてくださったのかと思います。

そうしたことを続けてきたことで、その後、定例の職員会議の中でも、先生から業務を分け合う観点での発言を耳にしたこともあり、荒唐無稽な取り組みにも潜在的な効能はあったかもしれないと感じました。

その他にも、以前は、担任が教室から降りて来て対応していた「朝の子供たちの欠席確認」やそれに伴う「家庭への連絡」も校務支援部の面々が担当していました。(これもGIGAスクール構想のシステムを利用しオンライン化して、全体の業務軽減にも努めました。)                                            

学校からいなくなってしまう「児童の捜索」や「登校渋りの子どものお迎え」に校務支援部の先生がさっと向かってくれるなど、担任以外の職員が先生方と共に学校運営に積極的に関わってくださる本当に素晴らしい職場になりました。

働き方改革には、これまでの在り方を見つめ直して、どうすれば、業務を改善できるのか常識を疑い、ゼロベースでものごとを考えることは必要だと考えています。時に荒唐無稽と思われるような発想も包みながらできることを模索していくことが重要だと思います。

※今回、書き記した取り組みは、実際に現場で数年間、取り組んだものですが、その時々の職員構成であったり、職場の雰囲気(これを醸成するのは管理職の勤めかも⁉︎)であったりによるところは大きいと思います。

それぞれの現場に見合った働き方改革を見出していく考え方のヒントとして読んでいただけたら幸いです。

文科省の働き方改革事例集