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ブラックサンタ


 小さい頃にプレゼントを運ぶ人の話を聞いた。本当なのかどうかは分からなかった。でも、確かに世の中で話されている。真実の中にあるもの。それは・・・。人によって答えは様々であるかもしれない。確かな答えは、その人その人が人生の最後まで探すしかない。
 見えるもの。そう見えるもの。この包みはプレゼント?キレイな茶色の袋に何か入っている。隣には赤の包みと緑の包み。でも茶色のが僕のじゃないかな。だって名前が書いてあるもの。名前が書いてある。武道と文学を掛け合わせたような名前。どうしてこの名前なんだろう。自分の名前の由来は爺さんがつけたくらいしか分からない。初めは、華やかな名前がいいんじゃないと語っていた。けど華やかな名前っていわれてもと、みんな頭を抱えていた。そうだ。なんとなくインスピレーションで「春陽」は?カッコよくない?
もっと普通の名前がいいかな?オイの名は夏に生まれた紅はるか。で、春夏というのは?あまり好評でなくボツ。ボツの名は芋の名品紅はるか。
 結局、名前はどうするの。散々考えた末に出た名前は「心」武道と文学両方ある感じじゃない?確かに言えるかも。心と書いてシン。いい名前だね。響きがいいよね。神々しい感じでカッコイイ。名前一つで感じが変わるからね。名前は重要だね。一つの人生名前一つ。袋に書いてある名前は、「心」確かに君の名前だ。
 プレゼントをサンタさんが届けてくれたんだよ。クリスマスイブに、サンタさんが煙突から家の中に入ってプレゼントを置いていくんだって。
 家には煙突がないじゃない。プレゼントはサンタが置いたんじゃないんじゃない?疑わしそうに両親を見つめる。お父さんは置いていないよ。お母さんも。じゃー一体誰がプレゼントを置いていったんだろう。不思議そうに考えている。
 サンタは本当に苦労するよな。販売員の春陽は考えていた。配達の仕事は僕にでもできそうだと安易に考えていたけど、時間に追われることは想像していなかった。配達をどういう経路でどう届けるか考えなくてはいけない。時間は限られている。その中で予定を立てないといけない。戦略だよ。戦略。一人でブツブツ呟いている。サンタクロースは全世界を回らなくてはいけないけど、僕は南九州だけで済んでいるからまだいい方じゃない。向かう方面方面で今日は宮崎、明日は鹿児島。明後日熊本。計画を立てて回らなきゃ。決まったルートでなくて、その時々で状況は変わるからね。配達と言っても奥が深い。感慨深く頷いている。自分で自分の思考を反芻している。
 サンタクロースは見つからないように配達するんだよな。天才だよ。天才。凄さに驚く。
 自分の範囲が南九州の移動でも驚く。隣の町でも行くのも困難だった。昔の人は徒歩。
移動の距離が今と昔とでは全く異なる。一日の情報量が数年でも驚異的だと思う。光陰矢の如しとはこのことだね。瞬時に駆け巡る。
 人間は凄いよな。どこまで発達するのだろう。トナカイに乗って全世界を回る。ありえんな!スケールが大きすぎて自分の仕事が遊びに思えるよ。サンタの場合は空想だけど、空想じゃないのかな。模倣する人が増えて世界中サンタだらけになってる。本物のサンタってどういう感じなんだろう?インターネットで検索してみようかな?へー。靴下にお金を入れるんだ。公認の協会もあるんだね。知らなかった。
 日頃の配達は予定された日にお届をする。依頼書に住所と電話番号名前しかかかれていない。自分なりに調べて配達する。経験である程度のカンのようなものがある。それでなんとか配達していたのだが、近ごろは個人情報などで人を探すのが難しくなっている。昔は地域の人が親切に教えてくれていたのだけど、昔とは少し趣が違う。色々とヒントを得ながら年数を重ねてここまできた。配達に伺うと家に居ないことなんて当たり前のようにある。問題を色々と解決しないと家に帰れない。一日の行動はまさに戦略のようだ。緻密な計算が必要な場合も多々ある。いつも、何とか無事なのがありがたい。配達の業者は色々いるけど、僕の場合は商品のお届けだから他の業者よりは恵まれているかも。自分自身で現状を見つめる。恵まれていること。それを見るんだよ。そうすれば、それが見えるから。
 今、見えているものは自分自身の映し出したもの。容器の中に混ざっている液体が濁ると濁った景色が。澄んだようにキレイだと、キレイな世界が見える。見えるものは自分自身が作り出している。だから、自分が想うことを美しくするんだよ。清らか?とにかく無垢の様な感じ。赤ちゃんように不思議で面白いものを見るような偏見のない目とかかな。
 見たものを意味付けするのは本人次第だよ。
 プレゼントの中身は何だった?「心」に訊いてみた。「容器とえんぴつと、消しゴム。ボールペン」容器って筆箱のこと?確かめると筆箱?言葉の感じから考えて、筆箱と表情を見ながら答えた。
 プレゼントを心が喜んでいる。もらったのはいいけど、良く分からない。喜んでいるというよりは、戸惑っている感じだな。生まれてからまだ数年だけど、ここまで大きくなるのは早いよな。色々な感情がこみ上げている様子。名前を考えたんだけど名前は一生使うから真剣に最高の名前を考えた。
