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大浦みずき『夢*宝塚』内藤啓子『赤毛のなっちゅん―宝塚を愛し、舞台に生きた妹・大浦みずきに』

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2019.05.25 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

いきなり個人的な話ですが、中学校の修学旅行で宝塚歌劇を観劇してから、大学までの間(今考えればかなりな)宝塚ファンで、中でも、ファンクラブにも入りお茶会にも参加していたのが大浦みずきさん(愛称:なつめさん)という花組のトップスターさんでした。大学生の時にちょうどなつめさんの宝塚の退団があり、また私自身の就職や結婚など環境の変化で、それからはどんどん宝塚から離れる一方だったのですが、最近ひょんな懐かしいご縁があり、宝塚にドップリだった青春時代を思いだし、なつめさん関係の2冊を手にとってみました。

『夢*宝塚』

なつめさんの宝塚退団のタイミングで、パレットに連載されていたエッセイをまとめたのが『夢*宝塚』です。宝塚に入ると決心した時から、音楽学校時代、数々の舞台や怪我を経てトップスターになるまでの「青春自叙伝」。とにかく懐かしい!  あの歌声が、宝塚屈指と言われていたなつめさんの抜群のダンスがよみがえってきます!  大昔、VHSテープがすり減るまで見ていた映像のいくつかを、ネット上で見つけてたびたび脱線。懐かしい読書でした。

『赤毛のなっちゅん』

なつめさんは、2009年11月、肺癌のために亡くなってしまわれます。なつめさんの生涯を姉の目から描いたのが『赤毛のなっちゅん』です。『夢*宝塚』に書かれていた宝塚生活はもちろん、退団後の活躍の様子や闘病生活の様子も淡々と描かれています。また、お父さまは、童謡「さっちゃん」で有名な芥川賞作家の阪田寛夫さんなのですが、なつめさんだけでなく、阪田寛夫さんやお母さまの、老いた生活の様子なども包み隠さず書かれていて、家族を真正面からひたむきに描き出そうとする書きぶりに心動かされました。遅ればせながら、なつめさんにお別れさせてもらえた、そんな一冊でした。