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UFOキャッチャーのぬいぐるみ

わたしは小さい頃から、物を捨てられなかった。

何度考えても「全部、大事!」という結論になるから。

そのため、わたしの部屋は物が溢れている。
整理整頓ができればよかったけど、片付けても
次の日には元どおり。山積みな部屋が完成する。

小学生の頃、父とゲームセンターに行って、
UFOキャッチャーで遊ぶことが大好きだった。

商品が取れないこともあったけど、何より父と
UFOキャッチャーで遊んでいる時が楽しかった。

お菓子よりも、ぬいぐるみばかり取っていたから
わたしの部屋はぬいぐるみでいっぱいになり、
母から「いらないものは捨てなさい!」
とよく言われていた。

物を捨てることは本当に苦手だった。

一つ一つ捨てる度に思い出も
消えていくようで嫌だった。

ぬいぐるみを見たり触れたりすると、
過ごした時間を思い出せるから。

そのきっかけがなくなってしまうことを
子供ながら恐れていたのかもしれない。

物を捨てて、自分の手から離れたとしても
思い出すきっかけがなくなっても
幼い頃に感じていた気持ちだけは忘れたくない。

夢中でUFOキャッチャーに挑戦している時。
ぬいぐるみが取れた喜びを分かち合っている時。

そこに何かが詰まっていることを
幼いわたしは初めて知ったのである。

sumi.


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