 産まれて最初のプレゼントは名前。そして、一生を通して後世にも残るものも名前。やはり重要だよな。初めてのプレゼントってそんな安易な感じじゃないかも。人生の指針?固くいうとそれくらい重要かも。なんだか発想がどこに向いているのか分からない。ユニークな部分も見られる。茶色の袋って、今時使うかな?墨で名前っていつの時代だろう。そういう自分が書道を学習し始めたりしているから、時代の流れはあまり重視してないのだろうか。色々とダークな思考が浮かんでくる。
 時々ネガティブな思考が巡ってくる。なぜだろう。人生は長年生きていると人の良い面に見えるものと悪い面に見えるものがある。なぜかそう感じる。人を知らず知らずにラベリングしているのかな?ラベリングは大変。一度そうだと思うといつもそのように見えてしまう。名前のようにイメージも大切。
 サンタクロース。散々苦労す。いつも冗談でそう書いていた。両親にプレゼントは何が欲しいと聞かれ依頼書を書いとくと子どもとは思えない発言をしていた。
 散々苦労すさんへ
      プリンターを下さい。  春陽
プレゼントの配達依頼はいつしたのだろう。プレゼントが3つ置いてあった。緑の包みと赤の包みは僕たちからだけど、茶色の包みは誰が置いたんだろう?考えを巡らせていた。
 クリスマスイブにプレゼントを渡すのはどこの国でもあるのだろうか。世の中のことは分かったつもりでいるが、本当は自分の見ている世界で、どちらかというと自分の見方だけで世界を見ている。子供が生まれてから違う視点を意識するようになった。
 「心」は、サンタクロースのことを考えていた。よく考えよう。家には煙突が無いのだから寝ている時にプレゼントを部屋に置いたはずだ。寝ている時にプレゼントを置ける人。両親。サンタ?泥棒?神様。神様いるの?サンタも家に来るかな?両親が一番怪しくない?
色々と考えてみる。クリスマスにプレゼントって何だろう?プレゼントを渡す日だから置いてある。何だか不思議。サンタって?何者。
 お店には色々なものがある。ギフトを選ぶときは相手の喜ぶ姿をイメージする。どうしたら、喜んでもらえるだろう?配達の戦略のようにギフトの与え方も戦略だよ。
人生自体がすでにギフトだからね。
 実際に一年間の中でイベントはいくつもある。日本という国はそういう国だ。毎回ギフトを選ぶけど、Xmasは、また少し違う感じ。子供たちにとって特別な夜。もちろん。大人にだって。経験で何度もあるから貴重さが薄れているけど「心」にとってはほとんど初めてのXmas。どんな風に心の目には映るのだろう。僕は、結局子どもの頃にもらったプレゼントは誰が置いたのか分からない。靴下の中にお金が入っていた。プレゼント。
 何のこと?秘密。特別に教えてあげようか?
 何度も僕の話を聞いていると分かると思うよ。何度も聞くのだよ。質問してねってことじゃないよ。考えるのだ。答えはどこかに書いてある。何度も見ると見えてくる。先入観をとっぱらって見ると見える。
 見えたものが答えだよ。
 自分なりの答えを出すのだよ。
 初めにもらったギフト。考えてみると名前だと思う。心って名前はどうだろう?本人は喜んでくれるかな?僕は、小さい頃名前に不思議なイメージを抱いていた。自分は○○だ。その○○ってなんで?と、名前が決まっていることに疑問を感じだ。僕は僕。名前は名前。でも、名前と自分が同一視されることに気づいてから僕は○○と名乗りだした。でも、心はどう思っているのだろう?プレゼントは届いている。名前が書いてあるから心のプレゼントだと思う。プレゼントは一体。今をプレゼントともいう。
 Xmasに配達をしてくれないか?
 そう依頼された。クリスマスイブですよね。いいですよ。快く引き受けた。予定は大丈夫?逆に依頼者が心配してきた。予定がないから大丈夫です。クリスマスイブに配達ってリアルサンタだな。そんな感じで春陽は注文を受けていた。サンタの服装で19時にお届けですね。分かりました。ありがとうございます。いつもの口調で頭を下げる。感謝。
 音楽が聞こえる。クリスマスの音楽だ。主は来ませり。主は来ませり。耳に残る歌。リズムで残っているのかな。クリスマスはプレゼントをもらえるよ。誰から聞いたのか覚えてないけれど、そんな話がもちきりだった。テレビかな?ラジオ?Xmasソングが流れる季節。毎年恒例。僕は毎年恒例だけど、心は経験がない。文字を見れば文字を音楽を聴けば音楽をどのようなイメージを持つのだろう。
 聞こえてくる音は?Xmasソングは変わらない。けど、その時の状態でハッピーに聞こえればハッピー。アンハッピーに聞こえればアンハッピーをイメージしてる。状況によって変わってくる。自分が心地よい時なら心地よいし心地悪ければ心地よい。音楽はどちらかというと感情を揺り動かす。どちらかというと、癒しの方向へ。
 地図を見て配達先の場所を大体把握する。イメージでは大体が郊外。そんなイメージ。配達の移動の距離が長い時は、ラジオが耳に入ってくる。その時々で放送は違うけどホッとする音が流れてる。色々と考える。あてもなく思考が流れていく。時間に間に合うか。時間がどうしたら短縮できるだろうか。配達の場所が見つからなかったらその分遅れる。困ったときはお客様に電話だけど聞けるだけ恵まれている。聞くことができるのとそうでないのは、差が大きい。
 プレゼントは何が欲しい?と訊けたら好みが分かる場合もある。ヒントがあるとありがたい。答えの確信が変わってくる。相手のことは相手じゃないと分からない。でも、ヒントは大きい。見えてくるもの聞こえるものそういったものを頼りに好みを探る。ハズレている場合もある。でも、ハズレかどうか一発目は分からない。一発で終了かもしれないから一発でハズレと当たりが同時だ。どうせなら喜んでもらえるものを贈りたい。
 でも、それは好みの問題だからできることを形にするという作業自体が自分にとってプラスの行動なんじゃないだろうか。生きているうえで少しでも喜びを感じた方がいいと僕は思う。色々あるけれど、嬉しいことや楽しいことは生きていくのに力になる。
 少しでも力になれたら・・・。どんな思いでプレゼントを作ったり、贈ったりしているのだろう。自分以外の人の気持ちは理解することが簡単なようで簡単でない。似たような部分を共感するから、人は人が喜ぶのが嬉しいのだと思う。ありがとうという気持ちは伝わることがある。
 イメージが聞ける。どんな気持ち?見て思うのと訊いてみるのでは少し違う。人間は不思議な生き物。1人一人違うから面白い。プレゼントで喜ぶ人もいれば、不快感を持つ人もいる。本当に不思議だ。
 過去の記憶でその時の感情が決まるから、心の場合どんな結果を招くのだろう。
 心はプレゼントの中身が気になっていた。プレゼントはどんなものだろう。サンタがプレゼントを置いていく。イメージではおもちゃ?お菓子?箱に入っているイメージ。だから、おもちゃ?お菓子。???がいっぱい。
 一年に一度。クリスマスのツリー。楽しみが増えるよね。誕生日のお祝い?Xmasって一体何だろう。イベント的なイメージだけど本当のことはあまり知らない。世の中の大部分のことは知らないことが多い。
 12月はなんだか、盛沢山だよな。そんなイメージ。大晦日の辺りもよく分からない。なんとなく流れで流されている感はある。
 インターネットで調べるくらいしか思いつかないけどXmasで検索してみよう。ほほう。プレゼントを贈る愛の気持ち。プレゼントは表現方法の一つなんだ。
 サンタクロースは、子どもたちに荷物を届ける人かと思っていたら、なんだか、趣が変わってきた気がする。価値の上がる情報だね。
 配達の時にたばこを一服してた。信号待ちの時なんかに火をつけて、ぷか~と煙をはく。たばこは身体に悪い。分かっているけど、ニコチンの影響で吸っていた。食事をすれば一服。コーヒーを飲めば一服。どこに行っても灰皿を意識してる。健康によくないのに。子供のキレイな肺に煙を吸わせる人は・・・。サンタ失格なんじゃ?
 サンタは依頼されただけだから、あの日は特別だよ。普通のサンタはどうか分からないけど、プロのサンタって・・・。ブラックサンタじゃない?
 よく分からないけどサンタにブラックもなにもない。プレゼントを届けるだけなんだよ。
 プリンターを頼んだ散々苦労すさんは?散々苦労すさん。ぼんたさんはぼんたさん。それぞれ役割があるんだよ。
 配達は配達を徹底するのみ。車を安全に走らせて時間に間に合うように品物を届けることを意識する。大切なのは時間に遅れない。
 24日配達で31日に届けたんじゃダメなんだな。春陽は配達のことを何も分かってなかった。自分にできるかも。その想いだけで配達をしていた。それは、それでいいのかもしれないが、使命みたいなものがないと続かない。
 サンタクロースはサンタクロースの使命を自覚していると思うんだ。一つ分からないのはサンタは、こっそりなのか、派手に登場なのかが、よく分からない。こっそりプレゼントを置いていくイメージだけど間違いなのかな。やはり、基準が分からない。人それぞれの基準なのかな?
 サンタも迷いながらプレゼントを届けるというイメージよりは、元気よくパパーっと配るイメージ。いつのまにか配られている感じ。
電子メールみたいな感じかな?
 リアルサンタは良い子にしてたら来るよって、おじちゃん。リアルのサンタが分からない。プレゼントは?あの時のプレゼントは一体だれが・・・。
聖なる夜だから、厳かに行わないと。色々な文化に溢れているね一昔前まで宗教色あると嫌煙されていたけど、時代も変わってきてる。変わっているようで変わってないかな?
 サンタが荷物を届ける時に多くの荷物を裁かなくてはならない。独自のルートってどんなのだろ?地道に家を探して回るのかな?意外とその方法だったりして。歴史があるし規模が大きいから特別なことをしてそうだけど、実際のところは、注文受けて審査して合格したら、お届け。なのかな?良い子にしていないと来ないってことは、常に行動を見られているってこと?やっぱ超人。偉人のレベルは人知の能力を超えるほどスゴイのかな?
 世間知らずだから、僕は知らないことが多い。保育・幼稚園生の方が色々詳しいかもしれない。
 春陽は荷物を時間内に届けるように毎日の仕事を真摯にこなしている。一件一件を確実に回ることで、基礎的な配達の技術が自然と身に着く。若さがあると動きが力強いから逞しい感じだと思う。
 普通のプレゼントには送り主がいる。クリスマスの場合は?パートナーからだったり家族からだったりプレゼントを渡したい人が送るんだと思う。相手が喜ぶものをイメージして色々と想像して品物を贈るんだけど、目的と意図が誤解されたりすることもあれば、お返しが面倒だからとプレゼント事態を嫌煙するようになったりもする。事情が人それぞれで、必ずしも素直に喜んで受け取ってもらえるとは限らない。複雑な心境のなかで受け取るという場合もある。それは、過去の経験からイメージするもので最初のプレゼントは未来の基準になる。未来に種を蒔くならどういったものを刈り取ろうかと予測して種を蒔くこともできる。人生とは設計の詳細の多さや起用した代用案などを瞬時に描けると、柔軟な人生が送れる。思考の柔らかさは大事なようだ。僕は固くなって、心の様な新しいものからみれば選択の幅が狭すぎて驚かれるかもしれない。
 プレゼントという概念が今と昔ではすでに違うのだろうか。急に不安になる。でも、自分の方法を貫くというのも一つの美学だから、それはそれでいいんだと思う。
 贈り手、受け取り手それぞれの立場の違いはあるけれど、お互いになにかの縁で繋がっている。人との出逢いとは驚きの連続で、運命論とかというわけじゃないけど。運命論がよく分からないけど。運命はあると思えばあるし。無いと思えばないのかもしれない。一つ言えるのはもしかしたら、その可能性もあるかもしれないと、可能性を残すことによって起こる結果の解釈の幅が広がるので無理に可能性を閉ざす必要は無いと思う。もちろん。人それぞれだから、解釈も多々あると思うけど、心がプレゼントをもらったのは運命なのかもしれない。とすると、楽しみも増えるのかもしれない。反対に、考えることが多くなるから、深い意味はないんじゃないと思考をクリアにしておくこともできる。その人たちの方針だと思う。
 環境に影響されるから、出来事を考える人は考える集団になって。学習しない集団は本当に学習しない。生き方だから、自分が納得すればいいのだけど、その選択の幅があることを気づいてない場合がある。
 自分も、自分の人生は主方向に進もうとすれば進むことができる可能性があることに目を向けていなかった。決まった毎日の連続。
 プレゼントは送るか受け取るかしか選択の幅がないのと同じようなものである。結果を変えたければ結果を変えるプロセスを辿らないといけない。結果と原因を見つめて、自分が何の原因を作っているか想像するといい。創造と違う結果が起こったりするから、人生は面白いのだと思う。予想もしないことが起きる可能性を秘めている。
 プレゼントは一つの形なんだと思う。心にとってのプレゼントとは?と考える要素のようにきっかけ何だと思う。そのきっかけをどう取り扱うは本人次第なのだろう。
 心はプレゼントがどうやって部屋に辿りついたのか、不思議だった。一度停止させた。思考を再び動かそうとしてる。少しずつ思い出す。茶色の包み。あれは・・・。
 誰のプレゼント?
 中身は、えんぴつとかだった。なんで、えんぴつ?しかも削るものがついてない。
 使い方に戸惑うのだけど、それは手落ちなのか計算なのか。なんなのか、よく分からない。ダメじゃん。くらいにしか思わないかもしれない。
 このプレゼントはダメじゃん。そんなイメージが潜在意識に刻まれるとは思ってもみないというか想像してないと思う。
 プラスの暗示だろうか、マイナスの暗示だろうか。本人しだいかな?
 一種のプログラムで反応の仕方がパターン化される。反応を見て一定の反応を出そうとするのは実験のようなものだ。親とは子どもに与える影響を真摯に考えなくてはならないのは当然のことだけど、いつも考えているわけにはいかないとも思う。一定の姿勢を続けるのは簡単じゃない。だから自然のままの方法で接すればいいのだと思う。
 プレゼントを渡せるのは恵まれているし、ありがたいことだ。思考の刷り込みかな?ありがたいできごとに思えたら幸せだとかのニュアンスがいいのだろうか。
 Xmasの文化はこの先も続くだろう。たぶんだから時代の進み方では分からない。でも、誕生は祝うのでは?というのが僕の予想である。お祝いは続く。
 配達は色々な品を届ける。お祝いから、お葬式のお返しまで。人生の節目に立ち会う。
 配達とは観察者の部分もあるんだな。大切な記憶が積み重なっていく。
 人それぞれ感じることは違う。感じるもの。似たような感覚があるから、共感できる。自分と似たような部分があると、自分の同胞のような気がする。
 見えたり聞こえたり感じたり。感じるというよりも実際に触れるもの?
 考えてみると触れ合いは殆どない。人と人が触れ合うのは自分には想像が限られている。
 人に逢う機会が減っているから、人に逢うだけでもスゴイことだと思う。姿形が見える。声が聞こえる。でも実際にそこにあるのかは分からない。プレゼントが名前が書いてあるといっても、触れないと、何かは分からない。少なくとも袋を開けないと中身は分からない。キレイな包装紙は開けたくない。そのままにして大切に保管したい。けど、贈り物を見ないというのも、失礼なんじゃないだろうか。色々考えて、品物を選んで贈っているのだから、どういったものだと確認はした方が。
 贈る気持ちを考えたら本当にありがたい。喜んでくれるかな?とか、色々と想像を巡らせて品物を選ぶ。品物も誰かが作っている。そういったプラスのエネルギーが巡ってくる。
 入学のお祝いは何がいいだろう?えんぴつ?今時えんぴつは喜ばれるかな?僕の場合は人生で数本しか鉛筆使っていないような気がする。試験の時ぐらい。シャーペンを主に使ってたから。鉛筆はここぞ!って時だけ転がせる六角の緑のえんぴつを使ってた。そのタイプをXmasプレゼントに渡すというのは、少し変わっているだろうか。保育園だから、字はまだ書けないんだけど、そのうち使うから的な感じなんだけど、少し早いかな。
 保育園が結婚していない僕には理解できなくて込みにケーションの場?という認識しかない。トイレの練習かな?とにかくよく分からない。でも、イチイチ説明してくれる、奇特な人もいないから、ある程度で思考を止めてある。幼児が行く場所。程度の認識になっている。
 日常で使うものでも、包装してタイミングを見れば、一生の宝物になったりする。人にとっては、あまり価値がないものでも、本人にとって価値があれば、その人にとって価値のあるもの。金額とかだけでは測れない価値があるものもある。
 ギフトには色々な人の想いが込められてる。一つ一つにそれぞれの想いがある。歳を重ねると恒例だとか毎回繰り返されるのであるのが当然だと思ってしまう。あるのは、当然ではないんだね。
 君は、一体何を探してる?
 プレゼントはどこいった?茶色の袋の名前は墨で書かれていた。何で名前を書いてあるのだろう?他のと区別するためかな?色々と疑問が残るけど、記憶の中のプレゼントは文字が印象的だった。袋に書いてある名前の映像というか、イメージがかなり印象深く残る。不思議だな。
 文字一つでも、練習すると違ってくる。包装でもそうだけど、時間をかけて数をこなしていくと技術が上がる。練習しただけその練習の成果はでる。結果を求めてすぎて、結果がでないことで色々と続けるのが困難になってしまうこともあるが、初めから続けることだけ意識していると、目指すものが変わってくる。目指すものはどうやって達成するか道筋をぼんやりと考えているといいのかもしれない。
 心はプレゼントのことが頭から離れなかった。えんぴつはいいんだけど、えんぴつの先を尖らすのはどうしたら?お父さんが考えてくれるかな?
 えんぴつを贈られたのはいいのだが、肝心のえんぴつ削りがセットでなかった。どういうこっちゃ?カッターナイフで削れってこと?鉛筆削りをつけとくよな普通。ぼんたさん。いや、サンタさんも抜けてるよな。プレゼントをもらってて愚痴るのも良くないかな。
 でも、実際どうやって、先をとがらすかな。
 文房具屋にでも走るしかないかな。
 春陽は、走っていた。苦情がきたみたい。プレゼントに、不備があるって。
 どういうことだろう?破損かな?手荒に商品扱ってないけどな。
 商品の破損は時々当たる。丁寧に商品を運んでいてもいつのまにか破損している場合がある。これは、心理的に辛い。また、怒られるのかな。チクチク言われるものな。疲れる。
 けど、まだ大丈夫なレベルだからよかったかも。もっとひどい結果になっていたら、配達の仕事は気が抜けない部分があるから。
 サンタはどうやって荷物を運ぶのだろう?基本的なことが気になりだした。どこの品物を届けるのだろう。プレゼントが分かるのかな。
 春陽は、少しづつ町の地形を覚えていった。目印を覚えていく。それによって広範囲の道のりが分かってくる。
 町の道順は重要だ。どこを通っているか分からないと、迷子になってしまう。
 迷子にはならないで帰ってこれたみたいだね。良かった。
 春陽は色々な種類の配達を受けていた。めでたいのから、悲しいのまで様々だった。あるときは、福の神の様な感じで、ある時は場の雰囲気を変える働く人。同じ仕事をしているだけなのだけど、イメージは全く違う。
 喜び系の配達と、悲しみ系の配達。どちら重要さは同じで、違うとすれば、どちらかというと、付き合いの長くなりそうな感じかそうじゃないか。なんとなく決まってくる。付き合いが長い人は縁があるのか、長い。ありがたい。
 心に贈るプレゼントに、動画を先に送るというのは?
 動画を作ってみよう。笑える動画。ネタをどんなのにしようかな?「100万回のギャグ」タイトルで滑ってるけど。まあいいや。一発作っちゃろ。出だしはマグカップの絵。そしてギャグ100万回と歌う。歌うって?
 「よかもんをくるっじな」飴を見せる。「こん飴やっど」「こんあーめんなよかど」飴を投げる。雨?メリークリスマスと叫びながら飴降りを受ける。「一つカンみらんかよ」そこで終わる。意味不明な動画だ。
 この動画で笑えないかな?テンション上がっていいかも。動画的には微妙。でも、春陽の機嫌は最高だった。
 これを心が見れば爆笑だよ。変な企みが冗談きつい。人生満腹だよ。
 動画の案は決まった。どうやって作ろう。
 なんとなく作るだけ作ってみればいいかも。そんな安易な感じで取り掛かる。一発勝負だから、やることを評価するんだよ。失敗のことを考えてたら何もできない。人生はやったことが自分に返ってくるんだよ。コツコツ積み上げていれば。あーめだろうがなんだろうが、大漁だよ。
 動画を作成してみようという思い付きは良かった。時間的にはそれほどかからなかったけど、内容的にはどうだろう。
 時間は短い方がいいと思っているけど、細かく設定して、じっくり見れた方がいい場合もある。
 心は動画が分かるだろうか。動画を見ることはできても、内容はつかめないかもな。まだ幼いもの。自分の言葉が表現できないレベルだから、状況は把握できていない可能性がある。言葉自体がまだだから。
 名前を呼ばれて、自分だと思うかどうか。呼ばれている感覚はあって、名前の由来などはまだ分からないレベルだろうな。
 自分が幼い頃を経験しているけれど、自分の感覚とはまた違った体験なのだから、感じていることは似ていても違うものを見ているのだと思う。作り自体も違うし。人というのはそれぞれが誰かからのギフトだから本当に素晴らしい存在だね。
 毎日少しづつ何かを積み重ねて人生を創っていく。人生は今の流れの積み重ね。そう思うと今を懸命に生きる。生きているのは途切れていないということ。命は途切れたらそこで終了。普通はそうだと思うけど。生きてみないと分からないことがあるように、世の中は分からないことばかり。
 それぞれの視点を考えると自分の感じ方が変わっていく。自分だけの視点と、複数の視点では、考える範囲が変わってくる。
 それぞれの視点を意識だね。
 配達の仕事は時間に追われるのがキツイけどそれ以外では楽しみが沢山ある。喜びながらできる仕事は自分に向いているのかな?春陽はついてる。
 配達のことを何もしらなくても当たり前のようにできているところがスゴイ。
 Xmasまであと僅か。お客様も日々日常に追われていてプレゼントのことなんて頭にないかもしれない。
 今の時間帯だったら寝てるかも。
 夜中に目が覚めて考えていた。
 生まれてから今まで色んな人たちに逢って色んな出来事があった。今の心の年齢の記憶はない。けど、心はもう保育園。時間の速度が違う。自分に経験してないことだから、心に分かっても、僕には分からない。どういう体験なのか未知だから、プレゼントの効果も未知なんだね。
 そのことには気づいてなかった。プレゼントは同じでもそれに対する思いは別物なんだ。
 いっぽうには、それほど貴重に見えなくてももう一方にはとても貴重に想えているのかもしれない。
 思いはそれぞれ・・・。何だか自分は誰かの記憶に残ることをしたのだろうか。思い出してもらえるほど、影響を与えてないかも。簡単なことが意外と分からない。初めてのXmasプレゼントは逆に強く印象に残るかもしれない。だったら、ステキなものを与えなければ・・・。そんな気持ちが沸き起こる。
 プレゼント。プレゼントをそんなに深く考えなかったな。考えてみれば品物のプレゼントは数えるくらいしかもらってないかも。
 沢山もらっているようで、もらってないかもね。
 牛小屋に牛が生まれてる。急にそんな話になった。12月15日に出産予定だったのが遅れていた。そして、電話で、お歳暮の宛先確認をしたあとに、気づいたらしい。
 母親牛にみそ汁を飲ませると勢いよく飲んでたらしい。出産で疲れていたのだろう。みそ汁が美味しそうだ。
 子牛の名前も考えんと、子牛も春陽にしたら?いいアイデアかも。しばらく考えてみた。心は今度初めて子牛を見るな。色々盛沢山な年末になってきた。
 写真を撮ったからと携帯に送られてきた。本当にめでたいね。
 子牛もXmasプレゼントみたいなものだよ。
 トナカイの代わりに牛に運んでもらう。
 子牛は立つのもやっとだよ。ミルクを飲ませないと。母牛の乳を飲ませる。さっき立ち上がったから、疲れている。
 ペースを見て乳を飲ませよう。
 生命とは何だろう。命があるのが当たり前に感じてるけど、いのちって考えてもよく分からない。受け継がれるもの?
 ここで何頭も生まれて牛飼いに連れていかれた。その末裔なんだよね。
 昔は牛が沢山いてそれで重労働を牛が担っていた。
 古い結びつきがあるんだよな。自分の生まれる前のことはよく分からないけど、この牛もここでともに生きているんだよな。なんだか不思議な気分だ。
 春陽は自分と同じ名前になるかもしれない牛の鼓動を想像してた。
 心に早く逢わせたい。心はどう感じるのだろう?
 年末まであと十日くらいある。不安から先だと、少しでも状態の良い時期の記憶が欲しい。けど、実際のところは分からない。塞翁が馬のように、いい因果になれば、悪い因果になる可能性もある。起こってしまったことは仕方ないんだけど、今から先はまだ選べることもできそうだ。こっちは選べても向こうは選べんのか?
 色々と状況を考えてみる。考えてもわからないことの方が多いけどな。大丈夫なら大丈夫でいいんだけど。心配してしまうのは、負のエネルギーが充満してて、自分も負のエネルギーが強くなっていて、ポジの波動を出すのは少し勇気がいる。場面もある。
 お客様は、一定の距離で向き合ってくれるけど、色々学ぶよな。
 個々で悩みがあって、このコロナの状況下どのような判断をすればいいのだろう?とよく耳にする。
 今年は本当にコロナの一年だったな。
 これから先も続くのか分からないけど、情報はいつもネガティブなのが流れてる。
 言葉には力があってコロナと言葉を聞くと自然に嫌な気持ちになる習慣ができてきている。情報の怖さでもある。
 以前まではコロナという言葉自体が無かったのに、今では当たり前のように騒がれてる。新しくウイルスができたのだから仕方ないのだが、そればかりに注目しても仕方ない。今までも十分色々あるから流行りは疲れる年齢になってきた。ヤバいのか?流行りにのって、Xmasプレゼント買ってるでしょ?これもはやりなんだ。春夏は色々と考えが巡る。
 一日にできることの中でベストを積み上げていく。基本だから、やりたいことをやろうとすることが大事なんだね。そのために今必要なことをできるだけする。
 この一歩一歩の積み重ねだよ。少しの差が大きくなって、気がつけば驚くほど差がでてるって本当だもの。差をつけられっぱなしだ。
 年末に、少しづつ楽しみが増えているけど、年が明けてからのこともイメージしとかないとね。
 今年だけでなく、Xmasは毎年やってくるから。ただ、未来の保証がないだけ。そうか!目の前のことを全力を尽くし問題は問題で考えて対処する。問題をどのように回避するか、または解決するか。一見解決に見えて問題が深くなったりもするから、自分の望む未来から、未来からタイムスリップしたような気持ちで未来は分からないけど自分自身のできることを一個ずつ上に持ち上げるんだ。そう考えていると一個上に必要なことを考えるから、上に上にと昇っていく。道のりは長くても、やっただけが自分の成果。
 配達も、どれだけ時間を有効に使えるかで配達の他の雑用とかサービスができる。必要なことのために努力すれば努力した分だけ、自分に返ってくる。
 少しずつ心の舵を切るんだ。
 心は、自分という生命のことを考えていた。ぼんやりであるが、僕とは?というようなことを一人で考えていた。おじさんが、考える習慣を持つといいよ。
 習慣で人生決まるからね。って言ってた。そのおじさんは、自己啓発本を読むのが好きで何度も繰り返し読んでる。
 配達は時間が短く感じるからなかなか本を読めないよな。仕事中は無理でも、仕事が済んでからの時間があっという間だもの。本は一冊でも目を通すのが簡単ではない。繰り返し読むのは熱意が必要だ。
 えんぴつで線を引きながら読んでいる。すべての本に線をひくわけではないが、一冊の本を中心に線を引いている。線を引くようにと書いてあったから書いている。素直さが大事。
 夕食後時間を見て本を読む。けど、数ページでだうん。やらないことではなく、できたことを意識だね。
 いい傾向だ。
 Xmasがだんだん近づいてくる。心にプレゼントを渡さないといけないのだけど、戦略があって、一つは心に、茶色の包みだったけど、もう一つ考えていることがある。
 僕の配達のブラックさを活かす時だね。
 密かに計画を練っている。と言っても制作過程を見られているからヒミツもなにもあったものじゃないけど。
 茶色の袋は様子見だけど、コツコツと準備を進めてる。
 昨年に続き、黄色の服。黄色の服って?
 昨年は黄色のロンパーを渡したらすぐに来たので印象深かった。キャラクターも良かったし、ことしは、黄色繋がりではあるけど、キャラクターがない。キャラクターがないとね。って顔されるかな?それとも、また、黄色の服ってあきれられるかな?
 半分楽しみなんだけど、向こうにすれば迷惑かな?
 シン君は昨年のことを覚えてないだろうから、黄色の服も???ハテナマークたっぷりだろうね。
 色々と数日があっという間に過ぎるから、計画を立てないと。黄色の服。そして親父さんにというか。ぼんたさんへ例のもの。びんに入ったありがとうボトル。
 この品をどうやって届けるかだよね。色々考えてみたけど、あまりどうしていいのか思いつかない。
 自然な感じがいいのかな?
 荷物を何度も確認して、黄色の服。ありがとうボトル。
 忘れないようにチェックしてる。
 一日でそうとう貴重な体験だよ。だって、初めてのXmasプレゼントだもの。
 ボトルを落として割らないかが心配だけど袋に二つとも入れとけばいいかも。
 ありがとうボトルや黄色の服は手配が済んでいた。
 ありがとうボトルは、インターネット注文ができる。加工の人たちが加工するのだけど、詳しいことは分からない。
 でも、プロの仕上げを毎回務めてる。デザインは決まっているのだけど、丁寧に一つ一つを仕上げていく。文字の間違いがあったりするとアウトだから、間違わないように慎重なようだ。
 春陽はボトルの図柄は知っているが、加工されたものは見れてないので、どういったボトルなのかは開けてからでないと分からない。
 Xmasイブにお届けって件数多いかと思ったら以外に少なかった。良かったのかわるかったのか微妙な感じ。
 地味に登場なのか、派手に登場なのか決まらぬまま、車に乗り込む。黒のスポーツカーで配達。スポーツカーって言ってもキルビアなんだけどね。1300ccくらいじゃなかったかな。
 赤のサンタクロースに着替えて出発だ。
 緊張はしないけど、どうすれば?という問いだけが頭に浮かぶ。
 緊張で、ニコチンが切れてきた。
 信号待ちでまた、ぷか~と煙を吐く。隣にある車のカップルがサンタクロースに気づいて何か言ってる。サンタがタバコ吸ってるよ。的な感じの遠い景色を見るような目つきで見ている。
 信号が早く青になればいいのにと思った。意外と赤のサンタは目立つ。黒のキルビアだから余計映える。
 車で30分くらいの距離にお届けなんだけど、どうやって配るか?
 茶色の包みの時は、あらかじめ両親に渡してたものが置いてあったはず。
 ん?名前が書いてあったって言ってなかったかな?僕が渡したのと違うかも・・・。あれれ?気のせいかな?
 プレゼントが多くてどれを渡したのか不安になってきた。
 商品の間違いは困るよな。
 大丈夫。だいじょうぶ。
 タバコを一服してから、車を走らせた。街灯が流れていく。少しオレンジのような街灯が道の脇を照らしている。
 家の近くまでついたぞ。
 ここからだね。プレゼントをどうやってわたそうか?
 荷物を持って歩いていくドアの前に立った。秘密で渡す方法が思いつかない。子供の夢を壊してしまうのだろうか?色々と考えが交錯する。僕はプレゼントを渡すだけ。
 なんだか気持ちがなかなかだけど、渡さないと。奮い立って、ピンポンを押す。ピンポーン。ドアを開けて。
 メリークリスマス! サンタがプレゼントを持って来たよ。 良い子にしてたかな?
 声を上げて辺りを見回す。心が不思議そうに見ている。
 ほら、プレゼントだよ。
 メリークリスマス☆
 セリフも何も思いつかなくなり。ほらほらと、プレゼントを渡し逃げるように帰っていった。
 帰りの車の中で、もっとセリフを考えれば良かったとか、気の利いたことが言えんかった。とか反省の面がドドドーーーーっと湧いてきた。
 けど、渡してしまったものはしょうがない。途中、コンビニでコークを買う。
 コークで祝杯だ。一人で祝杯をしてまた考える。
 プレゼントは喜んでもらえただろうか?
 どんな風に自分の姿は映ったのだろうか。
 一瞬でキョトンとしてた。様子を思い出す。
 何とも言えない感じだ。
 やらかしたかな?というような脂汗の出るような感覚だけ残っている。
 覚えてくれていたら、サンタって宅急便みたいな感じでくるんだ。
 そんな印象なのかな?
 結局、サンタのイメージは宅急便の人のような感じで済んでしまった。
 あの後、食事を囲んでケーキを食べたりしたはずだ。
 ボトルは?ボトルはどうしたんだろう?
 疑問だけが残ってる。
 ボトルの焼酎は黒なのだろうか?
 白なのだろうか?
 そこさえも分からないまま。家族がニコニコと食事を囲んでいる様子をイメージしながら、サンタ的には黒だけど、焼酎的には白なんじゃない?
 と喜びが増していった。
 夕食を囲む家族が幸せならそれに、少しでも貢献できて、ブラックお疲れだね。
 とイブの夜を家路に向かった。
 次の日に訊いてみた。ボトルには何と書いてあったのか等を・・・。
 心はどんな反応だったとか。
 ボトルは、ありがとうって書いてあったよ。
 心は、ケーキに夢中だったよ。
 春陽の選んだ黄色の服はあまり関心を持ってもらえなかったみたいだ。
 お母さんが、ほらいいデザインね。ってほめてたかな?
 のような回答で、服は好みがあるからな!
 的な感じで反省してた。
 Xmasも当日。他の配達を鹿児島方面に向かっていた。
 山の中だよな。これだけ山だと、人がいないよな。
 依頼書を見ると、曽於郡と書いてあった。
 曽於市じゃなくて?
 曽於郡もあるんだ。
 畑道を永遠とも呼べる長い時間。といっても一時間くらいなのだが、山の中や谷間を抜けて畑のソバにある森の中に入っていった。
 この辺に人家あるのかな?
 と思っていると白い車が停まっていた。ここかな?
 カンが働いてチャイムをならしてみる。しばらくの時間反応がないもう一回チャイムを押す。ハーイ。ちょっと待って下さい。と声が聞こえる。
 家の中から車椅子に乗った人がでてきた。
 配達ですか?訊かれて春陽が商品のお届に参りました。と伝える。お疲れ様です。と言われる。
 ありがとうボトルですか?
 ありがとうございます。
 洒落を言ってるつもりなのかと思うが真面目に言っているのだろうと思う。
 車椅子の人は、商品を受け取って一言。
 両親へのプレゼントなんです。と話す。
 なんだか嬉しそうな感じだ。
 商品の受け取りのサインをもらった。
 遠くまでありがとう。
 良いXmasが過ごせます。
 と呟いていた。
 どうも、ありがとうございました。
 引き返していく。
 なんで車椅子なんだろう。
 あっお昼の時間がもうすぐだ。早くお店に帰らないと。
 急いでお店に帰っていった。
 心は黄色の服着てるかな?時々黄色の服が気になる。昨年のロンパーはどうしているんだろう?
 やはり黄色の服が気になる。
 黄色の鳥は幸運の鳥なんだよ。
 心に、話しかける。
 黄色を選んだのは、黄色人種だから・・・。というのは冗談で、黄色い色は気持ちが明るくなるからだよ。
 明るくてちょっと、ユニークな感じ。シンちゃんがユニークってことじゃなくて服がね。ユニークぽい感じ。
 黄色の服はあまり着てもらえないかもしれない。
 でも、Xmasに贈ったのは記憶に残っている。与えたものは自分に返ってくるとか、蒔いた種は自分で刈り取るとかは、自分の行ったことは自分自身へのギフトとして心に刻まれる。善い行いは善い結果を、悪い行いは悪い結果をあと、言葉は大事だとよく聞く。
 言葉一つで印象が変わる。
 ありがとう。の言葉は良い印象を与えるんだけど、嬉しいです。ありがとう。
 おかげ様です。ありがとう。と一言付け加えると感じがいい。
 せっかくいい行いをしていても、見た目で判断される。
 春陽は基本頑張っているんだけど、タバコを一服していると、なんだかイメージが良くない。そんなイメージがタバコにはある。
 健康に良くないだとか、煙が匂うだとか。
 人によっては、自己チューとまで言うから、タバコを吸う人の印象は良くない。別に不満があるとかという訳でなくそういう事実があるということだ。
 サンタもホワイトのイメージなのに、タバコでブラックに見えるんだよ。
 販売員だけでも、少しブラックに見られるのに、タバコを吸っているとなお更だね。
 心が、春陽さんみたいになりたいってあこがれる様な自慢のサンタさんを目指して人生を切り開いていけば立派なサンタになれるよ。
 心のお父さんが語る。 
 「ありがとうボトルは貰って嬉しかったよ」「黒か白かの焼酎を楽しんで記憶に残るXmasだったよ。ありがとう」
 「販売員は大変だと思うよ。
 でも、大変な中に喜びを見つけてコツコツと人生の徳を積み重ねて欲しい。君がやってくれたことは人の幸せにつながるんだよ。」
 いつか僕がお客になって、ありがとうボトルをもらうことがあるかもしれない。それまで自分のできることをできるだけ前を向くのがいいことなのかな?今日もいい日だね。

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